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iTeachersカンファレンス2019 その3 【後半】

・佐賀県大和中学校 中村純一先生

タイトルは「クリエイティブが止まらない」

佐賀県、大和中学校の英語教師、そしてパソコン部顧問の中村先生。中村先生のパソコン部の活動は生徒が自主的に挑戦することがモットー。PTAのポスターをパソコン部がKeynoteで作っています。その他、Pagesが縦書きに対応したことで4月17日のインターナショナル俳句デーにも部活として出品しました。

また中村先生自体も学びに挑戦しており、全国統計グラフコンクールにチャレンジし、入選しています。

CLIPSのアプリを使って英語の授業で比較の動画を作ったり、と授業でもICTを積極的に導入。

学校内で中村先生が他の教員に言われた一言。

Q:ICTで学力や点数が上がるというエビデンスがあるのか?

これって学校現場でしばしば問われるあるあるの質問ですよね。

これに対して中村先生が答えた一言

A:昨日と同じ教え方は生徒の明日を奪う

かっこいい!

・広尾学園2年 高橋美帆さん

「本当に学校に必要なコミュニティーの形」

広尾学園にはICTルームがあります。レーザーカッターや3Dプリンター、Adobeが入っているPCが3台、と恵まれた環境です。この部屋は生徒が運営しており、生徒が生徒に教える場でもあります。

高橋さんは3月、「AEROFAB GP」というイベントを企画しました。

このイベントがすごい。ポスターデザインを一新、Web広報活動、滑空する機体に改良、Fabから航空業界に興味をつなげる、ものづくりを楽しむ仕掛け、と大人顔負けの活動が。

機体の改良は航空科学博物館にメールをし、アポイントメントをとり、相談することでモデルとなる機体を完成させます。そしてこれをレシピ化。

ものづくりの楽しむしかけは、Skymarkから3名のパイロットを呼んで講演を実現。

これを生徒自身が企画し、実行していきます。

高橋さんはこういいます。
「教室外で夢中になれるなにかに出会うために
ICT環境❌教員が許容し見守ってくれる安心感❌先生方のサポート
が学校から用意されている。このおかげで自ら自主的にやりたいことを気ままに全力でやっていける」

印象的だったのは「ICTツールはつきつめるとコミュニケーションツール」ということ。高校生の大きく羽ばたく翼(ICT)を私も許容し見守っていきたいと思いました。

・医師であり起業家の杉本真樹先生

「STEAM❌XR(VRの・AR・MR)❌AI❌5G_

情熱大陸でも特集された、医師であり、教育者であり、起業家である杉本先生。今回の話も初めて聞く刺激的な話ばかり。

最近日本でも聞くようになったSTEAM。「STEAM教育(スティームきょういく)とは、 Science(科学)、 Technology(技術)、 Engineering(工学)、Mathematics(数学)を統合的に学習する「STEM教育(ステムきょういく)」に、 Art(芸術)を加えて提唱された教育手法である。」(Wikipediaより引用)

杉本先生はこのSTEAMのAこそが中心であると説明します。ARTこそデザインの原則であり、創造的な問題解決を奨励するものである。

VRはデザインが重視されていました。(どのようなデザインのものをかぶるか)
➜ファンクション:どのような有用性があるか?
➜アプリケーション:誰がどう使うか?
と進化してきたことを教えてくださいました。

そしてAR(拡張現実。Pokemon GOの世界)とVR(仮想現実)が融合し、複合現実:XR(eXtented reality)に変わっていくことも強調されました。

実際に杉本先生はこのような技術を使い、医療で「体内の見える化」をしています。

大変刺激的な講演でした!

・神田外語大学 言語メディアセンター 石井雅章先生

「ICT活用を指せる総合的な環境づくり」

素晴らしい会場を提供してくださった神田外語大学の石井先生。
この素晴らしい教室づくりを通じて石井先生が気づいたこと。

学び > 学校教育

学びはより大きな概念であるということ。
ICT活用は授業における「学び」の機会を多様かつ自由にします。

そしてどのような授業をしたいのかもう一度じっくり考えることが必要であると訴えられました。

・トークセッション 後半

【生徒】:目指す生徒像は?

品田先生:一生学び続ける生徒像。
杉本先生:目指す生徒像をAIで解析してみては?生徒、教員両方のパターンを分析するもの面白い。
中村先生:ITに対するリテラシー、情報、やってはいけないことを理解する。そしてAIの仕組みを知った上で実践力をつける。
岩居先生:自分で学び続ける生徒、学べる生徒。

【AR】:ARの教育利用の可能性。

杉本先生:どのように生徒が動かしたのか、感じたのが、反応が大切(インタラクティブ性)。これからはプロジェクターを直接網膜に投影するようになる。
岩居先生:360度動画をVR化し、説明動画を撮る。

【AI】:AIの教育利用

品田先生:使えるなら使う。自分の授業、学校のコンセプトにあうものを使う
杉本先生:AIはいつの間にか使っている。AIはみんなが思っているほどできないし、曖昧な定期。AIががんを分析することはすでに実用レベル。ただ70%の確率でガンであるというデータをどのように人間が使うか、という問題。使う側にもAIの知識が必要。

【特別支援】:ICTの可能性

中村先生:センサー・デバイスで子供の情報を分析。例えばアップルウォッチを足に巻き、感情がどのように動くかを測定するアプリをアメリカと開発している日本の教員もいる。

【評価】:ICTをつかった主体的な学びの評価は?

岩居先生:評価しないものがあってもいい。数字にできるものだけ評価しては? ICTが広まると評価しないものが増えてくる。

【英語】:翻訳機械の発達で英語の先生はいらない?

岩居先生:必要。笑いは翻訳できない。文化的背景が必要。ショートプレゼンは瞬時に翻訳できない。
中村先生:方言は訳さない。微妙なニュアンスは不可能。重要なのは学び方、学びの機会、場を与えるのが教員の仕事。

【2010年】:より先の教育課題

品田先生;教員が「もういらない」と思われている課題。期待していない。You Tubeのほうがいい。大人が学びのツールとしてICTを使えていない。だから子供のICTを制限。教員・保護者などの大人の意識改革が必要。
杉本先生:2020年は5Gの世界。デバイスはあるのが当たり前に。需要が増えるので値段が安くなる。
中村先生:ICT導入競争がおこなれており、都道府県対抗レースになっていることがだめ。自分の情報を出さないので、発展していかない。実践・情報の公開が必要。また教員はもっと学ぶべき。99が良いことでも1の悪いことがあるとポシャる。これは変えうべき。
岩居先生:知識変調は体に染み込んでいない。(例えば語学教育。文法単語)。体中心の教育である体験を重視すべき。全員が英語の点数をとる必要があるわけではない。これからはAIで各自が必要なものを提供できるようになるのでは?

・打ち上げ会場

打ち上げ会場でも素晴らしい先生方と交流することができ、とても充実していました。

・まとめ

今回のカンファレンスで一番印象に残ったのは、今必要な教育とは「体験」であるということ。今までの知識埋め込み型教育が行き詰まっているのを誰も自覚している中で、目先の大学入試の結果のために舵を切れない状況にあります。

文科省の教育改革や経産省の未来の教室など、現在の教育への激しい警鐘がならされていますが、学校現場ではかなり冷めた目で教員が見ている状況です。ゆとり教育や総合学習のように、また骨抜きになるのでは、と距離を置く教員が多い中で、現在の生徒の置かれている状況は待ったなしです。

今、我々の教えている生徒がみすみす討ち死にしないためにも、生徒がもとめる学びの場や、生徒が求める一流の人材と触れ合う「体験」を提供することが今、教員に求められている役割であると思いました。

そしてこの「体験」をサポートする、拡張、発展させる一つの手段がICTであるということ。ICTなしでも教育はできるかもしれませんが、これだけ便利な手段を使わない手はない!

今回も日本中から集まった大学、高校、中学の教員や高校生、医師など素晴らしい講師陣と、やはり日本中から集まった100名を超える参加者に大きな刺激をいただけました。

10連休明けの学校現場で、すぐに自分にできる実践を行っていきたいと思います。

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