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大団円|国興しラブロマンス・銀の鷹その60

・・・・・月日は流れ・・・・・

「落ち着けって、アレク!」

「そんなこと言われてもだなー・・・・」

産屋の前であっちへ行ったりこっちへ来たりしてうろうろしているアレクシードを、シャムフェスが笑う。

「お前のお嬢ちゃんなら大丈夫さ。」

「そうだろうがな~・・・・・」

心配は心配だぞ?とアレクシードは目でシャムフェスに言う。

「ったく・・・本当に姫のことになるとお前は昔っから・・・」

「悪かったな・・・」

「そんなに心配なら傍についていてやればいいじゃないか?結構夫婦で経験するっていうのも流行ってるらしいぞ?痛みを分かち合い、新しい命との出会いの瞬間を喜び合うというのも。」

今からでも遅くはないから、入って行け、と言うようにシャムフェスは笑いながらアレクシードに言った。

「そんなことは・・・い、いや、オレはそうしたいのはやまやまだが・・・傍で力づけていてやりたいんだが・・・・」

「だが?」

「お嬢ちゃんが恥ずかしいからいやだって言うんだ。」

「恥ず・・・・・」

思わずアレクシードとシャムフェスは顔を見合わせる。

「・・・そうかもしれんな。」



「おぎゃ~!おぎゃ~!」

「お!」

「う、産まれたか?」

シャムフェスとそんなことやあれこれと話しているうちに、元気な産声が聞こえ、2人はほっとする。


「旦那様、かわいらしい女の子でございますよ。」

しばらくして助産婦が産まれたばかりの赤ん坊をその腕に抱いてくる。
「おお、可愛い子だ。」

アレクシードはその子をのぞき込み、そして未だ心配げな表情で彼女に聞く。

「で、セクァヌは?」

「はい、姫様もお疲れにはなってますが、お元気ですよ。」

「そうか。よかった。」

「あ!今少しお待ち下さい。」

すぐにでも入っていこうとするアレクシードを、助産婦は引き留める。

「なぜだ?」

「いえ、あの・・・きちんと身支度をしてからでないと恥ずかしいからと。」

「そ、そうか・・。」



そして、数分後、母子用に用意された明るい部屋に移ったセクァヌと赤ん坊の元をアレクシードは訪れる。

「大丈夫か?」

「ええ、大丈夫よ。」

「可愛いいもんだな。」

「アレク・・」

セクァヌのすぐ横に眠る赤ん坊をのぞき込んで、アレクシードは微笑む。
その子はセクァヌの失くした黒髪とアレクシードの瞳を持っていた。


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