インスタ映え泥棒
「インスタ映えほど、非生産的な行為はない。」
なんて私はこれっぽっちも思っていなければ、出会い系に興じる人間に対して心の底から揶揄することもない。好きにすればいい。が、しかし、それによっていわゆる承認欲求は満たされるのだろうか。
美味しいご飯を注文する
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美味しいご飯の写真を撮る
この流れは分からなくない。思い出(記録)に残したいからだろう。
美味しいご飯の写真を撮る
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会話の流れでオススメするために友達に見せる
まぁまぁまぁ分かるよ。見た目の情報って大事だよね。でも、食事って五感のどこで楽しむの?
美味しいご飯の写真を撮る
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美味しいご飯の写真をインスタに載せる
これがわからん。だって、いいねは貰えんやろ。友だちが美味そうなラーメン食ってる情報必要ないもん。義務いいねしか貰えないよ?で、承認欲求満たされるの?器用な身体だね。
インスタ映えがよくわからないので、僕はインスタ映えを意識してやってみることにした。外食で美味しそうなご飯を食べるとき、「やべっ、インスタ映えしないと!」と事あるごとに言い、写真に収めて投稿してきた。それが板について来たのか、最近は友人からインスタ映えボケもスルーされつつある。それじゃ普通にインスタ映えしてるだけじゃねぇか。
そこで僕は、インスタ映えしている友人のご飯を写真に収めて投稿する、「インスタ映え泥棒」を始めた。これが中々面白い。アツアツ、ホクホクの料理を冷ましながらアングルを弄る友人に対面して、僕は出来るだけ雑に、適当に写真を撮り、即投稿する。この、台無しにしている感が堪らなく性に合う。
いつの日かインスタ映え泥棒の成果として、盗撮(語弊)写真集を作りたいと思う。きっとその写真集はこの一文から始まるのだ。
『インスタ映え泥棒ほど、非生産的な行為はない。』