冬の貴重な生産物「カブ」を育てよう


冬の野菜といえば、鍋やお味噌汁に欠かせない「カブ」が挙げられます。日本では昔から家庭菜園や農家にとって、冬場の貴重な食材として親しまれてきました。甘みがあり、消化も良いカブは、寒さに強く、冬の食卓を豊かに彩ってくれる存在です。実はカブができる10月から12月ごろは他に売り物がなく、たいへん重宝します。今日はそんなお話をします。

1. カブの種まき:お盆ぐらいから始める

カブの栽培は比較的簡単ですが、計画的な種まきが重要です。
年内に収穫しようと思ったらお盆が終わったらすぐに種をまきます。
しかしカブは比較的発芽率がいいので、一気に作ると余ってしまうため
お盆の頃から約2週間おきに種をまくのをうちはやっています。
真夏の日差しが和らぎ始めるお盆頃は、カブの発芽に適した時期であり、
この頃から種をまくと秋以降の収穫シーズンに
タイミングよく育てることができ、2週間ごとに種まきをすることで、
収穫時期が分散され、長期間にわたって新鮮なカブを
収穫できるのが大きなメリットです。
また、複数回の播種は販売目的で栽培している方にとっても
需要のある冬場に向けた安定供給が可能になります。

2. 若いカブの葉には農薬が必要

カブは比較的丈夫な野菜ですが、特に若い時期には虫の被害を受けやすいです。葉が小さい時はおいしいらしく穴だらけならまだいい方で
堅いところを残してすべて食べられることもあります。
まだ十分に成長していない時期には農薬の使用が効果的でアオムシや
ヨトウムシなどの害虫に効くものを用意した方が良いでしょう。
虫害はカブの生育を妨げ、品質の低下を招くため、
早い段階で対策を行うことで元気な成長をサポートします。
ただし、農薬の使用に際しては適切な量とタイミングに注意が必要で
販売するのであれば株に使えるように記載のあるものでないとだめです。
無農薬で育てたいという方は、虫が好まない網や不織布をかけるなどして、物理的に害虫を防ぐ方法もありますが、これは大変難しいので
私はうまくいったことがありません。

3. 「間引き菜」も価値ある収穫物

カブはいろんな播種の仕方がありますが、コスパタイパを考えて
私は筋蒔きをしています。
前述したようにカブは発芽率が良いので、適度な間引きが必要です。
密集した状態で成長すると、根が十分に太らず、
小ぶりなカブになるばかりか、丸くならないカブも出てきます。
そのため、間引きをしながら、元気なカブに
栄養を集中させることが理想です。
このときの「間引き菜」も実は貴重な収穫物です。
若い葉や小さなカブはサラダや浅漬けに適しており、
独特の香りと柔らかな食感が特徴です。
また、間引き菜は需要もあり、直売所や地元の市場などで
冬の青物がない時に販売することも可能です。
特に健康志向の消費者には「間引き菜」は人気があり、
サラダなどで消費されるようです。
収穫が本格化する前でも一定の収入源になります。

4. お正月飾りとしてのカブ

カブは食用だけでなく、日本の伝統文化の一部としても利用されています。正月飾りの一環として、縁起物であるカブを飾る家庭や地域もあります。
特に、真っ白なカブの姿は清潔感と神聖さを象徴し、
新年の始まりを祝うのにふさわしいものとされています。
また、地域によってはカブの葉も含めて飾りに利用され、
年神様への供物として捧げられることもあります。
収穫したカブを一部お正月飾りとして活用することで、
食材以上の価値を見出すことができるのです。
なのでいろいろな種類の種がありますがうちの農園は白のカブ一択です。

5. 畑が浅い場合でも高畝でカブは育つ

カブは根が浅いため、深い畑がなくても栽培が可能です。
畑が浅い場所でも、高畝(たかうね)にして土を厚く盛ることで、
カブの栽培がうまくいくことが多いです。
高畝にすることで、通気性や排水性が向上し、根腐れのリスクが
軽減されます。特に、排水が悪いとカブの根が傷んでしまうことが
あるため、畝を高くして水はけを良くすることは重要です。
また、地温も高まりやすくなるため、冬でもしっかりとカブが育ち、
元気に育つための環境を整えることができます。

6. カブの収穫と保存方法

カブの収穫は、根が直径5~10cm程度になった頃が最適です。
葉が生き生きとしているものは、根も新鮮で甘みがあるのが特徴です。
収穫後は、葉を根本から切り離し、冷蔵庫で保管すると長持ちします。
葉付きで保存すると葉が水分を吸って根がしなびてしまうため、
葉と根を別々に保存するのがポイントですが
販売予定のものは葉つきの方がうれることが多いため
家では残しています。
また、カブは冷凍保存も可能で、カットしてから冷凍すると、
鍋料理などにそのまま使えるため便利です。

7. カブの多様な調理法で冬を楽しむ

収穫したカブはさまざまな料理に活用できます。
煮物やおでんはもちろん、薄切りにしてサラダにしたり、
すりおろして薬味にしたりと、カブの使い道は豊富です。
特に寒い冬には、カブの甘みと柔らかな食感が引き立つ
スープやシチューが喜ばれます。
葉も栄養価が高く、おひたしや炒め物として無駄なく
使うことができます。
冬場に体を温め、栄養を補給する食材として、
カブは家庭でも重宝されることでしょう。

冬の食卓を彩り、寒さ厳しい季節に栄養を届けてくれるカブの栽培をぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。

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