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2024 Fleche Japon(フレッシュ)参戦記


2024 フレッシュ日本橋 に参加しました🔰

フレッシュという自転車イベントに参加しました。その参戦記です。
私自身、ブルべ参加5年目にして初挑戦となりました。

3~5名で構成されたチームでの参加が前提となり、自分たちでルートを決めて360km以上を24時間で走破する必要があります。細かいルールなどよくわかっておらず誰か誘ってくれないかなあ、という気持ちでいました。(が、誘ってくれる知人はなかなか現れません、、)
2023年 8月に PBP 完走認定になったことから、R5000/R10000 が次の目標としてチラつき始め、ならば自分が発起人になってみたらというキッカケになりました。

メンバー集め

実際、PBPの際に現地でお会いした方どうしで「次のフレッシュ出ませんか」といったやりとりも聞きましたが、まだその時点では具体的なイメージがわきませんでした。
11月からAR日本橋フレッシュのエントリーが始まるそうで、9月の終わり頃からメンバー集めを意識し始めました。PBPまたは400km以上ブルべ完走している人であれば体力的にも申し分は無いであろうと、連絡がとれそうな知人に思い切って次々と打診してみると、すでに他チームとしての先約がある、もしくは 3月の年度末だと予定がいれられないなど、、困った。

わが交流関係の狭さよ、、ダメもとで自分が所属しているユルポタのチームメンバーに冗談交じりに声をかけてみたら、なんと「フレッシュだったら出てみたい!」とか、、SR (Super Randonner) 経験のある一人はよいとして、他の二人は これまで 200km 止まり。それもアテンドあり、もしくは難易度の低そうなルートに限る条件付きであって 300km以上のエントリーとなると足踏み。さらにもう一人はヒルクライムでは度々面識があるもののブルべ未経験というのに、、
意外な反応に戸惑いつつも人数的にはこれでぴったり 五名、完走できるかどうか怪しいチームが出来上がった。

メンバー
H … 筆者、SR(2020-2023)、2023 PBP完走
Kさん … SR(2021-2023)、先頭は任せろ
Nさん … パンク・メカ修理はお手のもの、ブルべは200kmまで、元自転車部
Zさん … 2024.2.11 初300km完走、紅一点
Uくん … Zさんの職場同僚、フレッシュ直前週 2024.3.17 初200km完走

ルート作成

フレッシュならではの細かいルールはあるものの、各チームでルートは自由に決めてよいことになっている。ルート作成はもともと嫌いではない。むしろパズルを解くことに快感を感じるほどに腕が鳴るタイプである。
テーマは「脚力の怪しい5人でも走破できそうなルート」として渾身の力を込めて作成してみることにした。

・スタートは「東京駅」
 前日移動による睡眠負債を避け、当日の始発電車で全員が集合できること(万が一、欠員が生じた場合でも助っ人の調整がしやすいのではという思惑も)。スタート前集合写真の背景としても期待できそう。
・交通量の多い道路を避け、信号の少ないルートを選ぶ
 信号峠や渋滞峠は思わぬ時間ロスから精神的に焦りを生じやすく、勝手知ったる茨城~千葉方面といった郊外を目指す。
・なるべくフラット平坦な道を選び 山岳登坂は避ける
 登坂では脚力差が顕著に生じて体力消耗しやすい。平坦といえば川沿い、湖畔沿いまたは海沿いのサイクリングロード(江戸川、つくばりんりん、霞ケ浦湖畔、利根川、九十九里沿い)。
・適度な休憩ポイントの配置
 休憩地点は多過ぎず少な過ぎず。カフェ、ランチ、夕食の候補地を設定、時間に余裕があればコンビニ以外の補給をしっかり摂る。
仮眠ポイントを設ける
 走行 300kmを越えると眼が疲れてくる。目を閉じて横になれる休憩所を入れる。「九十九里 太陽の里」は深夜営業しており、温泉施設もあり仮眠もできる。
ラスト2時間で25km以上走破するための秘策
 極めつけは無料化された旧千葉外房有料道路。信号ほぼ皆無でラストスパートにふさわしいノンストップ走行が期待できる。
エスケープポイントを決めておく
 当日体調不良などでどうしても離脱しなければならなくなった場合のエスケープポイントを決めておく(エスケープポイントを過ぎてしまったら、次に進むべく腹を括るという心理的な覚悟が生じる)。
・ゴール地点は「蘇我駅」
 旧外房有料道路の終点に近く、京葉線の始発駅。日曜であれば電車も空いているはず。輪行にて終点の東京駅から二重橋前駅乗り換えで代々木公園、ナイスプレイスまで、およそ1時間30分前後でゴール受付(9~11時)に間に合うであろう。

出走エントリーとコース精査

11月に入りエントリー受付が始まった。念のため 10月に2回に分けて実際の試走を行う。コースは肚落ち(はらおち)しており、走行上ほぼ問題ないという自負のもとコース精査を受けた。
結果は想像していた以上に指摘事項が多く愕然とした。コース精査の観点として最大の特徴は、PC間は最短ルートで結ぶものとして ショートカットできる抜け道が一切あってはならないという 異常な執念を感じた ものに、、
サイクリングロードと一般道、一般道だと信号が多く走行時間的に明らかに不利になるだろうと直感的にわかっていても、地図上の距離が短いルートで認定距離を算出するのだそうな、、かといってわざわざPCを設けるほどでもなく認定距離算出のための最短ルートとは別に実際の走行ルート(距離がやや増えるが、りんりんロードや旧外房有料道路を素直に走り抜ける、ダート抜け道があってもリスクを冒さず当初予定どおり遠回り?する)の2パターンを作成することとなった。(精査する側もタイヘンと思います、素直に修正指示に従います。)

走行計画

走力のあるメンバーどうしであれば 370km/24h = グロス 15.4km/h での走破は余裕であろう。前倒しで進むに違いない。が、いざ出発を4日後に控えてメンバーが各自で作った走行計画を見て非常に怪しい気持ちになった。それは 各PC 距離を単純に「延べ単(のべたん)」 15.4km/h で割った時間の羅列であり、それすらも厳しそうだ との声が。
「うーん、ちょっと待てよ、、(不安)」各PCにて全員揃ってトイレ、レジ待ち、補給してたらあっという間に10分ないし15分経過してしまう。PC出発時刻の目安にはなるかもしれないが到着時刻の目安と錯覚してしまうと危険である。
それと 300km 以上の走行経験がないメンバーにとって、途中で仮眠をとったほうが良いという想定がまるきり抜け落ちている、、
ルート作者としては、温泉休憩施設のある「太陽の里」275km 地点を境として、前半 275km +休憩 1~1.5時間+後半95km として考えるべきだ。
加えてフレッシュならではの特別ルールとして 22時間時点と24時間地点はピッタリ時刻に全員レジに並んでレシート打刻する必要がある。となると終盤のPCでの遅れは致命的であり 10分以上前には余裕をもって到着しておきたい。延べ単の通過時刻では何とも心許ない。そこで PBP仕込みの計画シートに入力しシミュレーションしてみた。

走行ペース(計画)
走行ペース(計画)グラフ

10月に試走した際の走行感覚的にも近いもので、信号の少ない区間はボーナスステージとして走行速度を稼げるはずで、前半の平均速度は 22km/h 、後半は 20km/h 以上を目安にしないと間に合わなくなる可能性があるということを強く認識することとなった。
はたまた銚子から飯岡にかけて時間的に余裕があれば夕食に海鮮をと思っていたが、このチームの走力ではラストオーダーには到底間に合わないこともシミュレーション結果として判明した、、
結果的に休憩時間が長くなりがちなのは合っていて、この走行ペース計画を作っておいて間違いはなかった。

天気予報

一週間前の予報ではナイトライドが始まる夕方18時以降の後半から雨。これには絶望した。
この時期はまだ気温も低く雨のナイトライドは体力的にも厳し過ぎる。
路面ウェットではパンクやメカトラのリスクも一段と高まる。雨予報なら出走しないと割り切っているメンバーもいる。
前日の予報では雨予報は遠ざかっており、気温の寒暖差は気になったものの、もし当初予報の雨だったら完走は難しかったであろう。

当日の展開

スタート前集合
最終案内書を読むと、「スタート/22時間地点/24時間地点でのレシート時刻が数分(2-8分)前後していたために認定不可」となった事例などが書かれており、設定時間に対するズレには想像以上に厳密で遅刻は禁物と理解した。
チーム用のグループチャットにて自宅出発メッセージや到着見込みを伝えて連絡を取り合った。
スタート30分前には無事に東京駅前で落ち合うことができ、全員で記念撮影。第一関門はクリアした。

スタート前 東京駅

スタートコンビニ
スタート10分前にはスタートコンビニまで移動。ブルべカードの記入事項を確認し出走チェックのサインを相互で行う。
トイレ前には行列が、、都心のコンビニということで有人レジ以外にもセルフレジが並んでおり、全員 7:30きっかりのレシート打刻は思ったよりスムーズにできた。あらためてトイレと簡単な補給を済ませて 7:35過ぎに出発。

スタート序盤
スカイツリーを横目に浅草寺を抜け、江戸川サイクリングロードを目指す。
信号が多く交通量も多いので、スピードは控え目に安全運転を心がけて進む。

スタート序盤 雷門


江戸川サイクリングロード
満開の菜の花に囲まれながら PC1、PC2 と順調に進む。

江戸川CR


ロードバイク歓迎的な 竹林カフェ

竹林カフェ


つくば方面へ
気温が20℃を越えはじめ、メンバーの脚攣りが心配になってくる。PCでの水分補給はミネラルウォータよりも 塩分やミネラルを含んだスポドリの摂取をメンバーに促す。

先頭走者は SRの Kさん。私より馬力もスタミナもある。が、いかんせんパワメをつけておらず本能に任せて走るタイプ。ブルべでは前半飛ばし過ぎて後半は失速気味になりがち。後方走者に負担をかけないためにも負荷ゼロ走法(踏まない)を試すよう依頼。
二番目は紅一点の Zさん。アテンド付きながら先月 300km初クリア。なるべく Kさんの背中を借りて空気抵抗を減らし体力消耗を抑えることを意識してもらう。
三番目は N さん。200km 平坦ブルべは単独で完走できるものの ナイトライドでは視力的な問題もあり 300km は敬遠。加えてここ最近は腰痛を抱えており走行距離が落ちている。元自転車部でメンテナンスを独力でこなせる技量を持っておりメカトラ時には頼れる存在。
四番目は Uくん。フレッシュ参加表明時点でブルべ未経験。その後も私的に忙しく、2週間前のブルべにてアテンド付きながらようやく200km初完走。膝痛を抱えておりロキソニン痛み止め服用中とのこと。
最終走者は私。4人全体を見渡しながらルート分岐点や全体ペース配分を気にしながら進む。

走行距離 60km PC3 を過ぎたあたりから、Uくんが次第に遅れ始める。
中切れする、空気抵抗が増える、追いつこうとして力む、体力を余計に消耗する悪循環を起こしており、このままでは早晩リタイヤとなってしまうであろう。無理に追いつこうとせず、信号待ちなどを利用してなるべく無駄な体力を使わないようリラックスして走るよう声を掛ける。まだ序盤でもあり、急がず慌てず焦らず、肩の力を抜いて安全運転を心がけるように。

97km 四川厨房ふう または PC5 
雨降りの試走では間に合わないと判断した「四川厨房ふう」さんに近づいてきた。ランチのラストオーダー時間に間に合いそうである。ここで走行をいったん切ってランチ休憩をとるのはアリと考え、お店に電話。席は空いているとのこと。

ここの料理は塩分ミネラル補給にもってこいであった。

四川厨房ふう
四川厨房ふう

120km JR神立中央駅 - エスケープポイント その1
10月にメンバーが試走した際には土砂降りにあい、路面ペイントが滑りやすかったり、スマホが水没するなど、あやうく遭難しかけ命からがら輪行帰宅したとのこと。それに較べればはるかに順調といってよく、ここまでは全員クリア。

143km 霞ケ浦
案外ペースが上がらず貯金できず、むしろ借金が増えていく。予定PCには遅れて到着。
無理にペースを上げてメンバーの脚が終わってしまっては元も子もなく我慢が続いていたが、さすがに時速 20km/h はノロすぎてこれではどんどん遅れが大きくなって取返しがつかなくなってしまう。思ったほどの向かい風でもなく、ここはボーナスステージ区間。先頭に 22km/h を下回らないよう少しペースを上げてもらうよう心を鬼にして依頼。

霞ケ浦

169km パンク
稲敷のPCを過ぎて銚子に向かうまで、利根川の北側(茨城側)は路面が荒れていて、モチベーションが上がらない区間。
紅一点 Zさん「パンクしましたー」、ここで元自転車部 メカトラ職人 Nさんの出番が! 日もすっかり暮れて一人では泣きそうなシチュエーションであるが、ここはフレッシュならでは。他のメンバーがライトで手元を照らしあい、職人の手際でチューブ交換をすばやく完了。
時間的な貯金はますます減ってタイムマネジメントが厳しくなったものの、一致団結感が増しての走行再開。

パンク対応

226km PC10 以降
貯金わずかに15分。このままでは「太陽の里」についてもフロント受付だけでタッチ&ゴーとなってしまい休憩ができなくなってしまう。再び心を鬼にしてここからはなるべくスピードを上げるよう依頼。

275km 太陽の里
ペースを上げた結果、なんとか予定15分遅れで到着。フロントで受付をすませ、1時間ほど仮眠休憩時間を確保できた。脚のあるメンバーどうしであれば余裕で温泉にも入れたと思うが止むなし。洗面所にて顔を洗ったり、歯磨きをして仮眠室のリクライニングシートに横たわる。

太陽の里


もし余力がなければ離脱して朝までぐっすり休んでもOKという設定だったが、メンバー全員揃って深夜 1:30 再スタート。

私と Kさんをのぞき、初めての 200km 越えが二名、300km 越えが一名であるが、御宿から大多喜を抜ける深夜の暗闇も 五名で談笑しながら進んでいく。「思ったより眠くないね」「そうだね」、、( わずか一時間足らずの休息ではあったが効果は絶大なり)

(中略…)

369km 蘇我駅
ゴール地点に到着、まさかの全員揃って 24時間走破。

設定ルート

コンビニレシート時刻をブルべカードに転記、全員でチェック。
「いざ、代々木のナイスプレイス会場へ!」
 Nさん「もう無理。疲れたのでリーダーあとはよろしく、、」
 Zさん「以下、同文、、」
 Uくん「以下、同文、、」
え?  まあそっか、我がメンバーよ、よくやったよ、お疲れ様でした、、

このあと Kさんと 輪行で代々木へ向かい、無事にゴール手続きを済ませました。めでたしめでたし。

備忘:ルール

Fleche Japon (360km以上・制限時間24時間)
2024/3/29(金)6:00 – 3/31(日)10:00 の間で、それぞれ各チームでルート設定。

ナイスプレイス受付
2024/3/31(日) 9:00 – 11:50 (ゴール手続き受付終了:11:00)
国立オリンピック記念青少年総合センター

エントリー 申込期間 
2023/11/01(水) – 12/31(日)

参加資格
チーム編成:最低3台、最高5台の自転車で編成されたチームであること

BRM/AJ規定
Fleche Japon規定
フレッシュ規定について補足説明

ブルべとフレッシュの違い
24時間イベントであること、距離は360kmまたはそれ以上とし、24時間時点の距離が認定される。(速すぎても遅すぎてもダメ)

地図上のコントロール・ポイント間の最短距離を実走行距離として採用すること。
22時間目から24時間目の間に、25km以上を走行しなければならない。スタートから22時間目に自分のいる場所をブルベカードに記入して、証明しなければならない。

認定を受けるためには以下の条件を満たさなければいけない。

  1. 最低でも3台の車両がゴールすること。

  2. 全車両が同じ距離を走行すること。

  3. 22時間目から24時間目の間に、25km以上を走行すること。

  4. 360km以上であること。

休憩は2時間を越えてはいけない
… 豪脚揃いのチームとなった場合には注意が必要そうですね。脚力のない私達のチームには無縁でしたが、、

フレッシュはチームそれぞれルート設定が異なり、参加メンバーの脚力によってバラエティあふれるストーリーがあると思います。とにもかくにも貴重な体験となりました。
以上、長々となりましたが、ご一読ありがとうございました。


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