「読む笑い」 『巨人』⑥
(巨人⑤の続き)
A:お前が認めないから、
この資格がどれ程の効力を持つか教えてやろうか?
B:その資格云々の話ではないって
さっきから言ってるんだけどな、
A:まぁ聞け!
この資格はな、履歴書にも書いていいくらいの
ちゃんとした資格なんだからな
B:え、お前、履歴書に書くつもりなの?
A:当たり前だろ。
なんなら、それ目的で取ったんだわ!
B:まじかよ…
A:な?分かっただろ?
これで物理的にも認められるの
B:いや、論理が飛びすぎてるけど、
じゃあ、面接のときに
「あなたは3mの巨人なんですね」ってなるわけ?
A:そうって言ってるじゃん?
そのために取ったんだから。
そこを強みにして行くのよ!
B: …それでお前を見て、
面接官はどう思うと思ってる?
A:「いや〜、やっぱり大きいですね!」
って言うだろ
B:言わねえよ!
実際にデカくないんだから
A:言うに決まってるだろ!
お前なにを聞いてたわけ?
履歴書見て、「3mの巨人」って書かれてて
「この人は3mの巨人なんだ」って思ったら、
デカいだろ!
B:はぁ、いいか、
これは友だちだから言うけどな、
頼むからよく聞いてくれ
A:なんだよ
B:大きさってそんな概念的な話じゃないんだって。
実際にお前を見て
資格を持ってるって分かったとしてよ?
お前は3mの巨人の資格を持ってる
170cmくらいの人ってなるだけなの!
A:お前なぁ
ほんとにこの資格の意味を分かってないんだな。
B:いや〜、もう、何でわかんないのかな…
(巨人⑦に続く)