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【試し読み】傷痕 - side MIURA -

 眩しかった。
 ビルの間から差す朝日が。

 その中に君がいた。
 僕には君が天使に見えて。

 もう少しだけ、生きてみようと思ったんだ。

【傷痕 side MIURA】

 僕の人生は終わった。
 いろいろ相談に乗ってた中学生の女の子が、僕に性的なイタズラをされたと言い出して。
 周りも彼女の方を信じた。

 今まで真面目に積み重ねて来たものは、こんなにも脆かったんだって知った。

 僕は女の子への興味が薄い。
 男の子にも興味がある訳では無い。

 だから聖職者に向いていると思ってた。

 絶望して夜の街を彷徨う。
 お酒も飲めないし女の子も抱けない僕は、することも無くて。
 疲れ果てて気を失うように寝た。

 遠くから声が聴こえた。
 少し低い大人の女の人の声。

 彼女は僕を呼んでるみたいだった。
 そして警官を呼ぼうとしてた。

 僕は道で寝てただけで悪いことはしていない。
 でも疑われるのが怖かった。

 僕が起き上がると彼女は立ち去ろうとした。
 長い髪の美人だった。

 地味めの服装と、左手にボールペンで書かれている数字。
 夜勤明けの看護師さんかな。

 長年、神父をしていたから見た目で相手のことがある程度わかるようになってた。
 僕が言い当てると彼女は驚いた様子だった。

 彼女の瞳に好奇心が宿る。
 僕に興味を持ってくれたようだ。


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