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PBP(Paris Brest Paris) 2023 ① エントリー条件と事前準備


PBP (Paris Brest Paris) エントリー条件

4年に1度開催される世界最高峰といわれるPBPに参加するにはエントリー条件を満たす必要があります。またエントリーできたとしても時間内完走は保証されないという厳しい現実も。このイベントに参加し制限時間内に走破するにはブルべの経験スキル向上が鍵となります。


2023年 PBP 開催日程: 8月 20 日〜 24 日

  • 参加資格:2022年11月〜2023年7月にBRM200、300、400、600の認定を取得していること

  • 優先エントリー(Preregistration):2022年度(2021年11月~2022年10月)認定距離の長い順


 2018年の暮れに念願のロードバイクを手に入れ自転車という趣味をスタート、2019年8月ツイッターに流れてきた PBP というキーワードに興味を持つ。アニメ「ろんぐらいだぁす!」でも PBPに参加することが将来の夢として語られ、次回 4年後の 2023年は自分も参加したいと想いを馳せる。
 しかし当時はおもに写真やグルメが興味の対象で、走行 100km 越えたら大冒険というロードバイク始めたばかりの初心者。PBP参加するにはまずはブルべで 200、300、400、600kmの認定を取得しなければならないと知り、2020年からブルべに挑戦。
 またPBP優先エントリー権を獲得するため、2022年は 日本橋1000km(奥の細道)に挑戦。
 立ちはだかるPBPエントリー条件をクリアするために参戦したこれらブルべの一戦ずつが経験値となり、4年がかりでロングライドに必要な耐性(装備、補給、ペース管理、走力スキル、天候気象への備えなど)が次第に身に付いてきたと実感するようになりました。
 とくに 2022 日本橋1000km は雨ライドから始まって、暗闇+土砂降り+一桁気温、登坂、向い風など… これでもかといった悪コンディションのオンパレードで完走率 44% 。想像以上に苦戦しましたが、このブルべを完走できたことで「選ばれしPBP走者」としての自信が芽生え、時間内での完走にもつながったという想いです。

参考:https://twitter.com/mizurocycling/status/1696085222943801585

エントリー条件を満たすことができて参加の目処が立ったら、実際の手配準備を進めて行きます。

事前準備

ホテルと飛行機の予約

 2023SRを取るためソロ参加した BRM1126 石廊崎400 にて偶然走行ペースの合った AJたまがわ所属の某嫁さん、聞けば 同じくPBP参加予定とのこと。このとき連絡先を交換しておいてとても助かりました。
 年が明けると AJたまがわ PBP常連の方々も動き始め、宿と飛行機の予約を始めているとのこと。
 早速 Booking.com にて ibis Saint-Quentin-en-Yvelines Vélodrome を予約。

ibis Saint-Quentin-en-Yvelines Vélodrome

 チェックイン当日までホテルキャンセル料がかからないという安心さ。
後に聞けば、すぐ隣のヴェロドロームは2015年以前のPBPスタート会場、2023 TDF ツールドフランス最終第21ステージのスタート会場 かつ『2024パリオリンピック』自転車トラック競技の会場でもあり、まさに自転車の聖地。2019年以降PBPスタート会場のランブイエまで鉄道一本で行けて、徒歩圏に巨大スーパーのカルフールありという好立地でした。

VELODROME

 周辺では Best Western Paris Saint-Quentin  も日本人ツアー指定ホテルになっており、またドロップバッグサービスのピックアップ指定もあることから人気があるようでした。

 飛行機に関しては、ロストバゲッジを避けたい想いから直行便のあるエールフランスにしました。はるか学生時代に経験した初海外旅行はパリ往復航空券とパリでの初日宿予約のみ、そこから飛行機と鉄道を乗り継いでエジプトとヨーロッパを1カ月ほど安宿を渡り歩きながら周遊。実は学生の頃フランス語に興味があって、NHKラジオ/テレビのフランス語講座を通じて1年間みっちりと取り組んでいた時期があり、簡単な旅行会話(食材やレストランでの食事、数字の数え方や買い物、飛行機・鉄道・タクシー、ホテルの利用、道の尋ね方など)程度は習得していたという背景も。その後、社会人出張でフランスも何度か(とはいえ通貨がフランだったはるか昔の話)。語学の習得は地味ながらモチベーション的にとてもアガる要素でした。「PBPに出る」とか何かを成し遂げようと思ったとき,原動力としてモチベーションは重要で、自分なりにモチベーションを高める要素を何かしら持っていたほうが成し遂げやすいと思います。(PBP走り始めてしまえば、共通語は「自転車」ですので、喋れなくても心配はいらないです。)
話を戻すと、経由便はロストかつスーツケース放り投げ破損など苦い経験あり。JAL/ANA マイレージはとっくに期限が切れておりこだわり無し。エールフランスはメインがフランス語なので、フランス語会話のリハビリが一足先にできるのと、結果ツアーと被ることなく荷物預けもスムーズだったのが個人的に良かったです。
 パスポートの期限も切れていたので年始に更新。ちなみにパスポート番号がわからなくても航空券の購入はできてしまい ひとまず座席を確保、あとから航空会社のサイトを通じて登録すればチェックインも問題ありませんでした。
 HIS経由で往復航空券のみ購入しましたが、自転車(規格外オーバーサイズ荷物)の追加申請、座席指定変更などはエールフランスのサイトを通じて事前に行いました(別途クレカ引き落とし)。

 飛行機と宿の予約さえあればあとは何とかなるかと思いつつ、とはいえ肝心のPBPは初めてなので経験者の土地勘や走行にまつわるアドバイスに勝るものはなし。現地滞在中も 某嫁さん、ぜっと隊長はじめ、AJたまがわの方々には何かと大変お世話になり感謝です。

飛行機輪行の準備

 ちなみに飛行機輪行は初めてです。PBP参加するにあたって飛行機輪行は避けて通れません。せっかくPBP参加するのに、移動の段階で大事な自転車を壊してしまうリスクは極力最低限にしたいという想いです。
 愛車 CANYON のサイトにてアクセサリのページを覗くと、飛行機輪行アイテムとして、なんとも頑丈そうな(プロも使ってそうな?)ハードケースが。迷わずポチリました。
 
 CANYON 輪行ハードケース (B&W bike.box II)

 使い方は Youtube を参考に。
 https://www.youtube.com/watch?v=BHvZ9RWQKB8

 ハンドルを外しますが、シフトケーブルやブレーキケーブルとつながっているため動画のような位置関係に収まりませんでした。そこは収まるようにしてフレームとハンドルの当たる部分をクッション材で養生すれば良しとしました。
 ハンドル、シートポスト、ペダル、ディレーラーを外すことにより輪行移動に伴うメカトラは一切なく、この点においては期待通りでした。
 サイズも空港でのチェックインの際、規格外荷物のX線コンベアに寝かしてぎりぎり通って行けるサイズでした。

 空港の荷物預け/受取で見ていると、バイクポーター(プラ段ボックス)が7割、シーコン2割、輪行袋1割といった感じで同じタイプのハードケースを見ることはありませんでしたが。
 価格はシーコンの半額程度のようですので、良い買い物をしたと思っています。ただ難点として持ち上げづらいのと、取り回しがしづらくまっすぐに押して進めない感じがあります。なので鉄道バスの利用は困難と思い、羽田空港までマイカー、CDG空港とホテル間の移動はタクシーと決めていました。
 取っ手らしきものがベルトしかなく、大きさ重量的に車の荷台に積むのに一人で持ち上げようとすると腰を痛めそう(今回およそ20kg近く)で、タクシー運転手と二人がかりで積み込みしたり、、といった慣れない苦労もありました。

 国内で用いる輪行袋の場合、ハンドルやシートポストまで外すことはまずないので事前に練習しましたが、カーボンパーツならではの気付きが出てきました。
 CANYON ですと自分で組み立てる想定なため簡易的なトルクレンチが付属してきます。カーボンパーツを締め付けるのにこれは必須アイテムとして重宝しました。

CANYON付属のトルクレンチ
(右のスターレンチは追加購入)

 あとはこの機会にカーボンパーツ専用のグリースを購入しました(ちょっとお高いですが)。
 https://amzn.asia/d/3KTss61

 ヘルメットはエアキャップの袋にいれて、空いているスペースにシューズやサドルバッグ、トップチューブバッグ、ハンドルバッグ、予備タイヤなどを詰めて完了です。
 フロアポンプも隙間に入りそうな感じでしたのでエアキャップで巻いて最後に入れました。タイヤは念のため空気を抜いておき、ホテルの部屋で輪行解除とともに空気を入れることができ、すぐに試走を開始できたのは時間節約にもなって良かったです。

バイクボックスの中身

 尚、フランスは日本とは逆で右側通行のため、組み立てる際ミラーは左のハンドルバーエンドに取り付けます。

 リチウム電池類は機内持込荷物の扱いになるため、サイコン、スピードセンサーやパワーメータの電池は予め外してプラスチックケースにまとめておきました。

バッテリー、電池類

 リチウム電池類は、機内用手荷物としてであれば持ち込みOKなので、スーツケースや輪行バッグに混ぜないように分けておきます。
 制限走行時間 90時間のうち、21時-翌7時までの夜間走行が 4回あるので、最低でも 10時間 x 4回 = 40時間 はライトを保たせる必要があります。

ライト・バッテリー類

 モバイルバッテリー、電池は重量がかさむので、現地ではドロップバッグを手配して2カ所に分散して配置しておきました。

 フランスは 220V でコンセント形状も異なるので、変換プラグが必須なのと、充電アダプタも 220V 対応のものを持っていきます。(延長コードやタップは 220V 対応していないものが多いので注意が必要です。)

変換プラグ
200V対応表示

参考結果:以下のバッテリーで間に合いました

 ふだんこんなに連続使用することはまずありませんので、ぶっつけ本番的でした。結果も追記しておきます。

フロントライト
 CATEYE Volt400 Neo 2本(メインとサブ)
 … メインは 3日目を迎える前にモバイルバッテリーから充電を足しました
 CATEYE Volt800  1本 (サブ)
 … 深夜単独走行時に 1-2時間ほど使用あり
 CATEYE URBAN2 1本 (ヘルメット用 単三電池×2本使用)
 … 3日目を迎える前に電池交換しました

 走行中のおもな使い方:
  ハブ軸に取り付けた Volt400 Neo メイン を Low モードにて(メインのバッテリーがなくなったら、ハンドル下に取り付けた サブの400 Neoと位置交換、ローテーション)
  ヘルメットに取り付けた URBAN2 をサブとして必要に応じて使用(カーブで視線の先を照らしたいなど)
 ※ どこぞやの PC を出るときに係りの人から
  「2灯にしてね、とくにこの先暗いから」と車検時と同様にチェックされました。

モバイルバッテリー (使い方によるので個人差が大きいと思いますが)
 10,000mAh (ANKER PowerCore10000) x 6本 
 … 走行中 Openrunner マップを表示させるため iPhone には常時給電。
  Bluetooth Off、国内ブルべでは 1本で 24時間の実績あり。
 スマホ以外に Volt400 Neo、GARMIN1040 Solar にも1回ずつ給電継ぎ足し。計 4本 ほぼ使い切り。2本 は予備、お守りとして余り。
 バッテリー1本あたり194g、6本合わせると約1.2kg。重量はかさんだものの、途中 PC/WP ではコンセントから充電することなく終わりました。
 コネクタ形状など日進月歩ですので、4年後はまた変わると思います。本番で初めて使用することはなるべく避け、日頃のブルベ等で使い慣れておくことが大事と思います。

<追記>
GARMIN 1040 Solar のバッテリー持続時間は天候に左右されます。今回のPBPは連日ほぼ快晴で日光がよく当たっていたので一回の給電で済みましたが、曇り空ですとバッテリーの減りが早まり、給電回数が増えていたことでしょう。
あと、バッテリー性能や持続時間は周囲の温度にも左右され、低温ですとカタログスペックを下回ることもあります。今回は暑さも味方したと思われます。
長距離ブルベの装備を考える上で、必要数ぴったりではなく、+N(1、2、、)個あったほうがより安全で確実という発想でいます。




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