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レジ袋と私
レジ袋代わりにと、小さな袋を持って家を出た。
マイバッグと呼ぶべきかエコバッグと呼ぶべきか決められぬまま書き出してしまった。
袋持った、で良いもんね、ひとりならさ。
人に伝えるということは、説明を加えるということ。
私はたぶん自己完結が多かったから人に聞いてもらうカタチで話すのが下手だと思う。
だから音声配信で練習したかったのだが、あれもまた一方的なもので伝わっていたかどうかは定かではない。
話を戻すね。
そう、小さな、たためる袋をね、カバンに入れて出かけたの。
ちょっとした差し入れを買おうと思ったから奮発して成城石井に行った。普段使いじゃないところ。KALDIも近かったら行きたかったよ。
そしたらさ、楽しくなってしまって。予算内では会ったけれど、手持ちの袋には入らない量になってしまったのね。
だからレジで有料のレジ袋を頼んだ。
「袋、持ってきたんですけど楽しくなってしまって、袋に入る以上にカゴに入れちゃって」とお姉さんに言い訳した。
普段はちゃんと袋に収まる買い物が出来るんですよ私は、とか、有料の袋ばかりに頼ってないですよ、とか、成城石井っていいお店ですね、ついつい買いすぎましたよ、みたいな含みをたっぷり持たせた。
レジの人とほんの少しだけ会話するのが、なんか好きなのだ。話は下手だけども。
困るかなって思ったりもするけど、話しかけられそうな人を一応選ぶ。だいたい間違えない。
一瞬キョトンとした表情をうかべたあとで、レジのお姉さんは「あら、袋に入るより沢山。」と返してくれた。手に広げてかけたままのマイバッグを、ほらねという感じで見せてあげたら「あら、そうですね、入りませんね、ふふ…」と、笑ってくれた。
「ね、入らないでしょう?」それだけの会話だった。
お釣りを渡してくれたあとで「入りませんね、うふふふふ」と、まだ笑ってくれていた。
私もレジのお姉さんになったら、そんなふうに接客したいなと思った。
時々定型文を外れて「そのひと」が垣間見える瞬間が好きなのだ。たぶん。
同じ人間同士、いつもありがとうね、の思いを込めてまた、ちょっとした会話の練習にお付き合い頂くかもしれない。ご迷惑だったならごめんなさい。混んでる時はしてないよ!ありがとうございます、くらいだよ!
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