秋について
今までの人生を振り返ると、秋って良い思い出が比較的多いなと思った。
夏はダメだ。暑いし汗かくし、ハンカチ忘れたらテンション下がるし、虫は飛ぶし、調子に乗ったやつがうるさいし、肌は焼けて痛いし。
クーラーは人類の叡智で神の祝福だけど、付けすぎるとだるくなっちゃうし喉は痛いし電気代は嵩むし。
秋はどうだ。
秋はいい。
「食欲の秋」を言い訳にして、食べすぎても罪悪感に苛まれにくいし、実際美味しいものが多い気がする。
服装はというと何か一枚羽織るものがあるから安心する。
Tシャツ一枚だと剥き出しの自分で社会と対峙しないといけないようで怖い。カーディガンやジャケットのような薄手の何か一枚があると心強くて、多少闘える気がする。
まあ自分のことなんか誰もそこまで見てないので、虚しいファイティングポーズなんだろうけど。いいのだ。
ただ、「他人は気にするほどこちらを見てないけど、少しは気にしてる」というのが持論としてある。これはずっとそう。
紅葉もいい。色がいい。赤・茶・黄色。どれも原色ママではなく、少しだけ黒が混ざっているのが落ち着く。
夜風もいい。秋の夜長の風呂上がりや、何もない秋晴れの休日の午前中、窓際で浴びる夜風は最高だ。
芸術はそんなに分からないけれど、秋になると美術館に行きたくなるし、結構行く。
美術館の展示を出たところの物販コーナーいいよね。
使うかどうかは後回しにして、直感でブックカバーとかポストカードとか買ってさ。
そんな感じで毎年秋になると、「もう少し生きよう」と思う。