水戸ホーリーホックを応援していたら、いつの間にか玉ねぎを収穫していた話。
なんだかんだでサポーター生活をしていると、日常では味わえないいろんな経験ができる。
それはたとえアウェイだけでなく、さまざまなタッチポイントがあるのが、サッカーの良いところ。
その昔、水戸ホーリーホックには「サポーター前日設営隊」というものがありました。
なにかと手間のかかる試合前日の設営作業を、サポーター有志がお手伝いするボランティア。
ボランティアというと、当日運営にあたる団体が今でもありますが、当時はスタッフの数もかなり限られ、業者にも頼めない状態。
まさに、人海戦術とサポーターの善意で成り立っていた。
当然、ボランティアなので報酬はない。
けれど、「試合会場を、このクラブを自分たちが作っている」という気持ちがボランティアをやっていると芽生えてくるから、楽しかった。
それが、ボランティアをやるいちばんの報酬。
前日設営を専門の業者に頼めるようになってからは、この前日設営体も結成されなくなりました。
まあ、クラブの成長という意味では正常進化なのですが。
個人としては、そういう場がなくなってしまったことに一抹の寂しさを感じていたのです。
(ちなみに、水戸には正式な当日運営ボランティアはもちろんあります。あるんですけど、ちゃんと試合が見たい!応援したい!というわがままにより一度も参加していません(笑)
絶対に楽しいやつだとわかってはいるんですけどねぇ)
そんな中で。
水戸の試合もじっくり観たいけど、クラブの力になるような活動もしたい、自分みたいなわがままな人にバッチリ刺さる取り組みが、この度始まりました。
「GRFボランティア」です。
水戸は地域密着のツールとして農事業(GRASS ROOTS FARM)を始めています。
自前で作った作物を選手の昼食として提供されるのはもちろん、一般にも販売しようとする取り組み。
早速、今年の目玉作物である玉ねぎの作付け・収穫に参加してきました。
ただね。
いざ当日になると、これが結構大変で。
例えば玉ねぎを植えるとき。
苗を植える作業はそこまで難しくないのですが。
中腰の姿勢をずっと続けるのが容易ではなく。
サッカースクール(おとな部)以上の疲労感を感じることに。
茨城弁で言う、「こわい」ってやつ。
玉ねぎを収穫するときもなかなか道のりがながくて。
畑の中から引き抜いた新玉ねぎを、大きさ別に分類する。
ところが、前日に雨が降ったせいか、なかなか土の中から玉ねぎが顔を出してもらえず、引き抜くところから苦戦してしまう。
さらに、根切りと言って、玉ねぎを長持ちさせるために収穫後の玉ねぎの根を着る作業があるのだけど、個数が多くて中々終わらない、、
地味と言えば地味な作業の繰り返し。
しかしそれを、サポーターの団結力とチャント(応援歌)を歌うことでやり切りました。
やっぱり歌ってやる気の持続に効果あるんだなと。(今更)
今はほとんどの作業が機械化されているとは聞きますが、一回本来あるべき作業をあえて人海戦術でやることによって、参加したサポーターの間に一体感が生まれたり、普段食べている物がこうやってできているんだとか、昔はみんなこうやって自給自足していたんだとか、いろんなことを考えるようになるのが大きい。
そして何より、
自分が植えた野菜が選手の体を作って、勝ち点3に貢献する、、、!!と思ったら、ワクワクしませんか、、、??
GRASS ROOTS FARMブースで売っている玉ねぎやニンニクって、スーパーで売られているものよりちょこっとお高め。
でもその価格相応の手間がかかってブランディングしていることが、ちゃんと伝わればいいなと、思います。
味は間違いないので。
先日親にホーリー玉ねぎをあげたら、すっごく甘い!と喜んでくれたし、ニンニクもあれば実家に持ってきてといわれました。
相当お気に入りのようです。
これから、さらに大きな取り組みになりそうなGRASS ROOTS FARM、その支え手がもっと大きくなって、少しでも力になれば、今よりもう少し勝ち点と笑顔が増えるのかな、と思っています。
農産物の栽培や収穫のボランティア活動の中で、選手たちやスタッフとの共同作業を通じて地域の絆を深める。そうした中で試合も面白くなり、勝ち点にもつながっていく。
これこそが、サッカークラブが創るウェルビーイングの一つの形!
(さっきの映像にちょっとだけ自分も映っていたりして)
まさか水戸を応援していて、玉ねぎやら畑仕事をやることになろうとは。
10年前に前日設営隊をやっていたころには想像していなかった景色。
でも、こういうクラブへの貢献の仕方も、面白いですね。