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80's / 橘玲
僕の読書記録の記念すべき1冊目に当たるのがこの本「80's」だ。
僕自身読書習慣のない人生を歩んできた訳ではないのだが、ここ3,4年は一冊も本を読まない生活を送ってきていた。
そんな“非“読書生活にピリオドを打ったのが何故この本なのかと言われると、実は特にこれといった理由はない。
強いて言うなら読書を辞めても、唯一毎月購読しているPOPEYEの今年8月号が読書案内であったからだ。
そんなふとした理由から、時間がある時に街の本屋へ。久々に感じる新書の匂いを少し心地よく思いながら、何冊か手に取り、書き始めと後書きとを確認しながら30分ほど吟味。
その結果、ありそうでないシンプルで洗練された表紙とシンプルな名前に惹かれてこの一冊を選んだ。
そんなふとした出会いをしたこの一冊からいくつか心に響いたフレーズを挙げようと思う。
今更だが、このブログは僕が心に響いたフレーズを書き留めておく為に書き綴っている。
「誰にでも、なぜか記憶に刻み込まれて忘れられない些細な出来事がある。これはそんな私的な物語だ。」
このフレーズで僕は妙な高揚感を覚えた。それはきっと僕自身例に漏れずこの「誰にでも」に当て嵌まったからだろう。僕は今20歳で、丁度本書で冒頭の頃に当たる年齢だ。
僕の人生でこれまで起きた些細な出来事をほんの少しだけ、思い出した。
「当たり前の話だけれど、日本語のものをロシア語で読んだからといって倍感動できるわけはないのだ。」
このフレーズに出会った時、僕はドキッとした。何故ならこのフレーズに出会う、つい1週間ほど前に吹き替えで見た海外ドラマに感動を覚え、それを字幕で見直そうと思っていたからだ。
恐らく僕だけではないと思うけれど、一度感動を覚えたコンテンツにもう一度同じ感動を期待してしまうことがある。だけどそれは叶わないことで、人生にもう一度はないんだと再実感させられたフレーズだ。
「“新聞の求人欄を見て面白そうな仕事があったら、面接に行って“一生懸命働きます”っていうんだよ。君がなんにもできないことくらい、みんなわかってるんだからさ“」
僕自身就職活動を控えた大学生であることもあり、このフレーズには感銘を受けた。周りの誰もが資格や経験で武装をしてこの就職戦争に向かう中、その現状にある種の違和感を覚えていた自分にとって、その違和感を文字に起こしたようなフレーズだった。
かく言う自分も就職を考え、「自分には何ができるのだろう?」などと考えていたが、根本的には何も出来ないのだ。何もできないからこそ、どんな仕事にでも就けるのでは無いか。そう思わせてくれた。
「いいかげんにやってもけっこう世の中、生きていけるもんだなぁ」
一見このフレーズは無責任にも思えるが、本当は違う。こう思えるのはそれまでずっと本気でやっていた人間だけだと僕は思う。
それまで全力疾走をしてきた人が、肩の荷が降りたことで身軽になったそんな感覚に思える。
「言葉の意味は個々の文字や単語ではなく、文脈によって決まるからだ」
自分の中でとてもしっくりときた、言葉に対する認識だ。現代のSNSやメディアにおける言葉の齟齬はこの認識があれば起こらないのでは無いかと思った。
「「差別語」をなくすためには、単なる言葉の言い換えではなく、ーあらゆる「差別」を取り除かなければならない。」
どの問題にも共通することではあるが、見た目や上面だけではなく、根本から解決しなくてはならない。そんなことを改めて気付かされた。特に差別問題に関しては、言葉の言い換えだけでは解決できない問題が間違いなくあると僕も思う。
「振り返ってみれば、バカな頃がいちばん面白かった。だけど、ひとはいつまでもバカではいられない。そういうことなのだろう」
まだ20歳の僕だけれど、いや、だからこそ。バカでいても許されるうちに良い人生の経験を積みたいなと切に思った。
以上が僕に響いたフレーズでした。