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Photo by
ggoomm
電車ユーレイ
電車の中でのこと。
若くもなく、年寄りでもない輩がフラリと車内に紛れ込んできた。
大音量でずっと音楽をかけており、イヤホンのBluetooth接続が切れているのでは…?と思ったものの、その輩の威圧的な態度に誰も何も出来ないまま数駅が過ぎた。
同じ車両の全員が、聞きたくもない洋楽のエンドレスリピートを聞かされなんとも言えない緊張感が漂いだした。
あまりに誰も目を向けず、彼の存在を無かったかのようにすごしている。
人の流れが変わり、輩が私の斜め前に来た。
隣に座るオヤジさんがイビキをかきだした。
洋楽とイビキのコラボレーションに私は耳栓代わりのイヤホンを探したが、残念なことに充電したまま忘れてしまった。
いつまで洋楽とイビキのマリアージュに精神を削られるのだろう。
早く降りて欲しい。
寝たフリをしながらも、あまりに後から乗り込む乗客もみんなが無反応なので『この輩は幽霊なのかも…?』と次第に思えてきた。
なにかの縛りで声は出せないのだろうか。
曲も一曲無限ループなのは曲制限もあるんだろうか。
もしかして、誰にも気づかれなくて寂しいの?
気付いて欲しくて大音量かけてんのか?
と、思ったら少し優しい気持ちになれました。
曲流れてますよ、とか声をかけたり目が合ったりしたら、お前見えんのか?聞こえんのか?ってなんか怖い展開になっちゃう!
でもいつか成仏できますように。
なぜ、その曲をみんなに聞かせようと思ったんだろうか。どこまでも自分だけの世界なんだろうか。
不思議な出来事ではありました。
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