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店員さんの雑談が好き、っていう話

私、お店でご飯を食べたり商品を見ていたりする時に、店員さんの雑談を目にしたり耳に入ってきたりする瞬間が、結構好きなんですよ。

何て言うか、ほっこりする感じがするのと
ちょっとだけど店員さんの人となりとか、お店で働く理由とかを垣間見えて、「人間」を感じられるのがなんだか好きで。

世には、「店員が雑談なんてもってのほか!仕事に集中しなさい!」って意見もあろうけど、個人的には雑談をちょいちょい挟めるぐらいの方が、仕事の環境としては良いのかなと思ったり。

中でも印象に残ってるのが、とある豚カツ屋さんでのやりとり。

Aさん「あれ?今日ってチャン君いないんだっけ?」
Bさん「あー、チャンは今日休みですね。」
Aさん「マジかー!今日はチャン君の“千切り”無いのかー!」

めっちゃ気になって、ワクワクしませんか?
豚カツ屋さんなので、キャベツの千切りは大量に必要不可欠。
いろんなバイト店員さんがいて、キャベツの千切りをしている中で
おそらく留学生であろうチャン君は、誰もが認める“千切りの達人”なんだと想像できます。居ると居ないとで、厨房内の作業効率性が左右されてしまうほどの影響力を持つ達人です。

是非とも見てみたい。チャン君の“千切り”。
そして教えてほしい。どういう経緯で“千切り”を極めるに至ったのかを。
でも、私はただのお客さん。
チャン君の千切りを見せてもらう、教えてもらうことは決して叶わないわけです。
想像しかできない。けど、でもその想像が楽しい。

夏に入ったとあるラーメン屋さんでは、こんな会話がありました。

店長さん「あ、トシくん来週からだっけ?」
トシくん「はい、来週です。」
店長さん「いいなー。楽しそうだな。」
トシくん「へへ。」


これもまた、ちょっと気になります。
「夏」「楽しそう」「来週“から”」というKWからして、どこかに旅行に行くのだろうかな?と想像できます。
でも、あくまで想像できるだけ。
「めっちゃ気になる」けど「知ることはない」し、「知る必要性も別にない」。
店長さんとトシくんの間で完結していればそれで良いのが雑談です。
願わくば、トシくんの夏のそれが、楽しいものであれば良いなと。
美味しいラーメンをすすりながら勝手に思ったりします。

ふとした瞬間に顔を覗かせる、見知らぬ他人の「人生」や「人となり」。
偶発的に零れ落ちてくる一瞬だからこそ、かえって強く「私は、人間がいる世界で生きているんだな」ってことを感じさせてくれる気がする。
だから私は、店員さんの雑談が好きなんです。

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