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農業の売り時期を工夫することで売り上げを増やす方法

農業において、収穫物の「売り時期」を工夫することは、売り上げに大きな影響を与えます。特に、季節ごとに収穫される作物は、市場に出回る時期が重なると価格が下がり、収益が減少することが多いです。しかし、出荷時期を工夫することで価格が上がり、売り上げが増えることがあります。今回は、柿の出荷時期を遅らせることで利益を上げた具体例をもとに、売り時期の工夫がどのような効果をもたらすかを考えてみます。

出荷のタイミングと市場の状況

通常、柿の収穫は11月から始まり、12月に入ると多くの農家が収穫を終えています。大規模農家は人手を雇って一気に収穫するため、11月末までにはほとんどの柿が市場に出回ります。その結果、市場には大量の柿が集まり、価格は下がります。保存施設がある農家は少なく、収穫後すぐに出荷するしかないため、早い時期に市場が飽和状態になるのです。

小規模農家の工夫

私たちのような兼業農家は、収穫に多くの人手をかけられないため、自然と収穫時期が遅れがちです。この弱点を逆に強みに変える戦略を取りました。11月末に収穫を終えるのではなく、木に実を残したまま少しずつ収穫し、12月に入ってから順次産直市場に出すことにしました。すると、11月末の安値の時期を避け、12月の需要が増える頃に出荷できるようになりました。

売り上げ増の理由

12月に入ると、柿を出荷する農家が減るため市場に出回る量が少なくなります。そのため、価格が自然と上がります。さらに、年末の正月準備や観光客の増加により、旬の柿を求める消費者も多く見られます。このような需要が増えるタイミングで出荷することで、価格が下がるのを防ぎ、むしろ高値で売ることができました。

他の作物への応用例

柿の例は一例に過ぎません。他の作物でも同じような工夫が可能です。例えば、カブや大根の収穫時期を遅らせることで、市場が飽和する収穫初期を避け、価格が落ち着いた頃に出荷するようにしています。また、逆にエンドウ豆など春に収穫する作物を、秋に収穫できるように栽培する「早出し」作戦も取り入れています。これにより、通常の出荷時期とは異なるタイミングで市場に出荷し、競争を減らすことで高値を狙います。

小規模農家だからこそできる柔軟な売り方の工夫は、収益を増やす大きな可能性を秘めています。大量生産・大量出荷が難しい規模の農家であっても、収穫や出荷のタイミングを工夫することで、大規模農家とは異なる市場戦略を展開できます。市場の動向を見極め、売り時期を工夫することで、農業経営の安定と利益の増加が期待できるのです。

これからも市場の状況を注視しながら、出荷のタイミングを柔軟に調整していきたいと思います。農業に携わる皆さんも、ぜひ売り時期の工夫を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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