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山梨大ADP 2025年01月25日 価値・願いのデザイン

▼デザインの拡大
 デザインの広がり:あなたはどうとらえていますか?

 グッドデザイン賞フォーカスイシューは見といた方がいい
 https://journal.g-mark.org/focused-issues

 世界デザイン会議 東京 2023
 https://archive.jidp.or.jp/wda/ja/

メインテーマ
各キーノート・スピーカーが持っている独自の視点や論点をベースとしつつ、「デザインを通じた明日への展望」 を見出します。

Theme 1: Humanity - 新たな人間像からデザインを考える
「新たな人間観(自律分散型、 デジタルネットワーク型、 地球生命型など)」について、具体的な人間のあり方を考え、それに対するデザインの役割は何かを議論します。

Theme 2: Planet - 環境問題ソリューションからデザインを考える
サーキュラーエコノミー社会を推進し具現化するにはどうしたら良いのか。 地球環境問題に対処するためには、サーキュラーエコノミー以外にどのような方策があるのか。 幅広い観点に立ち、デザインに何ができるのかを考えます。

Theme 3: Technology DX からデザインを考える
デジタル・トランスフォーメーションがこれからの時代の人間性にどのような変化をもたらすのか、 そしてデザインに何ができるのか、具体的な事例とともに考えます。

Theme 4: Policyデザイン政策のこれからを考える
他の3つの分科会とは異なり、 キーノート講演の課題認識の上に、課題解決のためのデザインを社会実装する方策を考えます。 論点としては「デザインそのものの振興政策」と「デザイン力を活用した社会政策」の二つの観点から討議します。

引用(https://archive.jidp.or.jp/wda/ja/)

 ▼デザインの広がり
  Krippendorff は人工物が変わってきていると言っている。

  製品
  ↓
  商品 サービス コミュニティ
  ↓
  インターフェース
  ↓
  maruchiyu-ざーシステム / ネットワーク
  ↓
  プロジェクト
  ↓
  ディスコース

▼ディスコース
クリッペンドルフは、以下のように定義している。

【人工物とテクスト】ディスコースのテクストのまとまりにおいて、ディ
スコースが構築する人工物において現れ、そこを離れてさまざまな形
で吟味され、調査され、文節化され、生産される。テクストはディス
コースの文字の遺産である。
【ディスコースのコミュニティ】ディスコースはそれを実践する者のコ
ミュニティー内で存在が保たれる。
【周期的な実践の制度化】ディスコースはその再帰的な実践を制度にする。
【境界】ディスコースは境界を線引きし、属するものと属さないものの間を区
別する。
【正当化】ディスコースは部外者に対し、自らのアイデンティティを正当化
する。

雑にいってしまえば、関係の中で生じる
新たな意味・様式・認識・言語をデザインすること

▼Giacominによる人間中心設計の考え方
 ディスコースよりも上にミーニングがある
 

Giacominによる人間中心設計の考え方の図

利用状況のうち人に焦点を当て、結果的に生み出される記号や コミュニケーション、ディスコース及び意味を重視する

▼HCIにおける意味・意義

・HCI分野では“meaning”についての議論が行われている。
・特にユーザーのこれまでの経験とのつながりや目的の同一性、
 行動の一貫性などへの気づきを得られるようにすることで、
 共鳴や意味や意義を深めることができる。つまり気づき。

■UXデザインにおける利用状況と体験価値

▼実践としてのUXデザインの要素と関係性

実践としてのUXデザインの要素と関係性の図

 引用(安藤研究室ノート http://andoken.blogspot.com/2016/05/ux2.html)

・利用状況・利用文脈

利用状況が同じであれば
人は同じような行動・反応をする可能性が高い

利用状況という

利用状況という概念は、関わりの中に私たちが存在すること
を前提とした捉え方である。

人間の特性だけでなく、人を含めた環境との相互作用として
利用状況を捉えることがHCDの“人間中心”のコアコンセプト

デザインを取り巻く同時代的視点ー関係論的視点

書籍:スマートシティとキノコとブッダ
   人間中心「ではない」デザインの思考法

スマートシティとキノコとブッダ

なぜ体験を作り出すことができるか

Wikipediaーユーザーエクスペリエンスより

 黒須先生 VS 安藤先生

なぜできると言えると言い切れるかを考える必要がある

▼人とモノと状況との関係を分解してみる

▼モノのあり様からユーザーは態度を変える
 関くんの研究テーマ:不安
 →杞憂だったことに気づいた。
 →不安の棚卸しをした
 →フォームが事務的でダメダメ
  フォームがユーザーに事務的に働きかけている

▼UXデザインを考える時の大事な視点

人は状況の中でモノとのインタラクションをしている
→ユーザーの置かれている状況を関係性に着目し理解する
 <既存の利用状況をどこまで疑ってみるか>

人はモノのわずかな手がかりから高度に推測し態度を形成
→モノはそのあり様からユーザーに働きかけている
 <どんな働きかけをするモノにすべきかを考えることが作り手として問われる>

▼体験価値はどのように形成されるのか?
 体験価値
 経験的価値
 累積的UX

▼ニーズではなく体験価値に注目する理由
手段にとらわれず本質的に人が求めるものを把握する。

※ここまでは復習です(笑)

実践としてのUXデザインの要素と関係性

▼人間中心アプローチの課題
 価値を導出できたとして、結局ユーザーにはニーズがあるという前提に立っている。

■AIシステム導入の現場調査

①デザイナーがユーザーの理解した人工物の理解を理解する
 "二次的理解"が人間中心デザインの基盤(クリッペンドルフ 2009)

 デザイナーはユーザーの理解を理解できるという前提

②ISO9241-210の人間中心設計では「ユーザーの要求事項」を
 明らかにすることが一つの柱

 ユーザーは常に"ニーズを抱いた"存在という前提

▼目的および実施概要

目的:
すでに市場で販売や提供されているサービスのうち、AI技術を特徴としたもので、新しい価値を提供しているものを取り上げ、開発者にインタビューする

▼3社の共通点

・AI技術の導入による関係性・役割・態度の変化
 システムとユーザー(塾講師・介護スタッフ・児相職員)との関係性が変化。
 役割の変容や態度変容を伴う。

・役割の変化への抵抗・混乱期の存在
 単にシステムを導入するだけでは受容されず、人や初期の受け入れ状況によっても受容度に差がある。自身が新たな役割を理解するまでの間、開発企業側が支援し態度変容を促している

・役割•態度が確立•浸透することでシステムの効果が高まる
 混乱期を経てシステムとの関係が認識されてからが、システムの本来の効果が発揮される

新たな役割は、システムとユーザーとの新たな意味を
ユーザー自身が構築できるかに依っている

▼AIシステムにおけるHCDのあり方の仮説
 現状は比較的低次の意図(目標)の把握が重要。
 AIでは関係性の変化を前提に、新たな意味•役割を導く過程が必要

▼“使うを創る”ことで本来の“人間中心”へ
 6年かけて新聞ワークショップやって終了。

 https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjsai/JSAI2018/0/JSAI2018_2K3NFC3a04/_pdf

▼インタビュー結果の特徴

いずれもAIシステム導入により、システムとユーザーの関係
性が変化し、従来と異なる役割や態度が求められている。

■作り手の「願い」


▼作り手のユーザーに対する「願い」の重要性

 相手のニーズがわかったとして、そのままニーズを満たすことが
 良い解決策になるだろうか?

 →新たな行為の“意味”を導くための手がかり

▼作り手の願いと作り手の想いの違い

想い

「こうすることが使い手にとって良いに違いない」
という、作り手の片想い。時に相手が見えていないことも。
だが、作り手が想いをもつのは普通のことであり、むしろ
想いを持って商品づくりをしなければならない。

願い

「使い手がなるべき姿になるために、自分が何ができるだろ
うか」と考え、そのための手立てを考える。
今の使い手は気づいたり、(少なくとも言葉では)望んでも
ないかもしれない。だが、それでも未来の状況において、
ユーザーのよりよい姿・あり方・関係性・意味・文化を想像
すること。

→ユーザーの利用状況を理解した上で
 作り手として「願い」を持つ必要があるのではないか

▼「想い」と「願い」は親心?
ベルガンディは『突破するデザイン』の中で、
製品の“意味”を説明する中で以下のように述べている。

“父親は子どもたちが望むものをただ与えるのではなく、
より意味のあるものを与えようとする、
父親はビジョンを追求しているのです”
(フィリップスデザイン元CEOステファノ・マルツァーノの言葉
『突破するデザイン』より)


突破するデザイン

▼ユーザーの認識変容を作り手は「願う」のではないか
 ユーザーの現状の利用状況での使い方から一歩進んで、
 ユーザーの認識の変容をも考慮した作り手側の願いがある。

▼作り手とユーザーの関係〜「願い」の働き
 従来、ユーザーと作り手は、
 問題を持つユーザーに解決策を提供する主体として作り手が位置付けられている。

▼「願い」の時間軸 〜 ユーザーの認識変容を伴うビジョン
 願いは長期的な1つの願いだけでない。
 願いに接近するために多段階に願いがあり、
 ユーザーの気づきを願う。

▼作り手の「願い」のポイント

・作り手の「願い」は、本来は一つではない。また、状況が変わればその「願い」そのものは変化していくかもしれない。しかし、そのような中でも、現時点で考えられる姿を願うことがビジョンとなる。

・様々な願いが考えられるとしたら、その中でも使い手がより利他的に、他の存在への配慮ができるような姿を願う。関わりとして捉えることがポイント

・願いが叶う時に、現在のシステムそのものが変質するかもしれない。そういうシステムであっても、使い手があるべき姿に接近できるであれば、作り替えられていくことをいとわない。

「願い」を導くポイントは、タスクではなく
使い手の関係性や利他性に目を向けていくこと

■まとめ

UXデザインは体験価値に基づくデザインを指向しているが
より複雑な課題に向き合うには「作り手の願い」が重要
作り手が願いを持てるほど使い手に接近することでもある

・作り手は、作ることを通して新しい意味や様式を生み出す行為である。
・使い手の現在の利用状況では、あるべき姿を認識できない場合でも、作り手は積極的に将来のあるべき利用状況を想定し、あるべき姿を願う必要がある。
・「作り手の願い」は、使い手が新たな能力や役割、意味や意義に気づき、自ら歩んでもらう方向を示したビジョン。
・使い手自身を、他者や他の存在との関わりの中でとらえ、より利他的に振る舞えるようなビジョンを考えた時、新たなサービスの可能性が広がっていく。

所感

安藤先生の講義の中では、
むちゃくちゃ難しい部類に入るんではないでしょうか、
とりあえず書籍は買いました(このあと書評かく)

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松崎 希  │  隣り合わせの灰と青春
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