『15のコント達#15 GONGON儒艮のジュウゴの呪禁』コント⑩「Can I eat it?」
藍茶:井中勝平(いなかかっぺい)。田舎で育った男。
桃寧:外海みやこ(とかいみやこ)。都会で育った女。
舞台上道具なし。1人板付き。
■明転
桃寧、舞台上に立ち少し不機嫌な感じ。藍茶、少し遅れて舞台下手袖から登場。
アチャ「おう、みやこ!待たせたな!わりぃわりぃ!」
モネ「もう、勝平!貴方って本当に時間にルーズなんだから!」
アチャ「ルーズ?なんだそりゃ?喰えんのか?」
モネ「食べられないわよ!ルーズは『だらしない』ってこと!」
アチャ「そうだったんか!オイラ、田舎育ちだからカタカナの言葉全然わっかんねぇぞ!」
モネ「全くもう!とにかく急ぐわよ!」
アチャ「そんなにせかせかすることねぇだろ?」
モネ「タイムイズマネーって言葉、知らないの?」
アチャ「タイムイズマネー?なんだそりゃ?喰えんのか?」
モネ「食べられないわよ!『時は金なり』っていうことわざ!」
アチャ「ことわざ?なんだそりゃ?喰えんのか?」
モネ「食べられないわよ!ってか『ことわざ』はもはやカタカナ言葉でも無いじゃない!」
アチャ「なんだよ!そんなカリカリカリカリ怒って!おめぇアレが足りてねぇんじゃねぇか?」
モネ「何よ!カルシウム不足とでも言いたいわけ?」
アチャ「カルシウム?なんだそりゃ?喰えんのか?」
モネ「これは食べられます!!!」
アチャ「喰えるんか!カルシウム!」
モネ「てか、アンタの方から振ってきたんじゃない!『アレが足りてないから怒ってる』って!アレってカルシウムのことじゃないの?」
アチャ「カルシウムのことじゃねぇぞ!」
モネ「じゃあ何が足りてないから怒ってるって思ったのよ!」
アチャ「えーっと。なんだっけか。えーっと。あ、そうだ思い出した!睡眠!」
モネ「めちゃくちゃマトモなこと言うじゃないの!!!」
アチャ「マトモ?なんだそりゃ?喰えんのか?」
モネ「食べられないわよ!ってかなんでアンタはそんなに言葉を知らないのよ!」
アチャ「オイラ田舎育ちだからよぉ!」
モネ「『田舎育ちだから』で片付くレベルじゃないわよ!!!」
アチャ「レベル?なんだそりゃ?喰えんのか?」
モネ「あと何でもかんでも『喰えるかどうか』でしか区別しないのやめて!!!」
アチャ「なんでだ?喰えるかどうかで区別したらダメなんか?」
モネ「ダメとかではなくて、純粋に意味がわかんない!!!」
アチャ「でも『喰えるかどうか』って結構大切なことだと思うんだけどなぁ。」
モネ「時と場合によるでしょ!!!」
アチャ「じゃあよ。今日はオイラ…お前のこと喰えんのか?」
モネ「…。」
アチャ「…。」
モネ「いきなりめちゃくちゃ下ネタぶっこんでくるんじゃないわよ!!!」
アチャ「シモネタ?なんだそりゃ?喰えんのか?」
モネ「自覚してないの!!?じゃあさっきのは本当の意味で私のこと食べようとしてたってこと!!?」
アチャ「…。」
モネ「…。」
アチャ「…。」
モネ「……怖い間やめて!!!」
アチャ「ん?」
モネ「ここでそんな間空けられたら、本当に食べられちゃうのかなって不安になっちゃうじゃない!!!」
アチャ「大丈夫だ!オイラお前のことなんて喰わねぇぞ!」
モネ「じゃあなんでさっき『お前のこと喰えんのか?』なんて訊いてきたのよ!!!」
アチャ「…なんでだっけか?思い出せねぇ!へへへへ!」
モネ「…まったく、喰えない人。」
■暗転