「読む笑い」 『双子』③
(双子②の続き)
B:まあ、パニックになるのはわかるよ?
でも、それで、持ち帰るって発想にはならないでしょ
A:じゃあ、お前ならどうよ?
B:どうって、
A:1人だと思って
「良かったね」って祝福モードの中
もう1人産まれるんだぞ?
B:いや、だから、助産師さんも
パニックになるのは仕方ないと思うよ
A:だろ?
B:うん、確かにおかしな話よ?
でも出てきたんだから
「すみません後ひとりいたみたいです。」
って言えばよかったじゃん
A:まぁ、確かにそう思うけど、
B:普通そうするだろ
A:でも、その助産師さん
「私が育てなきゃ!」って思ったらしい
B:間違ってますよその責任感!
普通そうならないでしょ。
A:まぁ、でも、なっちゃったから
B:なっちゃったから、じゃなくて!
じゃあ、生まれた時とかどうしたのよ。
絶対お母さんはわかるじゃない?
A:なんとかごまかしたって。
B:無理無理!絶対わかるから!
「私、今もうひとり産みましたよね?」ってなるって。
A:助産師さん、相当!相当
問い詰められたらしいよ
B:そらそうよ!
お母さんは確かに産んでるんだから。
A:でもなんとか隠し切って持って帰ったんだって。
B:まじで?
A:「私のもう1人どこにやったんですか?」
「隠してませんか?」ってお母さんは
何度も言ったらしいけど
B:うん、じゃあ渡してあげろよ
A:だから、
「私が育てないと!」って思ってたのよ!
B:いや!なぜ渡さない。
目の前にお母さんいるのよ!?
A:だけど、「この子は絶対に渡さない!」って
B:渡せ!
てか、おい、冷静に聴いてたら誘拐だよな!?
A:確かにな。
B:いや、確かになじゃなくて…
(双子④に続く)