ハウスの象の活用
ホロスコープ占星術におけるハウスの基本的な象意については、
を見てもらうとして、以下、クリスチャン・アストロロジーにいくつか補足を加えた上で、複合アスペクトについて説明し、次にハウスの名称について触れ、最後に中国占術の六壬神課と紫微斗数での活用方法を述べることにする。
クリスチャン・アストロロジー1巻7章への補足
『キリスト教占星術(Christian Astrology)』(William Lilly, 1647年)は17世紀の英国で書かれたもので、当時の英国の文化的な背景をベースとしている。そのため現代、そして日本の文化においては再検討が必要な部分もある。それを最も必要としているのが4室だ。William Lillyは4室ついての記述を、
4室では父親についての一般的な事柄や質問者や生まれた人の父親についての事柄を判断します。
で始めている。これは17世紀の英国において、父親が家庭というものを特徴付ける存在であったことをベースにした記述といって良い。しかし3世紀ローマ帝国で占星術師であったJulius "Firmicus" Maternusは4室の象として両親をあげている。
基本的に出生図において4室はホロスコープの持ち主の家庭環境を象徴しており、そしてその家庭環境を特徴つける人物を象徴していることになる。多くの場合、両親のどちらか一方ということになるだろう。では他方はというと4室から見た配偶者のハウス、つまり4室から数えて7室であり、結論としては10室ということになる。これが複合ハウスの考え方だ。
複合ハウス
ホロスコープ占星術では1室が本人であり、そこを起点として12のハウスが配置される。そこであるハウスを起点としてそのハウスに付随する象徴に対応するハウスを決めることが可能だ。例えば配偶者は7室だが、配偶者の財産は7室を起点とする2室、つまり8室でしめされる。クリスチャン・アストロロジー1巻7章でもこの考え方に基づくハウスの象がいくつも出てくる。
出生図の読解ではそんなに使用しないかもしれないが、ホロスコープを使った卜占であるホラリーや出生図を卜占的に読解しないといけない場合において、複合ハウスは非常に重要になる。ホラリーの従兄妹くらいになる六壬神課でも重要だ。
そしてこの複合ハウスの考え方は紫微斗数でも成立する。紫微斗数のハウスの配置はホロスコープ占星術とは異なっていて、命宮を起点に十二支と逆の順番で、兄弟宮、夫妻宮、子女宮、財帛宮、疾厄宮、遷移宮、奴僕宮、官禄宮、田宅宮、福徳宮、父母宮と配布される。ハウスの名称が〇〇宮なのは、紫微斗数でもホールサインシステムを採用していて、紫微斗数ではサインは十二支に対応している。そのサインとハウスの区切りが一致しているから『宮』とよばれているわけだ。
紫微斗数で、例えば命宮が丑宮の場合、亥宮が夫妻宮となる。配偶者の収入は亥の夫妻宮からの財帛宮ということで未宮となる。元々の紫微斗数の盤では遷移宮になる。
ハウスの呼び方
西洋占星術では、ハウスは番号でしか呼ばれないけれども中国占術ではハウスは固有の名前を持っている。その対応関係を下にしめす。
中国占術で命宮はホロスコープ占星術で1室と同じ象意を持っている。他のハウスについても同様だ。ただ12室をどうするかについて中国人はかなり悩んだようで、これで決まりといったものがない。また『六壬尋源』の六壬推命では命宮は上表とは異なる出し方を採用している。
古くはホロスコープ占星術でもハウスに固有の名称があったと推測できるけれども、複合ハウスの考え方を重視したためなのか、ハウスは固有の名称を失って番号でよばれるようになっている。
中国占術でのハウスの活用方法
筆者にとってハウスの活用方法として重要なものの一つに紫微斗数の命盤の確認がある。紫微斗数は正しい命盤が得られた場合に非常に良く当たるけれども、正しいはずの出生年月日時で命盤を作成してもピンとこないことがあり、その場合に生時をずらすと当たる命盤が得られたりする。そこで命盤をチェックする必要がでてくる。その場合、命宮でしめされる人柄だけでは弱い。人間の性格は非常に多面的なので「そう言われればそうかも」となってしまうことがあるからだ。
そこで筆者は以下の3点でチェックしている。
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