三谷歌舞伎を歌舞伎ビギナーが観てきたよ
「陸くんのフラウェ衣装かわいい~~」
ゲームアプリのガシャ結果に浮かれていたわたしは、その数時間後、映画館で「三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち」を観ていた。(映画のタイトルをそのまま貼り付けた)
友人からのLINEがきっかけだった。
「hokoriちゃんは、歌舞伎を観たことある?」
あまり詳しくはないが、なんだか面白そうなにおいを感じて、「全然詳しくないけど、興味がある!!」と飛びついた。
そして映画館にて。わたしは三谷歌舞伎を観ていた。歌舞伎を初めて観る人にとっつきやすいと思う。友人はそう言った。
足踏みをしながら、決めポーズをとる。顔が白い人たち。わたしの歌舞伎の認識は失礼極まりないものだったし、出演者に関しても半沢直樹に出てたひとたち、なんて薄いものでしかなかった。キャストの方など、詳細はこちら。
それが上映が始まるや否や、塗り替えられた。人間愛、人間賛歌だ、人の表情や仕草がうつくしい。誰もが、脚本によって生きている誰もが、舞台上に必死で生きていた。
物語は江戸後期。実在の人物・大黒屋光太夫をモデルにしている。彼と彼の仲間たちはロシアに流れ着き、その後異国の地で10年をかけ、日本本土に決死の思いでたどり着く。
病に倒れたり、ロシアへ残留することを決める仲間など、さまざまな仲間との別れを乗り越える悲喜こもごもをユーモアたっぷりに描いている。人というものは、ここまでたくましいものなのか。わたしは上映中、感動しっぱなしだった。
忘れちゃいけないのが本作が歌舞伎で、実際に上演されたということだ。鳴物の音と掛け声にあわせて躍動する役者たち。足踏み。見得。一つ一つの演技に惹きこまれる。舞台仕掛けによって波に呑まれる観客席。ていうか演者と客席の距離近くない?わたしはすっかり魅せられていた。
教育テレビでチャンネルを変えてしまっていた歌舞伎。ストーリーをちゃんと通しでみていれば、感動があってもっと早くに出会えていたかもしれない。わたしはこれまでを後悔するとともに、誘ってくれた友人に感謝した。
来月あたりに、その友人と生で歌舞伎を観に行く。これからは歌舞伎ビギナーとしてのわたしの軌跡も発信出来たらなと思う。どうか、見届けていただけたら幸いだ。