ジプシー占いのお告げ|創世の竪琴・その48
タタロスに着いた渚はリーと別れると、ジプシー団の占い師を探して、広場に来ていた。
「あのぉ~、こちらに占い師のシュメさんとおっしゃる方がいると聞いてきたんですが。」
忙しく動き回る彼らの間を聞いて回り、ようやく、シュメのいるテントを見つけ、中を覗いた。
「おお・・あんたは、あの時の、イルのお連れさんじゃったの。渚さんとか言ったかの?」
「え?…あのときのって?」
訳が分からずオウム返しのように聞く渚にイスをすすめると、シュメはこれまでのいきさつを話す。
「そうだったんですか。しかも、おばあさんが、シュメさん?」
「そうじゃ。で?イルは一緒じゃないのかの?それにファラシーナは?」
「ファラシーナさんとおっしゃるんですか、あの人?」
「そうじゃ。わしの孫娘じゃ。・・・ん?なるほど、そうじゃったのか?」
渚の顔つきを見て、理解したシュメは、ほっほっほっと笑うと渚に事の経緯を話した。
そして、どれほどイルが渚の事を心配していたかを。
「とにかくじゃ、高熱の中ずうっとお前さんの名を呼び続けておっての。
目が覚めると、真っ先にお前さんの姿を探すし。
酷い怪我をしておるのに助けに行くんだ、と言って聞かなんだり・・・・ほっほっほ、よっぽどお前さんに惚れておるんじゃな。」
「で・・・でも・・・」
「ああ、孫娘の事か。
あいつはしょうもない娘での・・・まぁ、気にせんでおいとくれ。
あれは病気じゃで、治らんのじゃよ。
別にイルでなきゃならないなんていう事じゃないんじゃ。」
「は、はあ・・・。」
そうは言われても意地になってしまっていた渚は、果して今度イルに会ったとき正直になれるかどうか分からなかった。
イルにあんな態度をとってしまった後では。
「それはそうと、どうやって山賊の所から逃げて来れたんじゃ?」
「え、ええ・・実は・・・・」
渚は捕まって気がついたとき牢屋に入れられており、その中の怪我人を治す為に竪琴を奏でたら不思議な事に山賊が全員その心を入れ替え、町まで送ってくれた事を話した。
最も本当に町まで送ってきたのは、山賊に見えない術師だけで、あとの男たちは途中まで。
何といっても人相が悪すぎる。
「はてさて、不思議な事があるもんじゃ。」
「ええ、でもこの竪琴は本当に優しくなるというのか、とにかく心が洗われるような気持ちになるんです。
これは、月の女神ディーゼの竪琴なんです。」
渚は今までの経緯をシュメに話し、神龍の居所を教えてくれるよう頼んだ。
「ふむ、なるほど。それで分かったわい。」
シュメは納得したように頷いた。
「な、何が分かったんですか?」
渚はイスから立ち上がり、水晶玉のおいてあるテーブルにもたれ、シュメの顔をじっと見た。