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義理チョコをください!

バレンタインデーにチョコレートを貰ったことがない。
容姿を褒められることは多々あるので、完全にモテないわけではないと信じたい。

毎年この日は自分自身にチョコレートを贈る。
いわゆるご褒美デーだ。
しょっちゅう自分にご褒美を与えているような気もするが、そこは気にしない。

チョコレートはGODIVA一択。
とはいえ最近は甘いものの塊をそこまで好んで口にしないので、チョコレートではなくポテトチップスにした。
GODIVAにはポテチも売っているのだよ。片面にチョコレートが塗りたくられたポテチが。
この組み合わせを考えた人は天才の部類に入ると思っている。

自宅で朝井リョウさんの『正欲』を読みながらチョコがけポテチをほおばる。
こんな高級なお菓子を独り占めできるなんて、なんと贅沢なことか。

恋愛を避けるようになってしばらく経つ。
そういう事を考えない時間が増えれば増えるほど気が楽だ。
色恋沙汰になるとどうしても他人軸になってしまうので、自己犠牲の精神が強くなってしまう。
結局は自分を一番大事にする方が健全だと気付いて、できる限り恋愛感情は消している。
今読んでいる『正欲』のテーマでもある多様性ではないが、恋愛や結婚をしなくてもあーだこーだ言われない自由な時代になってくれたのは有難い。
それに私は容姿を褒められるのは気持ちが良いが、別に不特定多数から愛されたいわけではない。

しかし、チョコは欲しいかもしれない。

何かを貰うというのはとても嬉しい。
私のために選んでくれたのだと思うだけで義理とか関係なく嬉しいものだ。

それなのにその「何かを貰う」という経験に乏しい。
いつも自分で買って自分にあげている。
寂しいと言えばそうなるが仕方ない。
わざわざ誰かに「ください!」と言うのも違うし。

これを書いている途中でLINEが来た。
片想いの相手からだ。
恋愛感情を消す努力はしているが、好きな人はいる。
なんとなくその人からそっけない態度をとられていたのでもう連絡など来ないのかなと思っていたから驚きだ。
内容は近々開催されるライブイベントの告知だった。
知り合い全員に送っているのだとしても、そこから我々だけの会話が生まれるので素直に嬉しい。

でも本当はその人のことも好きじゃなくなりたい。
一喜一憂したくないから。
やっぱり恋愛に不向きな人っているんだなあ。

結局のところ毎年バレンタインデーに義理チョコを大量に貰える人が一番の勝ち組なんじゃないかと思う。
恋愛で悩むことなく、周りからそこそこ好かれているのだから。

私は猛烈に義理チョコが欲しい。
きっと来年も、再来年も、セルフ義理チョコを貰う孤独なバレンタインデーとなるんだろうな。
それでも変わらず美味しいGODIVAには感謝せねばならない。

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