何にもできないときはあるし、不安とか焦りとかあるけど、何もしないことが結局いちばんいいんだと、あのとき身をもってわかった。
私が引きこもりになりたてのころ。
会社も休職して、何をしてもいい状況になった時、何にもできなかった。
何かしようと考えても、したいことが思い浮かばなかった。
思い浮かぶのは、「しなければならないこと」
「少しでも外に出て歩かなきゃ」
「栄養のあるもの食べなきゃ」
「朝早く起きなくちゃ」
「早く治さなきゃ」
何かしていないと、社会に戻れなくなりそうで怖かった。
けれど、何にもできなかったんだよね。
周りからの刺激が、すごく強く感じて、
光や音や文字やにおいや、五感で入ってくるもの全てが、強く感じて、違和感でしかなくて、なにもできなかった。
お米が炊ける匂いすら気持ち悪くて、
光も眩しすぎて真っ暗じゃないと過ごせない
スマホの光と音が怖くて電源を落とす
音楽や外から聞こえる音はノイズにしか聞こえなくて不快
目を開けてるだけでも怖くて、見えるもの全てが怖い
そんな状態を早く治さなきゃ早く治さなきゃと焦っていた。
どうしよう、どうしよう、何もできない。
どんどん不安と焦燥感だけが広がって、苦しくて重くて辛い。
そんな時、何もしなくてもいい、と会社の上司が言ってくれたとき。
そのとき、何かが変わった。
私の中の黒いぐちゃぐちゃの玉みたいなものがひょんっと出ていった感じだった。
あ、何もしなくてもいいんだ。
やらなくても、いいんだ、何もしなくてもいいんだ。
と思って、少し楽になった。
本当に心が疲れている時は、好きなものなんか浮かんでこないし、やりたいことなんか全く出てこない。
これは、疲れているから。
疲れているときは休まなきゃいけない。
何もしないでなんの刺激も入れないで、できることだけやっていればいいんだ。
できることは、眠ること。
朝昼関係なく、眠い時に寝て、病院とかどうしてもやらなきゃいけないことだけやって、あとはとにかく眠った。
1ヶ月くらい何もしないをテーマにしていたが。
初めの1週間は本当に何もしなかった。
そのうち、音楽を聴いてみる、光を見てみる、文字を見てみる、は毎日トライして見た。
やってみて、まだダメか、もう大丈夫かを毎日トライした。
いちばん初めにできるようになったのは、パイプオルガンの音か、シンギングボールなら聞けるようになった。ほんの5分程度だけれど。
不思議なもので、5分過ぎるとノイズになってくる。頭や耳に、なんかこう、ビーッとなってぐにゃぐにゃしてくる感じ。
それができただけでも少し嬉しかった。
けれど、まだまだ何もできないな、と自分を責めたりもした。
そんな感じで、トライ&エラー?を繰り返し、少しづつ少しづつできてきた。
なんとか過ごせるようになるまで、2年。
けれども、身体を壊す前までのポテンシャルまでは上がってない。
本来の私は、こうなんだと思うから、それでいい。