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【最新スイング理論】飛距離UPは”振り出し45度”が一流プロの共通点! 即実践可能
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元広島東洋カープ一軍トレーニングコーチ
元ボストンレッドソックストレーニングコーチ
こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。
「どうしたら飛距離を伸ばせるのか…」
お子さんの練習や試合を見ていると、そう感じることはありませんか?
バッティングについては、たくさんの理論があります。その中でも、飛距離を伸ばすためには、アッパースイングが効果的だと言われることが多いですね。
本当にそうだと思いますか?
実は、最近の小中学生には、極端なアッパースイングをしている選手が増えています。しかし、そのスイングには、大きな"落とし穴"があり、プロの打撃コーチでさえ「難しい」と言う技術なのです。
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一方で、プロ野球選手のスイングを動作分析すると、ある共通点が見えてきました。そこで今回は、お子さんの飛距離を高めるスイングのポイントをお伝えします。
今回の内容を知ることで、あなたは次のことがわかるようになります。
ボールが遠くまで飛ぶ理想的なバットの角度
アッパースイングの誤解と、その対処法
プロ野球選手に共通する、効果的なグリップエンドの使い方
これらの内容は、私の35年以上の研究と指導経験、そしてプロ野球選手の分析から得られた実践的なノウハウです。さらに、海外の最新情報も交えてお伝えしていきます。
特に、野球をしている小中学生のお父さんお母さん、少年野球の指導者の方々に役立つ情報となっています。
すぐに活かせる内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
ホームランを打つためのバットコントロール
お子さんの飛距離を伸ばすためには、いくつかの重要なポイントがあります。
しかし、正しい理論を知らないとか、間違った解釈をしているケースもあるようです。まずは、お子さんの飛距離が伸びるスイングの基礎を押さえましょう。
また、多くの人が誤解しがちな落とし穴について説明し、理想的なスイングの形を解説します。特にプロ選手に共通するグリップエンドの動きは、スイングの重要なカギとなります。
これらのポイントを押さえて、お子さんの飛距離アップを目指しましょう。
打球の軌道とバットの角度の関係
お子さんの練習や試合を見ていると、「なかなかボールが飛ばないなぁ」と感じることがあるかもしれません。
打球を飛距離の出る軌道に変える決め手は、バットの角度とミートする位置なのです。ホームランを打つために、お子さんに意識してほしいのは、ボールの下側をたたいて、力強いフライにすることです。
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ボールの下をたたけると、バックスピンがかかります。このバックスピンによって、上向きの「揚力」、ボールを上に押し上げる力が生まれます。
お子さんには、バットをボールの中心から下、45度から55度で入れるように意識させましょう。そうすれば、打球は35度から45度の角度で打ち出されるので、より遠くまで飛ぶようになります。
もしかすると、「ボールを下から打つなら、アッパースイングがいいのでは?」と思われるかもしれません。実際、指導者の中には、ボールの下側をたたくために「アッパースイング」を勧める方もいます。
しかし、アッパースイングでは、お子さんの打球は飛びません。これは、プロの打撃コーチも認めるほど難しい技術なのです。
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「では、うちの子はどうすればいいの?」
そうお考えになるのは当然ですね。これから、お子さんに合った方法を具体的にお話ししていきます。
ちなみに、ホームランを打つためには、「ヘッドスピードを上げて飛距離をアップする3つの秘訣」も参考になりますので、確認してみてください。
アッパースイングの落とし穴と理想のスイング
お子さんの、目の覚めるようなホームラン、たくさん見たいですよね。
ホームランを打つためには、ボールの少し下側にバットを当てることがポイントです。ただし、これはプロ野球選手でも難しい技術なのです。
ボールの下をたたこうとする場合、アッパースイングをイメージすることが多いと思います。でも、アッパースイングについて、誤解している人もいるようです。
たしかに、下からバットを振れば、ボールの下に当たる確率が高いように感じるかもしれません。でも実は、バットを下から振り上げるようなスイングでは、ボールは遠くまで飛ばないことがわかっています。
極端なアッパースイングをしている子に理由を聞くと、「投球とバットの軌道を合わせるため」という答えが返ってきます。しかし実際の軌道は、投球の軌道よりも極端なアッパーになっています。
アッパースイングをすると、バットのヘッドは、一度下がってから上がっていきます。これには2つの問題があります。
1つ目は体力の問題です。
小中学生の大半が、重いバットを下から振り上げて、力強く振るだけの体力が備わっていない場合がほとんどです。
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2つ目はタイミングの問題です。
バットが遠回りするので、スイング開始からボールに当たるまでの時間が長くなります。そのため、ボールを見極める時間が短くなり、タイミングが遅れがちになります。
いわゆる「差し込まれる」状態になってしまいます。
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さらに、アッパースイングには、もう1つ大きな問題があります。
投げられたボールの軌道に対して、バットが「点」でしか交わらないのです。これでは、ボールに当てる確率が下がってしまいます。
お子さんの打球を遠くへ飛ばすためには、ボールとバットを「正面衝突」させることが大切です。
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次に、ボールとバットを正面衝突させるスイングについて解説します。
グリップエンドの動きとバットの軌道
お子さんが、理想的なスイングを身につけるために、まずはグリップエンドの動きに注目してみましょう。
バットスイングでは、ヘッドを走らせることばかりに意識が行きがちですね。でも、グリップエンドの動かし方で、バット全体の軌道が大きく変わってくるのです。
プロ野球選手のスイングを分析すると、振り出しのグリップエンドの動きに共通点があります。
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「では、具体的にどんな動きをすればいいのか?」
一般的に、「ど真ん中」はホームランになりやすいことが知られています。
ど真ん中というのは、「おへその前」になりますね。このゾーンのボールを打つと、遠くまで飛んでいく可能性が非常に高くなります。
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その理由は、主に3つあります。
まず、腕の動きがスムーズに行えるからです。
実際に、高めや低めのように、腕を極端に伸ばしたり縮めたりする必要がないですね。そして、体の中心に近いので力を加えやすいです。
さらに、手首も返しやすく、ヘッドスピードが最大化します。
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では、お子さんのヘッドスピードを上げるために、バットの振り出し方を見ていきましょう。
ヘッドスピードを最大化させるために、今回は、バットの振り出しにフォーカスして解説を進めます。
バッターは、ピッチャーを見て構えた後、投球動作に合わせてテイクバックします。次に振り出していくポイントを「トップ」と言います。このトップからバットが出ていく過程が特に重要です。
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気をつけてほしいのは、次の2点です。
バットのヘッドが先に出ていくと、遠回りの軌道になる
バットが倒れて、地面と平行に近づくほど、やはりバットは遠回りする
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このようなアウトサイドインのスイングは、小中学生によく見られますので、特に気をつけてほしいポイントです。
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理想的なのは、グリップエンドが先に動き出し、体の軸に対してバットが約45度の角度で入っていくことです。
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これは、ヤクルトの村上選手や巨人の岡本選手など、プロ野球選手に共通した特徴です。
この時、バットは内側からグリップエンドが出ていき、インサイドアウトのスイング軌道になります。ヘッドは後から出てきて、投球に対してまっすぐに振り出しやすくなります。
画像のように、振り出しではバットは立っていますので、この形をイメージして覚えてください。
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そして、インパクトの直後には、バットのヘッドがグリップエンドを追い越す時が来ます。その時、「トップハンド」をしっかり伸ばしながら、バットのヘッドがグリップエンドを追い越していきます。
すると、強いインパクトが生まれます。
トップハンドというのは、右バッターであれば右手、左バッターであれば左手になります。
また、インパクトの直後には手首を返して、ヘッドが上に上がるようにします。このような一連の動きを意識して、お子さんと練習してみてください。
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なお、ヘッドスピードを上げるポイントについては、「打撃フォーム!弱いスイングを強いスイングに変える3つのカギ」も参考にしてください。
ちなみに、ホームランを打つスイングについては、他にも押さえておくべきポイントがあります。
それについては、次回以降で詳しく解説します。
楽しみにお待ちください。
今回のまとめ
いかがでしたか?
今回は、お子さんの飛距離を伸ばすための、スイングのポイントをお伝えしました。
ボールの中心の少し下をミートできれば、打球を遠くに飛ばすことができます。しかし、それはプロ野球の打撃コーチも認める難しい技術なのです。
そこで大切なのが、プロ野球選手に共通するグリップエンドの使い方です。
バッティングは、複雑な動きの連動が必要です。トップからバットを振り出す正しいフォームを身につければ、打率も飛距離も伸びていきます。
ぜひ、日々の練習で意識してみてください。
それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。
次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。
野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡ください。
あなたからのご連絡をお待ちしています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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参考文献:
石橋秀幸著、レベルアップする!野球 科学・技術・練習、西東社
石橋秀幸著、野球体をつくる、西東社
内田順三著、プロ野球選手だけに教えてきたバッティングドリル100、 KADOKAWA
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【石橋秀幸プロフィール】
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広島県出身 日本体育大学卒。
慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科スポーツマネジメント専修卒。 1987年から2002年まで15年間、広島東洋カープの一軍トレーニングコーチ。
1997年ボストンレッドソックスへコーチ留学。
現在は、神奈川大学人間科学部非常勤講師、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員。
また、2022年11月からホロス・ベースボールクリニック代表として、球児の成長のサポート事業をスタート。
これまでも、プライベートコーチとして、小学生から大人まで、アスリートはもちろん、プロの演奏家へもトレーニングとコンディショニング指導を行う。
講演実績多数。
著書多数。
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■石橋秀幸これまでの業績:
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