自分の認知機能に問題があるかチェック(ケーキの切れない~を読んで)
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刃牙とか攻殻機動隊とか読みまくりだぜ!とテンションがあがっていたが、その中に「ケーキの切れない非行少年たち」の漫画版があった。
この漫画の元になった本は相当なベストセラーという話を聞いたことがあったし、2巻までは無料なので読んでみることにした。
漫画の中で紹介される色々なテストの内容は、以下の広島大学の動画で実例が紹介されているので、それを使って語っていこうと思う。
まずは元となった本の紹介からだ。
カズレーザーが激ハマりしたらしい。
この表紙にある謎図形は、
「このケーキを三等分してください」という問題の答え。
非行少年はこういう図形を描いてしまうらしい。
動画ではこう言っている。
「16歳~20歳でこういうことしかできないのかと、みんな衝撃を受けたわけですね」
まあ確かに衝撃ではある。
普通に生きていればケーキ何等分問題なんていくらでも見てきただろうし、これくらいはできて当然に思えてしまう。
他にもケーキ5等分問題もある。
非行少年たちはどうも奇数になると躓くらしい。
次は記憶力を測る問題だ。
この謎図形をまず模写して、その後しばらく時間をあけて、
何も見ずに描かせるというテストである。
これが非行少年が行った模写である。
模写なので手本を見ながら描いているのだが、この時点でもう抜けがある。
そしてこれが模写のあとにすぐ描かせたもの。
すぐ描かせたにしては抜けだらけである。
つまり直前の記憶ですら維持できていないということだ。
試しに自分もやってみることにした。
2分で描ききった模写である。
描いててバランスのヤバさには気づいていたがよしとする。
そして今回は15分経過後に描くことにした。
おやおやおや・・・?
なんか結構間違えてるぞ・・・?
ぶっちゃけた話、自分は模写以前に、動画でもこの図形を見たわけだし、「このあと何も見ないでもう一度描く」という情報を得ていた。
だから、「ここの線は5本だな・・・ここは4本・・・」とか考えながらやっていたわけで、ハンデどころの話ではない。
それでもこんだけ間違えたり忘れたりしちゃうことがちょっとショックだ。
これはある図形が鏡や水面に映ったときどうなるかを問う問題だ。
なんだか普通にIQテストで見るやつだが、実際IQを測ってるのである。
この例では水面に映ったときの三角で間違いを犯している。
うーん、でも・・・
まあこれは後で語ろう。
今度はなかなかレベルが高いかもしれない。
日本地図を自分で描き、そこに東京と大阪と広島の位置を示せというのだ。
自分は日本中あちこち巡る機会があったので問題なく描けるが、その経験がなかったら自分の県の周囲しか知らなかったかもしれない。
というかもうこれ知識問題では?
よくVtuberも都道府県クイズをやって悲惨な結果を出しているが(ネタでやってる人もいるだろうけど…)、これができなかったからと言って境界知能というわけではないと思うのだが。
まあ勉強をしてこなかった証明にはなるか・・・。
こちらはたくさん都道府県を書けてはいるものの、
ここまで書かなければ東京と大阪と広島の位置が特定できなかったという例らしい。
この子は北海道から順番に書き出していかないと、各県の位置がわからないのである。
それゆえに特定の情報を取り出すために、相当な時間がかかってしまうらしい。それはたしかに問題だ。
これは問題文通りにトークンを動かせるかをチェックする問題。
「黒の四角の上に、赤の丸を置いてください」
と言われたら、その指示通りに出来るかを見ている。
まあ色や形にしっかり注意すればいけるだろう。
・・・とか思ってたら、
問題25の「黄色の丸の後ろに白の四角を置いてください」という問題に自分は引っかかった。
”後ろ”って何だ・・・?
どこが”前”でどこが”後ろ”なんだ?
しかもこれ、非行少年は正解しているのである。
負けとるやないか自分・・・。
これは土管の中で四つん這いしている自分を描いてみなさいという問題。
非行少年の回答例では謎の生物が描かれているわけだが、
この絵についての先生側の評価はというと、
「犬のようで関節がない」
「自分がどう見られているか客観的なイメージがないのだ」
ということらしい。
ぶっちゃけ単純な絵心の話のような気がしないでもないが・・・。
大体、勉強をしてこなかったような子は絵も描いていないんじゃないか?
いや、それを含めて知能が発達していないということなのか・・・?
一応自分も描いてみた。
うーん・・・自分も上手くはないけれど、やっぱりこれは描いた経験による影響が多いような気がする。
「片側の足を描いたら奥の方の足も描かないといけない」みたいな奥行きの考え方は、絵を何度も描いていく過程で習得したと自分は思うし。
それにこの絵からだって無理やり問題提起はできそうだ。
「耳が描かれていないのは人体への理解のなさと他者の意見を聞き入れない態度の表れで・・・」
・・・いや、これは流石に悪意がありすぎるか。
最後に、一番どうなんだこれと思ったのがりんごを分ける問題である。
「5つのりんごを3人で平等に分けるにはどうしますか?」という問題だ。
自分はこう考えた。
「5÷3…だと2個あまるから、3等分したりんごを2つ作って、それを2切れづつ3人でわければいいか」
・・・そう、計算による解決を行ったわけだ。
しかし漫画ではこう書いている。
えぇ・・・?
「通常は計算問題として考えない」
そういうもんなの・・・?
動画でも、
「この解決方法しかない!って思考が固くなっちゃうんですよね」
と言っている。
いやこれが一番平等でベターな解決法じゃないのか・・・?
つまりこの問題は、
「分け合う3人の中に小さい子が居た場合は、お兄さんはその子に譲ってもいいですね!もし別の場合は~…」とかそういうことを考えていくのが普通らしい。
いや、そんな想像をするやつはまともじゃないだろ・・・?
それに、量的な解決ではなく、
お兄さんが身を引いて我慢するのが平等だとでも・・・?
まあ漫画によると、自分はアカンのかもしれないようだ。
さて、これらのテストを見てきてどう思っただろうか。
実際、彼らは問題行動を起こしているわけだし、
知能に問題があるのは間違いないとは思う。
ここで挙げた以外のテストもあるし、こういった知能的なもの以外に、相手の言うことをすぐ信じてしまうとか、他にも多々問題はある。
でもぶっちゃけいくつかのテストに関しては、
「場数踏んできたかどうかじゃないか?」
と思ってしまったところは正直ある。
ケーキの切り方なんかは、算数だか数学の授業でみんな普通は通ってきた問題じゃないだろうか?
円は360度だから5等分は~・・・とかいうレベル以前に、
3等分や5等分の形というものを見たことがあるというか。
IQテストみたいな問題があると言ったが、IQテストだって問題に慣れると点数は上がるのだ。あれも知ってるかどうかの世界ではある。
図形を模写して覚える問題だって、
ぶっちゃけ集中しないで適当にやってたらこうなる気もするのだ。
自分だって記憶力テストだと知らずに図形を模写して、
15分後にいきなり「さっきの描いてみて」と言われたらどうなるやら。
水面の問題に関しても、なんかこう、結構な想像力というか、
やっぱり場数が必要なんじゃないだろうか?
この問題は、線の意味をどう捉えるかを知っていることと、水面を見た経験がないとよくわからない気がするのだ。
まあこの程度のことは図から察することができるのがまともな人間のレベルなんだ、と言われたらそれまでなんだけども。
ただ、最近の子供が漫画の読み方がわからないというのと同じものを感じる気がしたのだ。
お決まりのルールを知っているかどうかの差、みたいな。
とはいえ別に境界知能なんて存在しないなんてことを言うつもりはないのでご注意いただきたい。
そもそも場数を得る機会をふいにするような行動様式になってしまうというのもあるんだろうし。
それに本音を言えば、
リンゴ問題が納得行かなくてこの記事を書いただけというのもある。
いや「3人に平等に分ける」なら計算でしょうよ・・・。
それにもし、計算での解決を良しとしないなら、
ケーキ三分割のあの変な図だって、
実は弟用をデカくした気配りの結果だったんじゃないの?(暴論)
これはちゃんと三等分だったのである。
そう、兄弟への思いやりのこもった・・・ね。
まあそんな茶々をいれたところで、おしまいとする。
こういう人たちも一定数居る世の中だということを噛み締めつつ、
自分もそうなんじゃないかと思ったりもしつつ、
日々を過ごしていこうと思う。
追記:
かなえ先生が取り上げたので一応貼っときます。
この本は関係者内でも賛否がある模様。