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pale blueについて話したい

普段ラブソングを作らない米津玄師が、ラブソングをテーマに曲を作ったと聞いて、とても楽しみにしていたオタクの妄想を聞いてもらえないだろうか。

第一印象とAメロ

情景描写が映画のワンシーンのように美しいのが、彼の楽曲の好きなところ。澄んだ水につま先を浸したような、凛とした清純さ。そして揺さぶられるような強い想い。語り手は、どんな素敵な恋をしたんだろう。まるでロミオとジュリエットのような、異国の悲しいラブストーリーを読んだみたい。

これでさよなら あなたのことが 何よりも大切でした
望み通りの終わりじゃなかった あなたはどうですか
友達にすら 戻れないから わたし空を見ていました
最後くらいまた春めくような 綺麗なさよならしましょう

少し冷静で、諦観のある言葉。別れを受け入れているような感じ。この時見ていた空の色だったりするのかな、ペールブルー。

エーデルワイスの花言葉

それは 水もやらず枯れたエーデルワイス 黒ずみだす耳飾り
こんな つまらない映画などもうおしまい なのに
エンドロールの途中で悲しくなった
ねえ この思いは何

エーデルワイスの花言葉は「大切な思い出」「初恋」だとされている。MVでは水差しを抱えた米津くんと、水が少しずつ入ったガラスの器がテーブルいっぱいに置いてあるシーンがある。自分の手で駄目にしてしまった。もっと大切に育むべきだった。もしかしたら、そんな懺悔や後悔の気持ちを象徴してるのかもしれない。

もしも、そんな苦しい気持ちを通して初めて「ああ、恋だったのか」と自覚したのだとしたら、もう……ね。「耳飾り」は「あなた」に貰ったものなのか、「あなた」に渡すはずだったのか。そんな妄想も膨らんでしまう。

強くなる想い


あなたが見据えた未来にわたしもいたい
鼻先が触れるくらいに あなたを見つめたい
張り裂けるほどの痛みを叫びたいのに

最初の冷静な印象とは打って変わって、感情的になっている語り手。別れが受け入れられないという、悲痛な心の叫び。胸の奥がキュッと狭くなるような、切なさが言葉の隅々から感じられる。時系列がバラバラなのか、冷静さを装って我慢していた感情が溢れてしまったのか。

そういえば米津くんの曲で、雨の日にバスタブの中で、鼻先が触れる距離で戯れている男女の曲があったっけ。確かあれも、いつかやってくる別れに抗って一緒に居たいって曲だったはず。

6/8拍子

あなたの腕 その胸の中 強く引き合う引力で
有り触れていたい 淡く青いメロディ
行かないで ここにいて 側で 何も言わないままで
忘れられないくらいに抱きしめて
ずっと ずっと 恋をしている

最初は3拍子かな?と思ったのだけど、正しくは6分の8拍子、つまり1小節に8分音符が6個というリズムだ。今まで4分の4拍子とリズムが変わるのにはきっと意味がある。

メイン伴奏がピアノからストリングスへ変わり、まるで夢の中にいるような幻想的な雰囲気に変わる。眩しくて目を細めてしまいそうな、儚くてきらきらしたものを感じるのは、語り手の恋い焦がれる想いが反映されているのかな。

今までずっと過去形で語ってきた主人公だけど、ここだけ何故か現在進行形になっているし、遠い存在のように語られていた「あなた」が触れられる距離にいる。おそらく幸せだった頃の回想シーンだ。「ありふれていたい」「行かないで」「何も言わないままで」という言葉から、この時には既にふたりが別れてしまうことが決まっているのだろう。

「淡く青い」と、ここでも出てくるペールブルー。最初の空が、この幸せな思い出とリンクしているのかな。それとも「空を見ていた」=「幸せだった頃に想いを馳せてた」だったりして。

おまけ CD購入とフレグランス

丁度発売日に仕事が休みだったので。曲自体は携帯で買ったから本当は必要ないのだけど、ジャケット目当てでCD媒体でも買った。CDを買うのは実に数年ぶり。恋に落ちている状態が「サイケデリックな眩暈、半分ラリっているような陶酔状態」だと表現した女の子のイラスト、良すぎる。限定版と悩んだけど、イラストに惚れ込んだのでシンプルな通常版を購入。部屋に飾ろうと思う。

法人特典のフレグランスも無事にゲット。楽曲をイメージしたオリジナルフレグランスなのだそう。マリンっぽい爽やかな香りだけど、フローラルとかムスクっぽい感じもある。花束に顔を近づけて思いっきり吸ったような、そんなイメージの香り。もっとも個人的な感想なので悪しからず。

カップリング曲の「ゆめうつつ」「死神」もすごく好きだったので、興味がある方はぜひ聴いて頂きたい。「ゆめうつつ」は夜風を感じながら、ほろ酔いで踊りながら聴きたいな。「死神」は進化版ハチで米津節炸裂!なのだけど現状CDでしか聴くことができない。どちらも米津玄師の「今」の音楽を感じられて、オタク大歓喜である。

おわりに

そして、ここまで読んでくれたにも関わらず、実はまだPele Blue聞いたことがないそこのあなた。私の感想は抜きにして、一旦真っ新な気持ちで聴いて欲しい。そしてぜひあなただけの情景を心に浮かべて欲しい。今はもう会えないあの人に想いを馳せてもいい。米津くんの曲は人物描写が少ないので、想像の幅が広がるよね。

長々と妄想と考察を語ってしまったが、最後まで読んでくださった猛者には心から感謝したい。お礼に米津くんがpale blueについて語ったインタビュー記事を載せておく。

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