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ZCONマインドマップ解読~平沢進の頭の中~
この記事では、平沢進のインタラクティブ・ライブ「ZCON」に際して平沢本人が作られたマインドマップの一部の解読を試みます。
※全文無料でお読みいただけます。
※ZCONのネタバレを含みます。ネタバレを避けたい方は、閲覧をご遠慮ください。
この記事を読む際の注意
①この考察は、GN(ファンクラブ)に加入していない者が書いた考察です。あまり詰められていない点も多いですが、ご了承下さい。
②このnoteは「解説」ではなく「解釈」で、考察の域を出ません。あくまで個人の解釈として受け取ってください。ただしリアクションは大歓迎でございます。一緒に考察を楽しみましょう。
③著作権の関係から、歌詞・発言等は全て「引用」の形態を取らせていただきます。そのため、歌詞全文は検索等を行ってください。
ZCONのマインドマップ
平沢進のBackSpacePass(以下:BSP)の「ZCON」回にて、平沢自身が作ったマインドマップの紹介がありました。
マインドマップは、今後のDVD販売等を考慮しネタバレ防止のために、「文字化け」の処理が施されていました。
ですが……やっぱ何考えてんのか知りたいじゃないですか。
ということで文字化けされている箇所だけを頑張って解読してみました。
解読方法
ZCONライブ前に平沢がTwitterに投稿したマインドマップがあります。
今日のマインドマップ。 pic.twitter.com/wgonCvPxrj
— Susumu Hirasawa (@hirasawa) October 14, 2021
これを手掛かりに、文字化けした箇所に当てはまるものを1つ1つ探します。だんだんと文字化けした文字とアルファベットの対応表ができてきます。
しかし平沢、タダでは通してくれません。
マインドマップには2種類の文字化けが施されていました。ある程度解読に使える対応表ができたのは片方の文字化けについてのみで、もう一方については対応表が作れるまでの文字数が書かれていませんでした。
よって限界はありますが、面白いこともいくつか発見できたので、ここでnoteとして残しておきたいと思います。
※注意:多分に「解釈」が含まれています。マインドマップの内容を断定するものではありません。かなりの部分を予測・推測で補いながらも、ある程度の一貫性を持たせたつもりです。決してこれが正解というものではないので、その点についてご理解ください。
解読できたマインドマップ
認知と不協和の領域
適宜、画像は拡大表示にしてご覧ください。
![](https://assets.st-note.com/img/1724096180530-x1slIaEqdh.png?width=1200)
「認知と不協和の領域」についてのマインドマップです。
左下に紫色の吹き出しがありますが、これは平沢がBSPで言っていた「感情喚起」でしょう。そこからハートマークを経由し「LOCKED」に行き着きます。BSPでは「不安や恐怖の定着」と表現されていました。
BSPの言葉から推測するに、多数派メディアでないところからの情報が、LOCKEDに結びついているように見えます。こうして引き起こされる認知的不協和は、2つ以上の矛盾する認知の共存であり、このときの心理状態は「BLACK BOX」でしょう。矛盾にかかるストレスを解消するために認知をねじまげるか、その不協和をそのまま維持するかは、ここで決まるのでしょう。
右下には「UNLOCK」のパートがあります。ZCONの登場人物が不安・恐怖にさらされる場面は何度もありましたね。その不安・恐怖のどれもが実は無いものだったと理解できたとき、UNLOCKとなり、自らの中にあるBEACON(マインドマップではBECONとなっています)に気づくのでしょう。ちなみにUNLOCKの手段として、吹き出しに「SAX UNLOCK」とありました。また感情喚起からUNLOCKへ直接的に向かう線も引かれており、完全には解読できませんが「BECON CALL……BY SAX」と書かれています。
自滅する奴隷の領域
![](https://assets.st-note.com/img/1724096801033-FbIlXBbAb4.png?width=1200)
「自滅する奴隷の領域」についてのマインドマップです。
流れは「ZCONITE」→「GEODE」→「AUTO TUNE」となっています。
AUTO TUNEについては文字の対応表からある程度の確信を持って導きましたが、GEODEについては完全に推測で解きました。具体的には「▲EO▼E」という文字列だけ分かっており、これに当てはまりそうなアルファベットや、成立する単語を推測して埋める作業です。この語は完全に私の解釈になりますので、ご了承ください。
ZCONITEについては、この記事を読むような人には説明不要ですね。一応、ライブZCONの中心的なワードで「概念的な石」と定義されています。ZCONでは観客(改訂評議会の議員という役職です)とネット上からの参加者(天候技師という役職です)とで力を合わせて、ZCONITEを取り除いていきます。
GEODEは「ジオード」と読み、日本語では「晶洞」と表記します。
堆積岩や玄武岩といった鉱物の内部にできる空洞のことで、これが大規模な洞窟レベルで発生すると「がま」と呼ばれます。(「晶洞」のウィキペディアには偶然にもシトリンのジオードの写真が使われています。)
なぜ私がジオードという言葉を充てたかというと、「空洞=空っぽ=無い」という連想からです。
私はさっき「無いもの」と言ったが、新譜「BEACON」の中では「無い」という表現が相反する意味を持って出没する。
— Susumu Hirasawa (@hirasawa) July 5, 2021
俗世間が「無いもの」としているある種の気配に説得力を持って影響を受けた経験があり、その回数の多さから「無いもの」に信頼を置いている者ならば、俗世間が「有る」と喧伝するものが「無い」と直感でき、俗世間の証左であるところの「有るもの」たちの無価値を知ることができる。5回読みましたね?
— Susumu Hirasawa (@hirasawa) July 5, 2021
やっかいなことにBEACONでは相反する「無い」が続けて出てくることがあり、それでも俗世間が「無いもの」としている気配や事柄に信頼を置く貴方ならすぐに違いが分かり、迷惑極まりないロジックの森で迷子になることはない。
— Susumu Hirasawa (@hirasawa) July 5, 2021
AUTO TUNEはそもそも音楽用ソフトウェアのことで、いわば音痴な歌声をデジタル信号処理によって上手く聞こえるように編集するツールです(「禁断のプラグイン」とか呼ばれているそうです)。しかしここではオート(自ら)+チューニング(調整)の意で考えてみましょう。
「自滅する奴隷の領域」はBSPにて「緩慢な死の行列」と表現されました。上記のマインドマップを解釈するなら、こうです。ZCONITEによって一部の人間はジオードと化した。つまり自分の思考や判断を空洞化された。そしてそれが行き着く先は、自らを与えられた価値観でしか調整できないオートチューン人間である。
ZCONのストーリーにも適合的かと思います。「アンバニたちは制御され」はジオード化と符合します。「そしてその苦痛が反生命的であることに気付かせないよう、まるでその苦痛が勤勉という美徳に向けて邁進していることの証であると錯覚させる標語によってその辛い労働は支えられました」はまさにAUTO TUNE=オートチューニングのことでしょう。
嘲笑の領域
![](https://assets.st-note.com/img/1724098959015-20vhqHPBaJ.png?width=1200)
「嘲笑の領域」についてのマインドマップです。
紫色の部分には「LIVE」とあります。これは平沢がTwitterにあげたマインドマップでもはっきりと読み取ることができ、この解読の足掛かりになる箇所でした。
そのすぐ下には「HUMAN-LE」とあります。ZCONでは演奏されなかった楽曲ですが、実はこのマインドマップに2回登場するワードです。以下は平沢がBEACON制作に取り掛かるときのツイートですが、ここからも「回=回」との連続性が伺えます。
そして回=回から次のテーマに取り組んでいる。
— Susumu Hirasawa (@hirasawa) July 30, 2020
分かると思う。
次のソロは回=回以降のテーマとなる。
下の頭部の図には、「RUBY CITRIN」とあります。ZCONのメインキャラクターと言っても良いでしょう。なぜそれが1人の人間の枠内に書かれているかは、見た人ならば分かりますね。ちなみにこの箇所も、判明した文字から穴埋め式に推測したものですが、この文字が埋まったときはめちゃくちゃ爽快な気分でした。「RUBY CITRIN」の下には「BOARD」とあります。板という意味のボードはこの字なのですが、動詞の意味として「船・列車・飛行機に乗る」という意味があります。これもZCONを見た方ならぴんと来るはずです。
その他
![](https://assets.st-note.com/img/1724099414787-Y9pYcuL0QQ.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1724099430927-pKfLmUx0lK.png?width=1200)
「ライブの方法などに関する領域」については、未解明の文字が多く、解読がかなり困難でした。
ただし「ZIORAMA」という語を発見しました(左下の黄色枠の部分です)。ZCONITEやGEODEという語との連続性が伺えることから、「ZCONITEに侵されたものが見る世界観」みたいな意味なのでしょう。「ジオラマ」との言葉遊びかと思われます。
再びここでも「HUMAN-LE」が出てきております。しかもよーく見ると、AUTO TUNEとの間を「フィードバック」という線で結ばれています。
ライブZCONの背後にはHUMAN-LEが何度も登場します。HUMAN-LEについての解釈が、更なる深い理解に導いてくれるかもしれませんね。ということで次回の『新解釈』シリーズは、HUMAN-LEで決まりです。
(あまりにも大変な解読作業だったことと、これまでの記事・今後の記事のモチベーションとさせていただきたく、この記事にのみ投げ銭のシステムを設置させていただきました)
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