「エキセントリック・カレッジふくい」記者会見レポ+α(6/27追記)
2023年6月5日、2023年度「エキセントリック・カレッジふくい」(通称「エキカレ」)の受講生募集が始まり、それに伴って、同日福井県庁にて、記者会見が実施されました。
記者会見では、プロデューサーを務める若新雄純氏(慶應義塾大学特任准教授など)と、統括ディレクターを務める寺井優介氏(福井県チャレンジ応援ディレクター(COD))が登壇し、説明を行いました。
2022年度のエキカレ受講生で、現在寺井CODのもとで「チャレンジ応援アシスタント・ディレクター(COAD)」という名をいただいている私も、見学させていただきました。
今回の記事では、記者会見の様子をお伝えします!
と思ったのですが、自分の思い入れも強い「エキカレ」なので、ちょっと主観を紛れ込ませてしまいました。
他メディアにはない、独自の記者会見レポとしてお楽しみいただけるとこの上なく幸せです!よろしくお願いします!
〇「エキセントリック・カレッジふくい」とは
「チャレンジ応援を福井県の文化に!」という思いで色々な取り組みを行っている福井県が、「エキセントリック・リサーチ」を推進してきた慶應義塾大学SFC研究所と協力して2022年度に開校した、地域社会の中で新しいチャレンジに取り組もうとする若者のための実験的な仮想大学です。
ここまでに4回も登場している「エキセントリック」という言葉。
これは、「異端」「異能」「風変わり」を意味します。
「異端だ」とか「変わっているね」とか言われるものは、その時点においてまだ価値が明らかになっていないだけの場合があります。
まだ価値が分からないものが、実はめちゃくちゃ面白いかもしれない。
しかし、しっかり結果を出そうとする場合、その時点での価値が分かっていないものに取り組むのは、かなり大きな不安要素になりうるため、なかなか手を出しづらい。
そんな、価値が明らかになっていないけど面白いかもしれない「研究」に光を当てて奨励し、その「エキセントリックさ」を面白がるコミュニティを作ろうとしているのが、慶應義塾大学SFC研究所が推進する「エキセントリック・リサーチ」です。
他方、福井県では、若者の田舎でのチャレンジを応援する活動に取り組んでいます。
事業を行う際、どのような目標を立てて、どれくらい達成できたか、というKPIなどの指標を定めて取り組むのが一般的。まして、しっかりと成果を出さなければならない行政ならなおさら、指標の設定が求められます。
けれど、これからチャレンジしようとしている人材を発掘していくにあたって、どんな人が来るかも分からないし、どうなるかも分からないまま、2022年度の「エキカレ」を始めたそう。
福井県にとっても「チャレンジ応援を福井の文化にする」ためのチャレンジ事業のようです。
そんな背景のもと、2022年度、まだ皆が何かを成し遂げた訳ではないけど、未知で面白いことが起きるかもしれないコミュニティ「エキセントリック・カレッジふくい」が始まりました。
○「エキセントリック・カレッジふくい」の概要
・流れ
1.講師による話題提供・・・県内外で「エキセントリック」な活動をしてきた色々なジャンルの講師から、チャレンジをするときに孤立しない地域社会の作り方や、共感を得たり応援してもらったりするためにどのように活動してきたかなどのお話を聞きます。
2.受講生同士の対話ワークショップ・・・講師の方が提示した「問い」をテーマに、受講生同士で話し合います。例えば、「あなたが踊り狂える好きなこととは何ですか?」というもの。テーマからどんどん話題が展開していって、1時間半くらい時間が与えられているのに、2022年度の1期生は全然話し終わらず、運営の方が「いったん終わって」と止めていました…!笑
・目指しているもの
「しゃべる」→「はなつ」→「ひろげる」という流れで、エキカレで話を聞き、話し合い、考えたことを自分の地域に持ち帰り、それぞれの場所で波紋を広げていくことを目指しています。
○2022年度の様子
・募集結果
募集段階で、90人のうち60人が女性と、女性からの応募が多くありました。これは新たな発見だったと言います。
実際の受講生の中でも、結婚を機に福井県へ嫁いできて、妻として、子の母としての幸せな生活を送ることにしよう、と思っていたけど、エキカレ期間を経て、そうじゃない人生の可能性を試してみたいという思いで、タレント活動を始めたりした方もいました。
福井県内で奇抜さを抑圧してきたのは、実は女性の方が多かったのではないか、という仮説が生まれたようです。
・年齢、職業、居住地
年齢は、高校2年生から、39歳まで。
職業は、本当に多様で、高校生や大学生をはじめ、会社員、農家、YouTuber、経営者など。
居住地は、嶺北・嶺南の色々な地に分布しているのに加えて、県外からの参加者が2名。
・どんなことが起こったのか
ある受講生は、タレント活動を始めました。
ある受講生は、会社を辞めて劇団を始めました。
釣り人の大学生が、釣り堀を事業承継するため、団体を立ち上げてイベントを始めました。
エキカレで繋がった輪を活かして新たなイベントがたくさん生まれました。
そんな大きなことではなくても、
人と話すのが好きになったとか、
外に出るようになったとか、
ちょっと声が大きくなったとか、
たくさんの小さな変化がそれぞれの身に起こりました。
○2023年度の募集要項
・募集対象者:高校生から39歳までの、県内の講義に通える人。
(今年度から、福井県教育委員会の協力が加わり、参加頻度を考慮してもらえ、学業を優先しながら参加できる「高校生枠」が設けられます。)
・参加費:無料(交通費は各自負担)
・募集人数:30人(高校生枠10人含む)
・応募方法:「エキセントリック・カレッジふくい」公式LINEからフォームに回答後、動画を提出。
※動画のテーマは、「解放したい自分」(1分間)。
※公式LINEは、「エキセントリック・カレッジふくい」サイトの最下部にある緑のボタン「LINE友だち追加」からチェックできます。
詳しくは公式サイトをご覧ください。(下線部をクリックするとアクセスできます。)
○こんな人に応募して欲しい!
「葛藤にまみれた人たちに来て欲しい」(若新さん)
葛藤は簡単に解決するものではないけど、大きなエネルギーになります。
福井は、生活するのに十分な便利さ、豊かさ、快適さは整っているまちかもしれない。けど、表面的には見えない葛藤。2022年度の1期生は、そんな葛藤にまみれた人たちの集まりでした。
プロデューサーの若新さんは、2023年度エキカレの裏テーマとして、「葛藤エネルギー」を爆発させたいと意気込みを述べていました。
現状に不満があるわけではないけど、どこか窮屈さを感じ、何かを解放させたい、と葛藤している人を待っています。
(以下は私の主観)
・自分に自信がない人
・現状に行き詰まっていると思う人
・人と話すのが好きだけど得意ではない人
・何かを変えたいけど、なかなか変われなくて、そのきっかけが欲しい人
が応募してみたら、とても面白い未来が生まれるかもしれません。
○おわりに
幸福度が高いことで知られる福井県。
だけどそこには、幸せを支えるための忍耐とか、家業の会社を継ぐとか、新幹線が通ることで起きる変化とか、色々な葛藤があります。
県内の葛藤している人たちと一緒の空間でひたすらもやもやすることができる機会は滅多にありません。
もしかしたら、エキカレがきっかけで、何かが変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。
もしかしたら、葛藤がより大きくなってしんどい思いをするかもしれない。
もしかしたら、参加しなかったらなかったはずのモヤモヤを抱えてしまい、辛くもなるかもしれない。
けれど、もしかしたら、今までより少しだけ日々が楽しくなるかもしれない。
ここまでこんなに色々書き連ねてきたけど、「エキセントリック」を面白がるコミュニティなので、何がどうなるかなんて正直全然分からない。
けど、その未知で、全然分からない感じがちょっと面白いと自分は思っている。
自分は周りと感覚がズレてしまっている経験をたくさんしてきたので、そんなことを面白いと思う感覚はおかしいのかもしれないけど、もし面白そうと思う人がいたら、あなたはエキカレに応募してみた方が良い。絶対に面白いことが起きる。
応募締め切りは、7月4日(火)です。
詳しくは公式サイトで↓
「エキセントリック・カレッジふくい」公式サイト
お読みいただきありがとうございます。
ここまで読んでくださったあなたは、エキセントリックの種を持っています。ぜひ応募してみてください!
P.S. 「モヤモヤ」ってなんだ?
エキカレの案内文で、「モヤモヤしている人に来て欲しい」というのをよく目にするし耳にするけれど、「モヤモヤしている」って何なんだろう。
エキカレに入る前の自分が「モヤモヤしていたか」と聞かれると、首を縦には振っていなかった自信がある。
自分が「モヤモヤしている」と自覚していない人って案外多いのではないかと思っている。
「おわりに」が「おわりに」ではなくなってしまうけれど、少しだけ追記したい気分になった(6/27)。
今接している周りの人たちと自分との間に、微妙に存在してはいるけれど、普段の生活を送る中では、難なくやり過ごしてしまえることが大半な、ほんの小さなズレ。
ファミレスに行ったときにドリンクバーなんて本当は飲みたくなくて水で良いんだけど、周りに合わせてドリンクバーを頼んでしまうような、ほんの小さなズレ。
深夜に歩いてサウナ付きの銭湯に行って、ぽかぽかした身体で歩いて帰るのが自分は楽しいと思うから提案したのに、めんどくさいと言われて却下されてしまったこと。これも、ほんの小さなズレ。
自分はこうかな?と思ったけれど、周りの人は皆ああだと言ったから、ああいうのが正解なんだろう、と繰り返す中で、自分の考えは埋もれていってしまいがち。
今日の天気は良いですねーっていう話とか、最近あのカフェに行ってきて、めっちゃ良かったから今度行ってみてーっていう話とか、そういう話も楽しめる自分ではあるけれど、どこか物足りなさを感じる。
「今、自分は本当はこんなことに悩んでいるんだけど、こんな悩みを抱えているのは自分だけなのかな」って感じで話したいのに、そんなことを話したら否定されそうで話せない。
周りの人たちに対して、ちょっと感覚がズレている自分はおかしいのかな。
寂しいな。
そんなことが「モヤモヤ」なのかもしれない。
それなら「自分もモヤモヤしているかも…!」と思う人がいるのではないか?
ここまで読んでいる変わり者(褒め言葉。ありがとうございます)のあなたは、多分そのうちのひとりではないかと私は睨んでいる。
そんな「モヤモヤ」を持ち寄って、お互いにお話しして、お互いにじっくり聞いて、共感されるかどうかは分からないけれど、誰も否定はしない。安心して話し合える場がエキカレだと思う。
何かを成す必要は本当に必要ない。
「モヤモヤ」を抱えている人が、エキカレで話す中でそれを解放して、「あー、楽しかったー」って日常に帰っていくことで、本人は何も変えていないつもりでも、その人の周りで、じわじわと、少しずつ波紋が広がっていく。
何も成し遂げる力なんてないよ、と思っている人でも、気づかないうちに何かを成し遂げてしまっていることがある。
自分のすごいところは自分では気づけない。
こんな感じでだらだらと書き連ねてきた。
なんだこの文ってモヤモヤした人もいると思う。
そんなあなたは応募してみると良い。
友達と約束した大事な用事の前の夜に全然眠れなくて、
2時頃にやっと寝れたと思ったら4時半に目が覚めてしまって、
その友達とのLINEを見たら「寝れないよね」ってメッセージが来ていて、
同じような気持ちの人がいるんだと感じてちょっとニヤニヤするような出来事が、エキカレに入ると起きる。
そんな出来事に遭遇してみたい人は、7月4日までに応募しないといけない。
少しめんどくさいけれど、それを凌駕する、宝物みたいな期間になることは間違いないです。
自分とよく似た、ギリギリになるまで動けないめんどくさがり屋なあなたに向けて、応募への第一歩を貼っておきます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?