新しき国土を求め|国興しラブロマンス・銀の鷹その53
「私は支配するために来たのではありません。一族の解放と圧制に苦しんでいる人々の自由を取り戻す為に来たのです。戦などない、平和なそして平穏な日々を、だれもが過ごしていくことができるように。」
スパルキア族長銀の姫、セクァヌは、ガートランドの民の前で静かにそう言い、あとを元大臣であるコスタギナに任せ、一族と、そして共に行くことを希望する者たちを引き連れそこを後にした。
セクァヌ、16歳8ヶ月、気の遠くなるような道のりだった。
「この山を越えれば、新しい土地に着くわ。」
隣にいるアレクシードとセクァヌは嬉しそうに視線を交わす。
夢見に現れた土地。険しい山々に囲まれた緑豊かな平地。
セクァヌはそこを目指して進んでいた。
「ここを新たなるスパルキアの国土とする。」
その山間に広がる平地の中央に、礎を置く。
「姫様、ばんざ~い!スパルキアばんざ~~い!」
人々はわいた。
何もないそこを切り開き、人が暮らしていけるようにするにはまだまだ大小さまざまな困難が待っていた。
が、ここは自分達の土地。
何にも脅かされる心配はない。困難に向かうことはその先の確かな手ごたえを掴むための喜びだった。
武器の代わりに農具をその手に、兵士たちも平和を、幸せをかみしめ毎日を送った。
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