見出し画像

壁紙が剥がれたとき、どうする?

先日、洋室の壁紙がベロリと剥がれました。
それも部分的に。

やっぱり剥がれてしまったか……。兆候は出ていたし、そうなる状況も揃っていたので覚悟していた結果です。

その洋室の特徴とは。
やや西寄りの北向き、家の間取りでは一番奥にあり、夏は暑く冬は寒い。湿度センサー式パイプファン(湿度調整機能付き換気扇のこと)を24時間点けっぱなしにしていても湿度が溜まりやすく、風の抜け道を作って室内の空気循環に工夫をしてもやはりしけってしまう、困った部屋です。
それでもあの手この手で対処をし、どうにか少しは快適に過ごせる状態に持ってこれていました。

だけど、ついにここまでか……。
やはり剥がれたのね、あなたは。今までよく持ちこたえてくれました。
かえってありがとう。あとはわたしに任せなさい。ご苦労様でした。

そんなわけで、わたしの出番です。

今回の事例は、住まいの壁紙が剥がれた場合、どう対処するのがよいのか。それを我が家で起きた、ちょっとした出来事でご紹介します。


■壁紙が剥がれた場合は、対処は2つ

 
持ち家、分譲マンション、貸家、賃貸物件に関わらず、共通した内容です。

1、業者に頼む(外注)

確実で、一般的な解決方法ですね。餅は餅屋といい、プロに頼んだ方が仕上がりもよく、確実な結果を手に入れられます。(注:が、その分お足も弾みます) 
簡単に述べましたが、頼む内容も症状によって色々あります。

・大規模な範囲で剥がれた。 ex.)エアコンが設置されている一面や窓面。
 → 剥がれた一面丸ごと張替えか、意匠を合せるのに室内全部張替え。

・ごく部分的に剥がれた。 ex.)窓や建具枠のまわりなど。
 → 該当する部分のみの張替え、もしくは張り替えずに再接着で補修。

・壁紙を貼る下地材=壁を構成しているボードが痛んでいる場合は、ボード
 も交換もしくは補修するケースもある。

ひとくちに補修と言っても、内容によって工事費用は様々にかかります。
たとえ軽度な症状でも、決して安くはありません。
頭の痛いところですね。


2、自分で直す(つまりDIY補修)

軽度・微小な症状で、専門業者へ依頼するほどのものでもない場合、ある程度の知識と道具さえあれば、どなたでもチャチャッと直せます(一時的に)。
今はネットでググれば、無料でその道のプロの方たちが豊富な情報を提供してくれていますしね。
玄人の方や特別手先の器用な方で知識も十分ある方は別として、ごく普通の一般の人たちがセルフ補修可能な状況は…………。


・ほんのちょっと、部分的にぺりりとクロスがめくれた、剥がれた。

これくらいです。
これ以上は、まずご自分で再接着はまず無理なので専門業者さんへ依頼した方が無難でしょう。一時的に接着されても、すぐ剥がれてくること間違いなしです。
(注:賃貸物件にお住いの場合は、軽度な症状でも必ず管理会社or大家さんへ相談をしましょう)

 
さて、今回我が家で起きた壁紙(※この後はクロスと表記します)は、どのケースに当てはまるのか。そしてそれは業者さんに頼んで直してもらわなければならない範疇に入るのか。それをよくよく吟味しました。


■This Case(事例)

 

・採用した案は『セルフ補修』

ひとつ、窓下の部分的な剥がれであった。
ふたつ、とりあえずの応急処置的な補修でよい。予算の問題で。
みっつ、職業上、適切な補修知識がある。

以上、3つの理由により自分で仮補修をすることに決定。
(いずれはちゃんと直してもらわなければならないけれども)
そこで、今後みなさんがわたしのような状況に見舞われ、今すぐに外注できないけど自分で応急処置できないかな、仮補修できないかな、と困った時の一助になればと思い、補修までの流れをご説明します。
(注:一時的な仮補修なので、いずれはきちんとプロの方に直してもらってください)

まずは、どんな状況になってしまったのかを見てもらいましょう。

このように、べローンとめくれました。
えっ、けっこう面積大きくない? と思われたかもしれませんが、これはわたしがこの後作業がしやすいように、更にペリリと剥がしました。

さて、お気づきでしょうが、サッシ枠が乗っかっている開口部の土台が見えてしまっていますね。
単に壁紙が剥がれただけではなく、下地のボードと土台木部を埋めていたパテ材ごと剥がれて壁紙にくっついてしまっています。

これは、窓下の結露と湿気により、カビが発生したうえに腐食して壁紙ごと剥がれるに至ったということです。

この状態がもっと進行すると、窓下の石膏ボードがひび割れてどんどん崩れる事態に陥り、窓下から床までの石膏ボードを丸ごと交換という工事になってしまいます。そればかりか、湿気や腐食による傷みがどんどん広がり、カビの温床にもなって健康を害します。

ですが今回は、この窓廻り修繕工事はいずれ時期が来たらということでいったん保留にし、この剥き出しになったボードとクロス復旧の応急手当てにとどめ、様子見することにしました。

【手順1 下準備】

まずはお掃除をし、道具を揃えます。

・クロスの裏にへばりついている、古いパテの破片を綺麗に取り除く。
・道具を用意する。

市販で、手頃なサイズで売っています。プロ用は値が張るし、量も多いし、水と合わせて練るなど工程も大変なので助かります。
必要な道具は、パテ材・クロス用ボンド・ローラー・パテを塗布するヘラ。
この4つのみ。

ヘラは、廃棄するはずだったクレジットカードを利用しました。
平らにパテ材をならすには小回りも利き、うってつけでした。このクレカ、実はけっこうなんにでも応用できるので重宝してます。
ローラーはあった方がいいです。
*ホームセンターで698円(税込)。ちなみにパテ材は698円(税込)、ボンド壁クロス用は297円(税込)。



【手順2 パテを塗布する】

さあ、いよいよ壁を補修します。
下地がない状態では、クロスを再接着できません。

・クロス用補修パテ材を剥き出しになった木部とボードに埋め込むように塗
 布する。

何度もいったりきたりしながら、下のボードとの段差を埋めるようにパテ材を埋め込みます。


埋め込んだパテ材をヘラでならします。下のボードの面とツラが合うように(段差がない水平の状態)、丁寧にならしていきます。
ここで、段差ができないよう均一にしておかないと、クロスがしっかりと張りつかないばかりか、仕上がりもボコボコして美しくありません。


【手順3 乾燥タイム】

・パテ材を乾燥させる。

3~4時間放置して、塗布したパテ材をしっかり乾燥させます。この工程が十分でないと、クロスがきちんと定着しないので大事なポイントです💡
(注:夏場、冬場、地域の天候によって時間の考慮必要)

しっかり乾燥させた後は、紙やすりをかけて平らにすることもあります。


【手順4 クロス接着】

・クロスを再接着する。

いよいよ貼り付けです。これまた市販のクロス用接着剤を使用します。
この専用接着剤については、後段の「注意点」の項目で詳しくご説明します。
職人さん専用のものだと、大容量かつ水で希釈して調合したりとかなり大変。あってよかった、一般向けお手軽サイズ。便利な時代になりましたね。


剥がれたクロスの裏にまだ残っている古いパテの残骸をきれいに取り除いてから、クロス用ボンドをまんべんなく塗布。


【手順5 ならす】

・ローラーでならす。

コロコロコロコロ。とにかく、ならします。ひたすら、中に入った空気を押し出すようにならします。掌でバシバシ叩いてはいけません。優しく、丁寧に、「きれいになーれ、きれいになーれ」と呟きながら、縦・横・斜めと転がします。


縦に……


横にひたすらならす


【手順6 完成】


あーら、不思議。張替えと同様にとまではいかないけど、ある程度見栄えが回復されました。

……ぱっくり、ジョイント(クロスとクロスの隙間)が空いてしまっていますね。下地の茶色いボードの地肌が丸見えです。
ここでどーしても気になる方は、プラスひと手間です。


【手順7 おまけ】

・ボンドコークで埋める。

このように、チューッと隙間に沿って一気に絞り出します。


使ったのはこちらのクロスジョイント用コーキング材


そして、指で隙間へ埋めるようにコーク材を散らす。これを様子を見ながら数回繰り返します。


・濡れたファイバークロスで拭く。


すぐに、水で濡らし硬く絞ったファイバークロス(なければタオルのような柔らかい布)で、左右のクロスに散ったボンドコークをゴシゴシと拭い取ります。隙間に埋め込んだボンドコークをなじませる意味もあります。
このひと手間を惜しむと、乾いたときにクッキリとクレヨンで線を引いたかのように補修跡が出現します。非常にみっともないです。


【ボンドコーク打ち完成】


だいぶパックリ割れたジョイントが目立たなくなりました



■注意点

自分で『補修する』を選ぶにあたって、注意することがいくつかあります。

セルフ補修をしてはいけない事例
下地の石膏ボードや、躯体の壁自体が壊れている。
ボード張替えやコンクリート壁の修繕、または別の方法が必要な場合が
あります。専門業者にまず見てもらいましょう。
今回の我が家の場合は、いずれ窓下のボード張替え必要な上記のケースに当てはまるので、時期を見て補修工事をしてもらう予定でおります。

・剥がれが広範囲
もはや再接着は諦めましょう。
必要な範囲のクロス張替えとなります。業者さんの出番です。
もちろん、腕に覚えあり! の方はご自身でどうぞ。(*賃貸物件はNGですね)


接着剤は専用のものを使う
専用のものを正しく使いましょう。
くれぐれも木工用ボンドや工作のり、別用途の超強力接着剤は不向きです。
用途の違う接着剤では、一時的に張りついてもすぐに剥がれてきたり、強力に接着しすぎて後に続く工事に支障が出る場合があります。
クロス専用のり・ボンドなるものがちゃんと存在するので、ホームセンターかネットで入手することをお勧めします。

換気に気を付ける
盲点ですが、実は日本の一般的な住まいで気を付けなければならないのは、クロスの下の壁そのものです。

壁紙一枚めくれば、下地は石膏ボードで壁が作られているのが日本の家屋の主流です。
その石膏ボードに貼られているのは塩ビクロスといって、プラスチックの一種であるポリ塩化ビニールから作られている石油化学製品です。
安価でデザイン性に優れ、汚れを落としやすい、燃えにくく傷がつきにくいという特徴がある一方、通気性が悪く、調湿性能がありません。
つまり、湿気を貯めやすいというデメリットがあります。
クロスとボードの間で結露が発生し、カビや腐食を招く可能性が多々あります。そういった性質を知ったうえで、できる範囲内で日々こまめな換気はしたほうがよいでしょう。
寒暖差が大きすぎるのも結露の発生になるので、室内の適度な温度管理に意識を向けるのも必要かもしれませんね。

放置をしない
とにかく、放置はよくありません。
クロスの剥がれを放っておいたらどんどん剥がれの範囲が広がります。
こうなったらもう個人には手に負えません。
壁の痛みも発見しちゃった……でも放置。痛みがもっと進行します。
早いうちに手を打ちましょう。
賃貸物件にお住まいであれば、管理会社や大家さんへ連絡をしましょう。
症状が大きくなればなるほど、かかる費用も増えていきます。こういう対処は早いに越したことはありません。


■まとめ

たかが壁紙、されど壁紙。

クロスがぺろりとめくれているうちは可愛いですが、その見えない水面下では色々な要因が散り積もった結果、表に現れてきた場合が多いです。
大切な住まいのちょっとした変化には、なるべく気にかけて早めに対処してあげてくださいね。
























この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?