｢読む笑い｣ 『巨人』⑦

(巨人⑥の続き)

A:この資格を取った理由ってのがね
大きいってだけで結構、就職とかも有利に働くのよ

B:そっか〜、ほんとに大きければな。
一応聞くけど、どんな風に有利に働くの

A:第一、それだけ大きいんだから、
人が届かないところの作業とかできるだろ？
オフィスの2階3階の窓拭いたりとか

B:まぁ、ほんとに大きかったらな？

A:あとは今までクレーンとかでしか運べなかった荷物とかを運べるわけだし。
それなら経費削減とかになるから、採用側は欲しいわけよ


B:ほんとにそんな大きな荷物運べたらな？
でも無理だろ？

A:無理じゃねえよ！巨人なんだから

B:お前まじで大丈夫か？

A:なんだよ。お前、そろそろ信じろ？

B:いや、じゃあ、仮にその資格で採用されました。
いざ働くときにお前はめちゃくちゃ大きい荷物持たされる訳だぞ？
高いところの窓とか拭かされる訳だぞ？ 

A:だから今そう言ったよな？

B:いやいや、お前は何も分かってない。
お前出来ないだろ、巨人じゃないんだから

A:だから、今できるって言ったよね？
巨人の資格があるからできるのよ

B:出来ないだろ〜…
資格を持ってても人間なのになんで出来るんだよ…

A:巨人の資格を持ってるから巨人。
だから、巨人のできることができるだろ！

B:いや、もう、やってみたらいいよ…

A:ただね、
これが巨人のデメリットでもあるんだけど、
室内だと結構窮屈だし、細かい作業がしづらいんだよね

B:無い無い！大きくないんだから

A:あとね、将来的な話だけど、
5mの資格取りたいんだよね

B:もう、どうぞ。ご自由に

A:5mの巨人の資格持ってる人とかってね
自衛隊とかから結構、勧誘が来るらしいよ

B:そうか〜、そうか。

A:やっぱり、大きいだけで兵器になってしまうからな。
おれも憧れるのよ！
戦車を掴んで投げ倒してみたりさ！

B:もういい、もういい、もういいよ！！


(巨人⑧に続く)