厚生労働省 第3回「大麻規制検討小委員会」 議事録 令和4年7月29日開催


医薬・生活衛生局

○日時

令和4年7月29日(金)13:00~15:00

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール15E
(東京都千代田区内幸町1丁目3-1 幸ビルディング)

○議題

(1)「大麻草の適切な栽培及び管理の徹底」2
(2)「これまでの議論の振り返り」

○議事録

○監視指導・麻薬対策課長 それでは、委員の皆様、全員おそろいになりましたので、定刻となりました。ただいまから第3回「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会大麻規制検討小委員会」を開催させていただきます。
 委員の先生方には、大変御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
 本委員会におけるカメラ撮りにつきましては、冒頭のみでお願いいたします。冒頭の挨拶が終了した後、カメラの撮影はお断りいたします。
 本日は、現時点で11名の委員の方々全員に御出席いただいております。委員会が成立していることを始めに御報告いたします。
 なお、中島委員におかれましては、本日、ウェブ形式での御参加をいただいております。
 また、本日は2名の参考人の先生方に御参加いただいております。
 国立大学法人筑波大学生命環境系教授の林久喜様。林様は、本日はウェブ参加でございます。
 引き続きまして、一般社団法人日本種苗協会専務理事の福田豊治様。
 それぞれ、大麻草の栽培に関して種苗や種子の育成の観点から御発言いただく予定としてございます。
 本日は、会議室における対面形式とウェブ形式を併用して委員会を進めさせていただきます。また、委員会を開催する前に、本委員会の取扱いについて御説明いたします。
 本委員会につきましては公開とさせていただきますが、新型コロナウイルス感染症対策のため、一般の方の会場への入場を制限させていただいております。
 本日の議事はお配りしている次第に沿って進めさせていただきますが、議事に入る前に、事務局から本委員会の連絡事項を申し上げます。

○事務局 厚生労働省全体の取組といたしまして審議会等のペーパーレス化を進めております。本日もペーパーレスでの委員会開催とさせていただきますので、委員会資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明な点等がありましたら適宜事務局がサポートいたしますので、よろしくお願いいたします。
 議事録については後日公開を予定しております。
 最後に、審議中に御意見、御質問される委員の方々にお知らせいたします。
 まず、会場にお越しになって御参加いただいている委員におかれましては、挙手していただき、御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願い申し上げます。また、卓上にウェブ形式に使用するZoomがございますが、御発言の際は卓上のマイクを御使用いただき、Zoomのマイクについては消音のまま御使用いただきますようお願い申し上げます。
 また、ウェブで御参加いただいている委員、参考人におかれましては、まずZoomの挙手ボタンを押していただきますようお願い申し上げます。その後、委員長から順に発言者を御指名いただきますので、御発言いただく際には、マイクについて消音を解除していただいた上で御発言をお願いいたします。

○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。
 それでは、本委員会におけるカメラ撮りはここまでとさせていただきます。報道関係の方は、以降、カメラ撮影は禁止とさせていただきますので、御協力よろしくお願いいたします。
 これからの議事の進行は合田委員長にお願いいたします。

○合田委員長 合田でございます。どうぞよろしくお願いします。
 まず、議題1「大麻草の適切な栽培及び管理の徹底について」ということで、前回に引き続きまして、大麻草の栽培管理について議論をしていただけるかと思っております。
 初めに、厚生労働省から資料1の「大麻種子の生産及び流通管理について」の説明をお願いいたします。

○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。それでは、資料1に沿って説明させていただきます。
 前回の第2回の会合の際に、大麻草の栽培に関する御議論をいただいてございます。その大麻草に関してはTHCの含有量について一定の上限規制を行う。また、その上限規制に基づいた栽培管理の在り方を検討してはどうかということで御議論をいただいてございます。
 資料を1ページおめくりいただきまして、1ページ目で「大麻種子の生産・流通管理について」でございます。そういう形で、今後、大麻草の栽培について、THCの濃度基準等を作成する。その濃度基準に基づいた形での栽培管理を行うことにしていった場合に、大麻草に含まれるTHCの含量の維持管理が一つの課題になってまいります。
 そうした際に、この1ページの資料につきましては前回もお示しさせていただいておりますが、THCの管理については幾つかの方式があるということで、国内外の事例を踏まえますと、大麻種子の生産・流通方式ということで、品種を登録していくようなやり方と農場で検査するようなやり方の大きく2つに分離できるだろうということでございます。
 この中で、米国各州で実施している、この表の3つ目で、この方式はいわゆる大麻草の生産物を収穫する前にTHCの検査を行う方式でございます。
 あと、一方はカナダですとか栃木県で実施している方式でありますけれども、いわゆる種苗業者さんですとか管理団体から種子の供給を受ける。そういう段階において、育成・増殖時、まさにこれは種の段階での検査でございますが、そういう時期にTHCの検査を行うようなやり方がございました。
 このいずれかの方法、または組み合わせた方法を含めてどういうことができるのかということで本日は少し議論を進めていきたいと思っております。
 2ページ目で「栽培に係る花穂・葉の低THCの確認・確保について(案)」でございます。産業用途の大麻草について、栽培用種子の採種段階等で、採種した株のロットが低THCの性質を有することを検査することにより確認することを原則として考えてはどうかということであります。
 この「栽培と検査のサイクル」という左側の絵がございますけれども、種子を採種する際にTHCの検査を登録検査機関等によって行って、その検査証明がある種子のみ栽培を可とすることで栽培免許者の確認を行った上で、栽培者による生産、そして、必要に応じて生産物について収去検査等を行うような形での、また、そこから取れてくる種子を次のところで用いるようなサイクルが回っていくようなイメージで、右側にございますように、登録品種のような場合と、在来種のような場合と、種を海外から輸入してくるような場合で、この検査のタイミングがちょっとずつ考え方が違ってくる部分が出てくるのではないかということであります。
 登録品種などということで、注釈で書いてございますけれども、こういった登録品種に近いようなものについては、管理団体ですとか、種苗会社から種を栽培者の方にお渡しする際に、そこで種を増殖するときに株についてTHCの定量検査を行う。また、在来種については、種を採種する用の採種圃場で作って、採種用の株を増殖する際にTHCの検査を行って、そこから取れた種をまた来年使うようなやり方。
 また、輸入する種子については、OECD等の検査証明がついたような輸入の海外登録種子を用いまして、それを一部、発芽・短日処理等をさせて並行して検査した上で栽培者の方にお使いいただくような流れが考えられるのではないかということでございます。
 続きまして、3ページ目で「低THC特性の維持について」で、ここでは大きく3つのポイントを挙げてございます。
 「1.種子段階でのTHC管理」で、免許の基準として、花穂のTHCの定量検査を実施した株のロットに由来する種子を栽培に用いるような考え方。また、その登録検査機関としては公的な検査機関や大学等を想定してはどうか。登録などの管理された品質の種子を譲り受ける、購入する場合については、管理団体とか種苗会社等の提供者のところで検査するようなものを使うことができるかどうか。
 あと、これは結構重要なところですけれども、畑の場所によっても、種の中身の場所によっても濃度が違うとか、そういうことがあるかもしれませんので、検査のサンプリングのやり方ですとかロットの考え方については、その方法を整備すべきではないかというところを明記しました。
 「2.種子の流通について(免許制度の運用改善)」という部分ですけれども、こういう形でTHCの検査をパスしたロットから採種したものであれば、都道府県間の流通を制限する必要はないのではないか。輸入種子についても、検査をされたものであれば輸入可としてよいのではないかということ。
 また「3.子実(食用)の取り扱い」でありますけれども、食用に供するような種子については、加熱した種子については、特段、譲渡・販売してもよいのではないかというところが挙げられてございます。
 4ページで、今、輸入の点について触れさせていただいておりますけれども「発芽可能な大麻種子の輸入について」で、これまでは大麻の種実等については、輸入承認を受けるべき貨物として規制されておりまして、その際に、熱処理等によって発芽不能の処理を施したものであることを証明する書類を麻取部で発行して、その確認を行うような仕組みになってございます。輸入貿易管理令に基づいて行ってございます。
 要するに、そういう加熱したもの、発芽不能のものを輸入するルールでありますけれども、先ほどのように、栽培に利用するということであれば、免許を受けた大麻栽培者が利用し、海外で栽培用に登録されている品種であれば、種子の輸入を認めてもよいのではないかという点でございます。
 ただ、海外の種子については、恐らく国内で使うものに比べて、1つの圃場等で使うものに比べてかなり大きなロットの種子になることも想定されるものですから、ロットの管理ですとかサンプリングの考え方、途中で先ほどの検査のように袋を開封するようなこともありますので、そういったものの管理ですとか、いわゆる大きな量のものを小分けするような流通形態があるのだとすると、その際の検査証明書の管理とか、種子流通に関する適切性の確保も課題になってくるだろうということでございます。
 あと、この後ろについてございますのは、5ページが種苗法の品種登録についての御紹介です。
 6ページについては、現行の大麻取締法においても種子については規制しておりませんけれども、直接、種子ではないにせよ、大麻栽培予備罪とか栽培幇助罪ということで、種を使う行為についての規制を行っているところがございます。
 あと、7ページが輸入貿易管理令で、8ページと9ページが輸入の際の流れになってございます。
 11ページにOECDの海外での品種登録制度についての参考資料、また、OECDのリストに登録されている大麻品種で、約40種類程度の大麻品種等が国外でも登録されているような状況があることを御紹介させていただきました。
 事務局からは以上でございます。

○合田委員長 ありがとうございます。
 栽培の関係で、種子の管理やTHCの検査、種子の輸入までの厚生労働省からのただいまの説明ですけれども、御意見、御質問等がございましたらよろしくお願いしたいと思います。
 まず、今日は御専門の参考人の先生方がいらしておりますので、そちらの先生方からお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 福田先生からですか。どちらの順番のほうがよろしいですか。

○監視指導・麻薬対策課長 すみません。林先生からお願いします。

○合田委員長 では、林先生、よろしくお願いします。

○林参考人 今日参加させていただいております、筑波大学の林と申します。よろしくお願いします。
 少し分かりづらいところもあるので、そこを確認させていただきたいのですけれども、1ページ目に栃木県の例があって「農家による種子の増殖と分譲」とありますが、増殖が「×」となっていますが、現状では増殖されているのではないのですか。

○合田委員長 事務局、よろしいですか。

○監視指導・麻薬対策課長 事務局でございます。
 現状では、管理団体、協会のほうから種子を頂いた後に、採種用の圃場で増殖した上でそこから栽培をしていると伺っております。

○林参考人 ですから、ここのところは、増殖は「×」ではなくて増殖しているということかなと思うのですけれども、そういうことですね。

○監視指導・麻薬対策課長 恐らく、ここで「×」と言っているのは、その増殖したものをほかに提供するとか、そういうことを指して「×」と言っているのではないかと思われます。

○林参考人 それは分譲という言葉ではないですか。

○監視指導・麻薬対策課長 その辺、区別については確認させていただきたいと思います。

○林参考人 確認をしていただきたいと思います。
 栽培する立場から言うと、日本で育成された品種「とちぎしろ」があるのですが、既に育成者権が切れています。育成者権が存続していれば育成者権者の許可無く増殖してはいけないとかが種苗法上で管理できるでしょうけれども、それができない状況になっているのが一つの課題と思います。
 それで、大麻は非常に厳格な作物ではありますが、現在、栽培研究している人がおりません。そういうことになってくると、例えば日本で育成された品種である「とちぎしろ」を国内で広く使いたいということになったときに、通常、品種は育成されると、例えば広域適応性があるかどうかを、いろいろな栽培できるような場所へ持っていって試験栽培をして特性を見るのですけれども、そういうことが十分にできているかどうか確認する必要があろうかと思います。
 先ほど、事務局からの御発言の中で『栽培環境が違えば…』という話もあったのですけれども、その点がございます。ですから、育種にしろ、評価にしろ、研究者がいないということで、やはり研究ができるようにしていく必要もあるのではないでしょうか。そのためにはやはり予算は必要になってくるし、評価する機関も必要になってくるであろうと思います。
 ここのところで、例えば2ページ目に「品種」という言葉が使われているのですけれども、この品種が登録品種をさしているであろうとは分かりますが、その後に「など」と書いてあるのが実は何を指しているのか、よく分からないことです。
 次にある、「一般的な品種」と書いてある、この「一般的な品種」とは何なのかというのも実はよく分からないです。これは輸入品種ではないわけですね。だから、もしこれが在来種であるとすると、それは品種ではないので、そこのところを区別して考えていかなければいけないのではないかと思います。
 「とちぎしろ」については、THCの含有率が低いということで栽培してもいいですという形になっているわけなのですけれども、私は大切だなと思うのは、やはり登録されている品種か否かという点です。それはなぜかというと、品種登録に際し幾つか要件があるわけですが、その一つに永続性というものがあります。つまり、世代を繰り返しても特性が変わらないことが担保されたので品種登録されているわけです。在来種はそれが担保されていないわけですから、そこの扱いが登録品質と登録されていない在来種では大きく違ってくるであろうと私は思っております。
 したがって、私は種苗登録されている品種を栽培していく、種苗登録要件が担保されている品種を栽培していくことが必要になってくるだろうと思います。つまり、国内の在来種については、永続性、THCの含有率はこれから後で議論されてくるのでしょうけれども、それが現状、基準より低いものであったとしても、それが世代を経ても永続的に低いことは担保されていないわけです。やはりそこのところが課題で、例えば今後、在来種を品種として種苗登録していくのか、もしくは既往の品種で変えていくのかということは対応が必要になってくるのではないかと思っています。
 それで、既存の品種に変えていく場合、「とちぎしろ」が日本全国で栽培できるかどうか、私はよく知らなくて、そういう試験がやられているかどうかも分からないというのが、栽培研究も必要になってくるのだろうと思っているところです。
 そのためには「とちぎしろ」を栽培するとなったときに、採種体制をつくっていく必要がどうしてもあります。現状ですと、栃木県さんは栃木県内の大麻栽培に向けての種子増殖はしているのですけれども、それがほかのところで栽培する分まで種子増殖を請け負ってくれるかどうかという問題は非常に大きいと思うのです。どうしても採種というものは非常に気を遣ってやらなければいけない。ただ単に栽培したものから種を取れば良いということではないので、そこまでやってくれるかどうかも考えなければいけない。もしくはやっていただけるようなサポートをしてやることも考えなければいけないかなと思います。
 ここは私、すごく大切だなと思うのですけれども、種子供給体制だけではなくて、採種のしくみも大切です。通常、米麦とか大豆とか、そばでもそうですが、採種に当たっては必ずこういう決まりで採種しなさいということの条件があるだけではなくて、必ず生育途中に何回、圃場検査に入る。それから、生産物検査をするなどという採種を実施する上での確認作業などがしっかり決まっています。多分、大麻ではそれは決まっていないのではないかと思うのです。もし決まっていないとすれば、それは早急に圃場審査体系、生産物審査体系などを確立して、それに応じてやっていく必要があると思っています。
 それから、そのように既存のはっきりしたTHCが低い品種に在来種から切り替えていくにしても、では、いきなり来年から全部変えましょうというわけにはどうしてもいかないわけです。一つは供給する種子がないということですから、種子供給体制をちゃんとつくらなければいけないということがありましょう。それから、外国の品種を入れれば良いということになったとしても、その外国の品種を入れていく、もしくはそれを評価しながら置き換えていくのにはしかるべき期間が必要になってくると思います。
 それで、しかるべき期間が必要ということは、登録品種と在来種が混在する期間があることになります。そこをどうするかというのは、私は非常に悩ましいところではないかと思うのです。一方では低THCが担保されている品種が作られていて、それに応じた制度にしてしまったとすると、同時進行的に置き換わり期間中の在来種について、どういうふうにして同じように担保していくのかというのは非常に悩ましいというか、うまくやっていかなければいけない課題だと思っています。
 それから、大麻が他殖性であることから、品質の維持が非常に難しいことがどうしてもあります。つまり、交雑して特性が変わりやすいことがあるわけです。それで、厚労省さんも毎年実施していただいているのですけれども、この大麻は日本の伝統に、神事にも非常に直結した、日本人の心に関わるような作物なものですから、かつては日本中で大麻が栽培されていて、それが野生大麻としてまだ残っているわけです。それを、大麻・けしを駆除する期間を設けて駆除しているのですが、今でも毎年、野生大麻が見つかっていますね。そうすると、そういうものとの間で交雑しないかということも非常に心配になるわけで、そういう意味でも採種体制を確立していくことが必要になろうと思います。
 もう一つ、OECDの品種登録リストなのですけれども、これは日本での育種がどれだけ進むかにも関係するのですが、新品種がそんなにはすぐにはできないことを考えると、日本もOECDの種苗の加盟国になっているということであれば、このリストを使う、海外で育成された品種を使うのは一つの良い方向だと私は思っています。ただ、資料の中では品種名が記載されておりますが、恐らく細かい情報はあるのでしょうけれども、その細かい情報を精査する必要があるだろうと思います。
 というのは、必ずしもTHC含有率の低い品種だけがリストされている、もしくは登録されているわけではないでしょうから、それを精査する必要があって、その中で目的に合ったものを日本での栽培に取り込むという話になりましょう。先ほどの2ページでしたか、輸入種子、輸入品種になるわけなのですが、これを例えば2022年度産種子を輸入して、検査して、日本での栽培に用いる場合、検査をするために1年検査期間を要して、2024年用種子として供給されるとすると、どうしても大麻は油料種子なものですから、発芽率が極めて悪くなることが予想されます。極めて短時間で輸入した海外品種のTHC含有率の検査等を実施して採種翌年用種子として流通させることができるかどうかも非常に大きな課題ではないかと思います。
 ほかにも幾つかあるかもしれないのですけれども、今のところ、そんなようなことを、今、お話を伺わせていただいて課題と思っています。
 以上です。

○合田委員長 ありがとうございます。法改正に向けて非常に具体的な、いろいろな問題点というのですか。実行する際の問題点をたくさん御指摘いただいたものと思います。
 1つ、先生に伺いたいのですけれども、大麻の場合には今、登録品種として存在しているのは「とちぎしろ」だけであるということですか。「とちぎしろ」は育成者権がないということですね。そういう理解でよろしいですか。

○林参考人 はい。日本では「とちぎしろ」1品種だけです。ただ、この育成者権は1997年に切れていますので、大麻なのでTHCは含まれていますから、誰でも作るわけにはいかないのですけれども、種苗法上は誰が種子を作ってもいい。育成者権が切れていますから、誰が増殖してもいい、譲渡してもいい。種苗法上はそういう形になってしまうのです。
 そのところは福田さんから説明していただければ大変助かるところです。

○合田委員長 ありがとうございます。
 では、福田先生、よろしいですか。

○福田参考人 御指名いただきましてありがとうございます。
 私どもは日本種苗協会と申しまして、日本で品種改良を民間で実施して、そして、その種子を販売している、いわゆる種苗メーカーとか、できた種子を卸・小売業をしている業者がつくっている団体でございます。私からのお話は基本的に民間からの立場で御説明しますので、その点だけはぜひ御了解いただきたいと思います。
 今、お話が出ておりました登録品種でございますけれども、品種登録というものは、先ほども御説明にもありましたが、あくまで知的財産権としての権利を取るため、知的財産権としての育成者権という権利を確保するための登録でありますので、もちろん、品種の特性をきちんと調査していただいて、要件に合っているかどうかを農林水産省で確認されるわけですけれども、種苗業者の立場からしますと、結構、ハードルは高い部分がありますし、当然、審査していただくための審査料とか、そういう費用もかかります。それから、登録までに2~3年かかるということがあって、結構、ハードルが高いのも事実でございます。
 現実に民間の種苗メーカーが開発している野菜の品種などを見てみますと、品種登録しているものが意外と少ないのです。というのは、民間の会社はどうしても自分のところの種子を商品として販売するわけですので、商品の寿命も考えながら、品種登録すべきか、そうではないかということも検討します。それから、野菜の品種の場合は、これもやや専門的になりますけれども、いわゆる雑種第一代の雑種強勢を利用いたしまして、F1品種と呼ばれることがございますが、そういう両親をきちんと種苗会社が確保しておいて、その両親の掛け合わせだけで雑種第一代の種子ができることにしておけば、品種登録みたいな形で育成者権を確保しなくても種子については種苗会社が相当程度守れることがございましたので、これまではあまり品種登録していなかったこともございます。
 ただ一方で、最近は技術進歩がございますので、組織体を培養して、クローンをどんどん増殖して、苗を作ってしまうようなこともできますので、基本はやはり本当に権利として守りたければ品種登録しなければいけないことにはもちろんなっております。
 あと、種苗法の品種登録の話で申し上げますと、基本的に種子として利用したりするときには権利が及ぶわけですけれども、先ほど話題になっていました研究開発、次のよい品種を作りたいときには、品種登録されている品種ももちろん、育種素材として利用可能というのは種苗法といいますか、品種登録制度の基本でありますので、もし品種登録された品種が輸入されて入ってきたとしても、それを育種素材として日本国内で使うこと自身については育成者権では特に制限はされないことになります。
 それから、私のほうで今、御説明を聞いていて感じましたのは、やはり採種、それから、採種後の品質管理。ここはやはり民間の種苗会社でも非常に重要なポイントなのです。先ほど林先生からお話がございましたけれども、穀物ですとか、豆類とか、雑穀類とか、そういうものと野菜のほうも大分違うところがございまして、実は日本で生産される野菜の種もなかなか日本でも種が取れないような状況になってきておりますので、9割以上は海外で種を取る状況になっております。
 極端なことを言いますと、飼料作物、牧草などもほとんど日本で種子を取ってくれるところはありませんし、種子の量も多いので、100%、海外から種子を輸入するような状況になっておりますけれども、実はそれは日本だけでもなくて国際的に、ヨーロッパの会社も、それから、アメリカの会社も、もちろん、国内生産もやられている部分はありますが、日本よりウエートは高いかもしれませんが、世界中で気象条件などをよく観察した上で最適地を選んで、その場所に自分たちが開発した品種の親種を持ち込んで、そして、栽培管理も種苗会社の人が現地にも行ったりしながら非常に採種に気を遣って実施しているのが種苗業界の実態でございます。
 また、取れたものも、先ほど発芽率の話なども出ましたけれども、やはりきちんとした保管状態に置かないと発芽率が落ちるとか、それから、病気や害虫がついてしまうようなこともありまして、そうすると完全に商品価値がなくなりますので、そういった点も実際の種子を流通させるためのハードルとしてはあると思います。
 輸入については先ほど申し上げましたようなことで、種苗会社も日頃から自らの種子を輸出したり輸入したりという貿易を繰り返しておりますし、私どもの協会の会員でも、実際に自分のところでは開発していないけれども、輸入して、それを日本で外国の種苗会社の代理店みたいな形で販売されている会社もありますし、あくまで貿易会社として輸入、それから、国内流通を中心にやられているという会社もございますので、意外と種苗業界について言えば、そんなに参入のハードルは、基本的に何か資格がなければできないとかということではありませんので、入ることはできるのですが、先ほど申し上げました技術的なハードルとか、実際に商品を売る場面になりますと、同じような作物で競争相手がいれば、自由競争の世界ですから、相手に勝たなければ潰れてしまうことになりますので、そういう厳しさがあるのが種苗業界の特徴でございます。
 補足的な説明だけになってしまいますけれども、以上で御説明を申し上げます。

○合田委員長 福田先生、御説明、どうもありがとうございます。
 それでは、ほかの先生方、御質問等はございますでしょうか。
 よろしいですか。
 「とちぎしろ」はちゃんと種苗登録されている品種ですけれども、多分、栽培が栃木県ではできる品種なので、日本全国でどこでもできるかどうかというのは、先ほど林先生が言われたように、明確になっていないところがあるのではないかとは思いますが、その辺の問題を実際に実行する際には幾つか考えていかなければいけないことだろうとは思います。
 ほかによろしいですか。
 それでは、次の議題に入りたいと思います。
 中島先生、よろしくお願いします。

○中島委員 東京都の中島です。
 THCの定量検査につきまして、都道府県の研究・検査機関等で実施すると記載があるのですけれども、もし栽培者が所属する自治体で行うとなりますと検査を実施するのが難しいところもあるかと思われます。また、県をまたいで検査できることをお考えであれば、国で検査することも検討していただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。

○合田委員長 基本的に麻向法とか、そういう形の、そちらの検査が多分されていますね。分析的にTHCそのものの分析はそんなに難しいものではないようには思います。
 法的な問題はどういう形にするかというので、いろいろなことをどうクリアするかとかはあると思いますけれども、分析的な問題としてはそんなに難しい分析ではないようには思いますが、多分、少なくとも分析をやろうと思うと、この場合には公的な分析法が出ますから、それに従ってやるということであればあまり気にならないのではないかと私は思います。
 事務局、何かありますか。

○監視指導・麻薬対策課長 事務局でございます。
 今、中島委員から御指摘をいただいた部分ですけれども、今回、新たにこういう種子周りのTHCの検査体制を導入することになりますので、実際、栽培されている自治体は限られてはいますが、その県内でできるようなものなのか。そうでなければ、ここにも書いてありますけれども、大学とか国立の研究開発法人とか、ほかの検査機関を活用することができるのかとか、そのあたりの調整については、また免許を出しておられる自治体さんともよく相談しながら考えていこうとは思っております。
 ただ、合田先生が御指摘いただいたような、今、例えば生産物のほうで収去検査等を行っていますけれども、そういう国の麻薬取締部のレベルで栽培地に対して任意に、普通の時期に検査を行うのは、またそれはそれで収去検査として引き続きやらせていただこうと思っております。

○合田委員長 ありがとうございます。
 中島先生、何か追加はございますか。よろしいですか。

○中島委員 大丈夫です。ありがとうございます。

○合田委員長 ありがとうございます。
 それでは、次の議題に入りたいと思います。その次は、資料2の「大麻草の栽培規制と大麻研究者免許について」で、厚労省から説明をお願いします。

○監視指導・麻薬対策課長 事務局でございます。それでは、資料2について御説明を申し上げます。
 前回の委員会の中で栽培規制に関する議論をさせていただいた中で、言ってみれば通常の種子ですとか繊維を取る栽培者以外にも、研究者も実際に研究用に栽培されるということで、その研究者の栽培に関する整理について検討してほしいという宿題がありましたので、今回、資料2を用意させていただいております。
 最初に、1ページに現状の免許の状況についての表でまとめてございますので、そこを確認ということで、これは大麻取締法と麻向法、あへん法を例示として挙げております。
 免許の種類については、研究者について、麻向法とあへん法は麻薬研究者という免許で一本になってございますけれども、大麻については、大麻の栽培ですとか大麻を使用する研究では大麻取締法の上での大麻研究者の免許を与えている格好になってございます。
 栽培のところで、現行は大麻取締法の下で大麻草の栽培については大麻研究者免許で対応してございますけれども、麻薬及び向精神薬取締法、あへん法で、麻向法の上では麻薬原料植物で、コカですとか、ハカマオニゲシとか、きのこ類、マジックマッシュルームのようなものがありますが、そういうものについては研究者の免許プラス大臣の栽培許可。また、あへんについても、研究者免許を前提としつつ、大臣の許可で許可を与える形での栽培になってございます。
 2ページに論点を少し整理させていただいてございます。
 1.の部分ですけれども、今後、大麻規制について、THCなどを中心とした成分規制に切り替えるということで、麻向法で規制するようなことになった場合については、こういった大麻草の成分の分析などの研究は麻向法の麻薬研究者免許により実施可能となる状況になってまいります。
 栽培のほうの研究につきましては、仮にTHC濃度の低い大麻草の産業目的での栽培、また、医薬品原料目的での濃度が高いものの栽培というものを栽培免許のほうで設けた場合に、そこと研究者の栽培免許について整合性を持たせる必要があるのかどうかが論点になってくるかと思います。
 また、研究の形態としては、栽培の研究においては交配とか、そういう品種改良等の研究もされるということで、THC含量の高い品種と低い品種の掛け合わせですとか、あと、栽培するまで、実際、THC含量が分からないような株を取り扱うとか、そういうこともあるのだろうという点にも留意が必要であろうということであります。
 下の「方向性」の部分ですけれども、まず、1つ目のところで、先ほども麻向法の麻薬研究者の免許により、今後、成分分析とかができることになってきますので、基本的には大麻研究者の免許についても麻薬研究者の免許と一本化してはどうかというところが一つの方向性だと思っております。そうなりますと、大麻研究者の免許も麻薬研究者と同様に、今後は麻薬研究者となりますので、免許期間も1年から3年に事実上延長されることになるかと思います。
 栽培のほうなのですけれども、この下の文字を見るよりも恐らく次の3ページの参考の表を御覧いただいたほうが分かりやすいと思いますので、3ページの参考をベースにお話しさせていただきます。
 この表の中で、今、申し上げたように「免許の種類」については、この3つの法律の間で麻薬研究者免許で一本化してはどうかということでございます。
 「研究のための栽培」で、栽培免許との整合性を考えるのか、もう少し実効的な部分で考えるのかでまた先生方の御意見もいただきたいと思いますけれども、大麻草については(案1)として麻薬研究者免許プラスTHC濃度の上限を超える場合についてと上限以下のものについて、それぞれ別の免許を与えるような形の想定が一つ。
 もう一つは(案2)ですけれども、THC濃度にかかわらず大臣許可という形で、一本で許可を与えるような想定ということで、2つの案を今日はお示しさせていただいてございます。
 実際の研究ですとか、そういう実行上の部分も踏まえて、また先生方から今日はいろいろな御意見をいただければと思っております。
 事務局からは以上です。

○合田委員長 どうもありがとうございます。
 ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等はございますでしょうか。挙手をしていただければと思います。
 よろしいですか。
 私の意見を言わせていただきますと、先ほどの研究のための栽培の許可をどこから出すかというのは、今の状態は多分、大麻は風媒なので、濃度コントロールを実際上の問題として「とちぎしろ」だけに限って、例えばその場所をかなり閉鎖空間のようなところで栽培していれば問題ないのですけれども、ほかの大麻が入ってくる可能性は非常に高いので、そういう意味から言うと、これは(案2)のほうを、やらないとなかなか、一定の濃度に。取りあえず、たくさんいろいろな栽培品種が出てきて、それがいわゆる種苗登録されているようなレベルでコントロールされているのならいいのですが、多分、すぐそうはならないのではないかという気がしますけれども、そういう意味から言うと(案2)かなという具合に今、聞いていましたが、どなたか、御意見のある方はいらっしゃいますか。
 どうぞ。

○橋爪委員 橋爪です。
 今、合田先生がおっしゃったように、今後、大麻がいわゆる麻向法で規制されるとなった場合は、この濃度コントロールで見るのは現実的に難しいのかなと。そう考えると、やはり濃度にかかわらず厚労大臣の許可をもらってやるという、いわゆる麻薬での取扱いという形で規制されるほうが実際的かなと私も思います。

○合田委員長 ありがとうございます。
 中島先生が手を挙げていらっしゃいます。よろしいですか。

○中島委員 よろしいでしょうか。

○合田委員長 どうぞ。

○中島委員 今、お話のございました研究のための栽培のところなのですけれども、やはり研究ですので、THC濃度が高いものも低いものも両方扱う可能性はあるかと思っております。麻向法とあへん法にそろえる形で(案2)の大臣許可のほうに一本化していただきたいと思っております。
 以上です。

○合田委員長 ありがとうございます。
 ほかに御意見はございますでしょうか。

○橋爪委員 先生、よろしいですか。

○合田委員長 橋爪先生、どうぞ。

○橋爪委員 橋爪です。
 すみません。今、中島委員からのお話があった通り厚労大臣の許可でやった場合に統一化されてすごくいいと私は思っているのですが、都道府県でその実態の把握ができなくなったりしないのかというところは一つ懸念点なのです。事務局、そのあたりはどう考えていらっしゃるか、お聞かせいただければと思います。

○合田委員長 事務局、お願いできますか。

○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。
 実際に栽培される土地を使うことになるので、恐らく都道府県からは自分の自治体の領域の中でどこでそういう栽培をしているのかを知りたいような需要はあるのではないかと思いますので、仮に大臣のほうで許可を与えるような場合には、そこの連絡体制といいますか、情報共有も当該自治体とさせていただくことは仕組みとしてちゃんとビルトインしておくことは、やぶさかではないかなと思っております。

○橋爪委員 ありがとうございます。

○合田委員長 ありがとうございます。
 ほかにいらっしゃいますか。よろしいですか。
 それでは、次に「THCに変換される物質の取扱いについて」に移りたいと思います。まずは、前回の宿題となっていた事項ですので、厚労省から御説明をお願いできればと思います。

○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。資料3で「THCに変換される物質の取扱いについて」でございます。
 この資料で参りますと、おめくりいただいて、1ページ目の四角の4つ目ですけれども、前回の委員会の中で、いわゆるCBDに意図的に強酸を加えて加熱すると、その一部がTHCに変換されることが懸念されたということで、この行為自体は麻薬製造罪に当たるわけですが、やはり取締りの方法として何らか、こういったTHCに変換されるものがあるのだとすると、対応を検討したほうがいいのではないかという御指摘をいただきまして、少し今回、宿題ということで、対応についての案を今日お出しさせていただいてございます。
 この一番上の四角の部分ですけれども、大麻使用事犯における大麻使用の立証は、前回も御議論いただいたように、尿での代謝物の検査を行うということでありますが、通常はTHCが体内に取り込まれて、THCが代謝を受けてTHC代謝物、THC-COOHという形で尿中に排せつされるものを検査することを前提に考えております。
 ただ、例えば前回の花尻先生のプレゼンテーションの中にもございましたように、その大麻草の中、未加工の植物体の中では、THCはTHCではなくて、THCAという形で90%以上のものが存在していて、これ自体には大麻様の有害作用はないことが知られているということであります。
 この大麻草の未加工の植物の中のTHCAについては、これが例えば光を当てるとか、紫外線を当てるとか、乾燥させるとか、そういう過程の中でTHCに自ら変換されていくような形です。
 一方、このTHCAなのですが、市販の電子たばこデバイス等を使用して加熱することで速やかにTHCに変換されることも分かってございます。そういうものは体内に取り込まれて、THC代謝物として尿中にも排せつされることになります。
 このほかにも、THCとは異なる物質、カンナビノイドとかの例を書いていますけれども、それ自体に有害作用がなくても、生体内に取り込まれる直前、または生体内において容易にTHCに変換される物質の出現も今後懸念されてくるところであります。
 そういう実情を踏まえつつ「対応(前駆物質規制)」で、今回、前駆物質規制の提案をさせていただいてございます。
 前回も「麻薬向精神薬原料」で規制する方法はないのかという御質問もいただいてございました。1.の部分ですけれども「麻薬向精神薬原料」は、業務届出や輸出入時の届出の規制でありまして、流通ですとか輸出入の監視を目的としたもので、物質の所持・使用の取締りに効果的なものではないだろうというところでございます。これはあくまで現行の扱いであります。
 新しい制度的対応をすることを考えていきますと、マル1のところですけれども、THCAのように、それ自体に麻薬と同様の有害作用がない物質であったとしても、先ほどのような電子たばこデバイスで使うとか、そういう通常の使用環境において容易に麻薬成分に変換されて体内に取り込まれる、または、体内で麻薬成分を生成するような物質で、それが乱用のおそれがあるようなものであれば、麻薬成分の前駆物質として麻薬成分と同様に指定して規制してはどうかということで、こういった前駆物質規制をこのTHCAタイプのものについては提案させていただいてはどうかと思っております。
 また一方、CBDについては、強酸及び加熱ということで、ただ、電子たばこのデバイスで吸うこととは異なって、実際、手間をかけて製造行為を行うことになりますので、こういった条件でTHCを生成する場合には、麻薬製造罪としての取締りを一層強化する対応ということで検討してはどうかということで、こちらのほうの対応については御紹介させていただいてございます。
 あと、前回御質問いただきました、いわゆる唾液等での麻薬の検査でありますが、次の2ページ目に「薬物摂取の証明について」という参考資料をつけさせていただいております。
 薬物検査の試料としては、尿、唾液、血液、汗、毛髪など、様々なものが使用されてございます。そういう中でも、尿は非常に長期にわたって血液よりもより高濃度で薬物が見いだされる、また、大量の試料を採取することができる観点からも、検査試料としては割と適したものというふうに、これまで鑑定・鑑識の世界では用いられてきたものでございます。
 一方、唾液中での検査になりますが、これも速やかに検査を行う趣旨では使用可能なものであります。ただ一方で、唾液を試料とする検査においては、様々なところに吸収されて移行するということで、口腔内の濃度は急激に減少するということでありまして、唾液を試料とするには摂取後比較的早い時間、数時間においては可能であるけれども、それを超えるとなかなか難しいといったデメリットもございます。
 下に、唾液検査、尿検査、毛髪検査のそれぞれの特徴を書かさせていただいてございます。現状、こういった唾液の検査については保護観察所等において薬物使用検査等で使われている。そういう保護観察所での検査環境・条件に応じてこういうものが使われているような実情はあるということでございます。
 具体的な製品としては3ページに御紹介させていただいてございますが、こういう口の中に唾液から採取して、イムノクロマトグラフィーという、よくインフルエンザとかの感染の検査薬とかでも使っているような手法でありますけれども、こういうもので、この右の赤い表に書いてあるような、THCを含む様々な薬物についての検査が可能であるようなキットとして用いられている状況であるということで御紹介させていただきました。
 事務局からは以上です。

○合田委員長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの厚労省からの説明につきまして、御意見、御質問等はございますでしょうか。
 太田先生、よろしいですか。
 どうぞ。

○太田委員 いろいろ調べていただきましてありがとうございました。
 幾つか確認させていただきたいことがあるのですけれども、まず、このTHCAという、植物内に存在している形態なのですが、大麻様の有害作用はないということなのですけれども、今朝読んだばかりで、しかも化学の論文なのでほとんど理解できなかったのですが、そこにはTHCAにも幻覚作用があると書かれていたものですから、THCAに本当に有害性がないのかどうかを確認させていただきたいと思います。
 それから、大麻草の中にはTHCAとして存在しているのですけれども、それを切り取った後は、だんだん、それが自然にTHCに変化していくということですが、そうすると、この前駆物質という規制の仕方も一つの方法であろうと思うのですが、そうすると、THCという麻薬の所持とか使用とかというものと、前駆物質の使用と所持というふうに法的には構成が変わることになります。そうすると、例えば大麻草を切り取ったばかりのものを持っている人がいた場合に、それは中を調べないとTHCAなのかTHCなのかが後の刑事裁判で訴因でも変わってくるものですから、そこら辺の特定をどうするのかという、ややこしい問題が生ずるようにも思います。
 そこで、まず前提として、切り取った後、どういう形でTHCに変わっていくのかということが現在の知見として分かっていることがあったら教えていただけますでしょうか。

○合田委員長 事務局、よろしいですか。

○監視指導・麻薬対策課長 本件、化学的な知見の部分、何か花尻先生で御存じのこととかはありますでしょうか。

○花尻委員 切り取った後に、保存中にTHCAからTHCに変化していくものに関しましては、前回のプレゼンテーションで少し、時間ですとか温度ですとかを踏まえた上で説明させていただきました。保存中に全てのTHCAがTHCに変わるというよりは、時間ですとか温度で経時的に変わっていくというのを前回の資料で示させていただきました。

○合田委員長 天然物をやっている人間から考えますと、基本的に普通の植物体の中でTHCがなくてTHCAだけがあることはまずないだろうとは思いますよ。ただ、濃度規制になってしまうと濃度がどのぐらいという話になってしまうので、そこのところは微妙な、濃度上、閾値を超えるかどうかという話になってしまいます。
 それから、もう一つは、THCAに活性があるかないかという部分について、動物に対して投与した場合とか、生き物に対しては中に必ず代謝が入りますね。だから、代謝まで含めて活性を見ているのか、それとも、例えばin vitroの実験のように瞬間的に振りかけ実験のような形で活性を見るのかとか、多分、実験系で言い方がすごく変わるのではないかという具合には思います。
 舩田先生、そういう部分について、何かありますか。

○舩田委員 THCAにつきましては、やはり動物実験、全身の効果での、一部、そういった中枢作用が出るのではないかという報告も出てはいるのですが、現時点ではやはりもう少し詳細な検討が必要な状況かなとは考えております。これまでは、直接作用では、いわゆるカンナビノイドの受容体には基本的な作用はあまりないということになっていると思いますが、THCAについては更なる検討が必要だと考えております。
 以上です。

○合田委員長 ありがとうございます。
 よろしいですか。

○太田委員 それから、よく大麻取締法で検挙される人が持っている乾燥大麻にもやはりTHCAは入っているものなのでしょうか。それとも、あれは完全にTHCなのでしょうか。
 現在は大麻が法規制の対象になっているので、あまりそこら辺は厳密に考えなくてもいいのですけれども、もしTHCが麻薬になって、THCが前駆物質という異なる法的な位置づけとなるとすると、何を持っているかによって、麻薬取締法の麻薬の所持で検挙するのと、前駆物質の所持で検挙するとかが違ってくることになり、訴追においても麻薬と前駆物質の両方の所持で起訴すればいいのかもしれませんが、そこら辺が気になるので、実際には実態としてどういう状況なのかをお伺いしたかったということでございます。
 ちなみに、乾燥大麻はTHCAがほとんどないような状態なのでしょうか。

○合田委員長 花尻先生、お願いしてよろしいですか。

○花尻委員 試料によって違うかと思いますけれども、通常、完全に乾燥して、乱用目的に流通しているような試料に関しましては、THCAは生の植物体ほどの量の検出は我々のところではしておりません。

○太田委員 ありがとうございます。
 それから、もう一つ、大麻の一部合法化が図られたような国だと、大麻草そのものを使ったようなクッキーですとか、大麻草の食品がありますけれども、ああいったようなクッキーでも熱が加わってしまっていますから、THCAではなくてTHCになっていると考えればよいのでしょうか。要するに、よほど生の草をむしゃむしゃ食べない限りは、THCということでよろしいのでしょうか。

○合田委員長 事務局、よろしいですか。

○監視指導・麻薬対策課長 事務局のほうでは詳細はあれですけれども、いずれにしても、クッキー等の熱をかけたものの中ではTHCが多い状態になっていますので、THCAが微量に入っていたとしてもTHCとしての取締りの対象にはなるだろうと思います。
 事務局から先ほどの話を補足させていただきますと、近年、THCAの純粋な結晶のようなものが販売されたりとか、そういうものが出てきているような状況もありましたので、今回、こういう形で、植物体に入っているものというよりはTHCAとして単離されたものが乱用目的で使われるようなことがあるのではないかということでこういったストーリーを構築しているような状況になってございます。
 あと、先生がおっしゃるように、どっちを持っていたかで、言ってみれば、その後の犯罪としての取締りの効果が異なるようなことになると困りますので、そのあたりはまた今後、法案等を作成していく中で十分、我々のほうでも検討させていただきたいと思っております。

○太田委員 ありがとうございます。

○合田委員長 ありがとうございます。
 ほかに御質問等はございますか。
 橋爪先生、どうぞ。

○橋爪委員 橋爪です。
 先ほどΔ9-THCAの単離されたようなものが既に出回っているというお話でしたけれども、今後、例えばΔ9-THCAが医薬品として開発されたりなどした場合、体内でそれがTHCとして薬効を発揮するようなことが可能性としてあったときに、例えば覚醒剤そのものではないのですが、体の中に入ることによって覚醒剤として出てくる。それは一応、規制としては覚醒剤原料という取扱いになって、すでに医薬品としてあるのですけれども、今回、それが麻向法での「麻薬向精神薬原料」にはなかなか規制上難しいということになってくると、厚労省ご提案の前駆物質規制でやるしかないのかなとは思ってはおります。
 これは意見ですけれども、その辺について、何か御見解があれば教えていただきたいです。

○合田委員長 事務局、お願いします。

○監視指導・麻薬対策課長 事務局でございます。
 今、御指摘いただいた覚醒剤原料リスデキサンフェタミンメシル酸塩の件ですけれども、今日御提案させていただいたものは「濫用のおそれがあるものを」と書いてございます。実際、リスデキサンフェタミンメシル酸塩は医療用医薬品として承認されて、医療用医薬品の流通管理の下で、この乱用がない形でしっかりと使用されている状況でございますので、恐らく、ここに言っているような乱用薬物という扱いで規制するものとは一線を画しているのはないかと思います。

○合田委員長 ありがとうございます。

○橋爪委員 ありがとうございます。

○合田委員長 ほかに御質問等はございますか。よろしいですか。
 それでは、続いて、議題3に入りたいと思います。厚労省から、これまでの2回の議論の振り返りにつきまして、説明をお願いいたします。

○監視指導・麻薬対策課長 どうもありがとうございます。それでは、資料4に基づきまして、本日は3回目の委員会で、これまで2回議論いただいたことの振り返りで今日は資料を御紹介させていただいております。
 まず、おめくりいただいて、1ページ目ですが、これまで2回の委員会の中でいただいた主な御意見で、医療ニーズの件、乱用の件、大麻の利用の件、また、栽培の件ということで、大きく4つのポイントがあっただろうと思います。
 <医療ニーズへの対応>では、難治性てんかん等への治療薬として、大麻由来医薬品が使用できる形での法整備を早期に進める必要があるのではないか。また、CBDの議論も前回、結構させていただいておりますけれども、やはりCBDも薬理作用を有するものなので、適切に、十分にそれを認識した上で、食品であったとしても注意深く市場形成すべきではないかという御意見。
 <薬物乱用への対応>という件では、参考人として松本先生にも御登壇いただきましたけれども、刑事罰によるスティグマという御指摘もあるところ。一方で、大麻使用に関する司法の強制力が、依存防止の観点からも必要ではないかという御意見もいただいています。その上で、刑事罰以外の治療的な措置ですとか社会復帰支援の必要性も課題ということで御意見をいただいてございます。また、今後、これは法案をつくっていく中での検討になっていくと思いますが、大麻法と麻向法の立てつけ、何をどちらの法律で規制するかとか、あと、使用罪等の量刑、成分の濃度基準の具体的な数値等についても今後議論していくべきであろうということを指摘いただいております。あと、麻薬中毒者制度については廃止することで望ましいという御意見があった一方で、現在、自治体に置かれている中毒者相談員制度について何らかの形で残していただきたいという御意見をいただいてございます。
 <大麻の適切な利用の推進>では、CBDからTHCを製造できるとなると、ということで、先ほど資料3で御議論いただいた点。また、利用目的ということで、産業利用ということで、伝統文化のみならず、麻栽培も農業として確立できる制度にしてほしいという御意見をいただいております。
 あと<適切な栽培及び管理の徹底>で、これも委員の方から、免許権限を都道府県から国に移管してほしいという御意見。国から自治体に対して明確な免許基準を示してほしい。また、医薬品の原料用途として大麻栽培が可能になるように法整備をして進めてほしいといった御意見をいただいてございます。
 あとは、栽培管理の方法で、これまでずっと大麻草のTHCの濃度の上限ですとか管理の基準のお話をしてきましたけれども、生産上の管理の方法について、諸外国における例を参考に、どのようなものかということで、それを踏まえて日本での管理方法を検討ということで御指摘をいただいたような状況でございます。
 そういった御指摘も踏まえまして、これまで各回、議論の最後にまとめをさせていただいてきてございますけれども、そういったものを一部修正していきながら、これまでの議論の振り返りで本資料4を御紹介させていただきます。
 2ページから24ページまでは「大麻を取り巻く現状(背景の整理)」で、例えば大麻草の性質とか、このファクトに関する部分をこれまでの既存資料からまとめ直した形にしてございます。これはあくまで議論というよりはファクトという状況でございますので、時間も限られておりますので、24ページまでは説明を省かせていただきます。
 25ページからが、いわゆる議論のポイントになってきてございます。冒頭御紹介させていただいたように、医療ニーズ、乱用への対応、製品等の利用、そして、栽培ということで、大きく4つの論点を前回までに御議論いただいてございます。
 議論の考え方・方向性のみ御紹介させていただきますけれども、例えば27ページでありますが「1 医療ニーズへの対応(大麻由来医薬品に係る取扱い)」で「見直しの考え方・方向性」という部分では、国際整合性も図りつつ、大麻から製造された医薬品であっても、薬機法における承認を得たものについては、その製造、輸入及び施用を可能にしてはどうかということで、現行、大麻取締法第4条等の関係条項を改正すること。また、麻向法に基づく麻薬製造、流通、施用に関する免許制度等の流通管理の仕組みを導入することという方向性を示していただいてございます。
 ただ、その際に「大麻を使用してよい」といった乱用につながるような誤った認識が広がらないように留意する点と、また、麻薬にすることになった場合に、患者さんにとって制度的な負担にならないような円滑な施用や薬剤管理の在り方も検討していく必要があるのではないかということで御指摘をいただいてございます。
 引き続きまして、乱用の対応で、この部分につきましては31ページを御覧いただきたいと思います。
 31ページの「ア)大麻使用への対応について」で、大麻に使用罪は存在しないことが大麻使用のハードルを下げている状況もございまして、大麻の使用禁止を法律上明確にする必要があるのではないかという問題意識が1つ目。
 そして、若年期からの乱用によって、大麻に特に若年の方は依存を生じるリスクが、危険性がある。そういったことも踏まえながら、乱用を早期にやめさせる観点からも、使用に対するペナルティーを明確にする必要があるのではないか。
 また、麻向法に基づく麻薬に係る取扱いとの整合性を図る観点から、現行、大麻法には使用罪がございませんけれども、大麻に関し罰則を科さない合理的な理由は見いだし難いのではないかというところ。
 32ページに参りまして、一方で、これは大麻に限ったことではありませんけれども、薬物を使用した方を刑罰により罰することは、薬物を使用した方が孤立を深め、社会復帰が困難となり、スティグマを助長するおそれがある。そういった御意見もいただいたわけでございまして、そういった薬物乱用者に対する回復支援の対応ですとか、薬物依存の治療を含めた再乱用防止、社会復帰の支援も併せて充実させるべきではないかというところ。そして特に、薬物乱用や薬物依存の背景事情も考慮に入れた上で、依存からの回復とか社会復帰を社会全体で支える形で、スティグマも考慮に入れた取組を進める必要があるのではないか。
 また、参考としては、平成28年より、刑の一部執行猶予制度が導入されて、薬物犯罪等の罪を犯した方に対しての刑の一部執行について一定期間執行を猶予するような仕組みも導入してございます。
 続きまして、33ページで「イ)成分に着目した規制の導入について」で、THCをはじめとする有害な作用をもたらす成分に着目した規制を導入する。
 そして、麻薬としての施用等を禁止する対象となる成分を法令上明確化するということで、現行、麻薬向精神薬取締法で規定されている大麻成分。こちらにリストアップしてございますけれども、これについて、現行、化学合成に限ると言っているところが、成分規制になった折には、化学合成以外の天然由来のものにもこういったものが広がるような形になっていくのだろうと思います。
 上記以外の成分であっても、有害性が指摘されている成分についても、科学的な知見を収集して、物質規制のプロセスで指定していく、規制していく必要があるのではないかといった点も御指摘をいただいてございます。
 34ページで、こういった使用という部分に関する規制になってまいりますけれども、大麻使用後の尿中の大麻成分の挙動を把握しておくことが重要で、2つ目の○にございますように、使用の立証には、THC代謝物のTHC-COOHを定量することを基本とすべきだろう。その上で、一定の感度を持った精密な確認試験など、実施可能な試験方法の導入を検討すべきである。
 その一方で、受動喫煙とか、製品に混入するおそれのあるTHCの尿中への代謝物の影響も考慮して、尿中のTHC代謝物の濃度で区別するなどの対応も検討していく必要があるのではないかといった御意見もいただいてございます。
 あと、35ページの部分は麻薬中毒者制度についての廃止の方向という部分での検討ですけれども、冒頭御紹介させていただいたように、薬物中毒者相談員に関する位置づけも検討していくべきではないかということで御意見をいただいてございます。
 その後、3番目の論点の「大麻の適切な使用の推進に向けて」でありますが、考え方・方向性の部分は37ページでございます。
 大麻に関する規制を部位規制から成分規制に変更することに伴いまして、CBDのような大麻由来製品に含まれるTHCの残留限度値を設定する。そしてまた、必要な試験方法も統一的に示すべきではないかということ。
 ただ、こういった限度値を超える製品は「麻薬」となりますので、所持、使用、譲渡等が禁止されることになるといった部分に対してはきちんと取締りを行う必要があるということでございます。
 また、その際に、CBD製品等の中でのTHC残留限度値については、保健衛生上の観点から、安全性を十分に見込んだ上で、かつ尿検査による大麻使用の立証に混乱を生じさせないような形で適切に設定すべきではないかというところがございます。
 あと、CBDの酸・加熱による変換ですとか、THCAの課題については本日御議論をしているところでございますので、また追って、その議論を踏まえて、このあたりの記載を整備していきたいと思っております。
 続きまして、4つ目の論点、大麻草の栽培管理のところでございます。40ページになります。
 「見直しの考え方・方向性」でありますけれども、まず1つ目、栽培の目的・用途では、新たな産業利用ですとかCBDの製品に係る原料の生産等を念頭に置いて、こういった新しい産業利用の目的を追加すべきではないかということ。あとは、先ほどの医薬品としての大麻由来医薬品の施用を認めるところとも関連していますが、現行法では認められていない医薬品原料の用途に向けた栽培についても追加していく方向で検討を進めるべきではないかということでございます。
 あと、THC含有量に応じた栽培管理の在り方で、本日も種の議論等をさせていただいております。THC含有量に関する基準を設定する。欧米で行っているような、0.2%のような事例を参考に上限値を設定することを検討すべきではないか。また、THC含有量が多い品種に関しては、必要な経過措置を設けて、その間に必要な品種の切替え等を促すことを含めて検討すべきではないかという御意見をいただいてございます。
 41ページで「ウ)栽培管理に関する基準の明確化について」ですけれども、先ほど来、御議論いただいているTHC含有量に関する上限の検討とともに、栽培管理の在り方についても一定程度明確化していく。
 また、2つ目の○ですけれども、産業用途を目的とする場合に、低THC含有量の大麻草栽培であることや、現行の繊維・種子の採取に係る免許が都道府県の自治事務であることを踏まえて、その免許事務の主体についても検討を進めていくべきではないかということでございます。
 3つ目ですけれども、THC含有量に関する上限を超える大麻草の栽培は、一方で国で管理することを基本にしてはどうかということ。
 あと、4つ目、5つ目の部分ですけれども、栽培研究の部分ですとか、海外の登録種子の適切な利用という部分は本日御議論いただき、また、参考人からも御意見を聴取したところで、またそういった御意見を反映したものを今後、資料で作成させていただきたいと思ってございます。
 42ページで「エ)THC含有量が少ない品種に関する栽培管理のあり方及びその担保を行う仕組みについて」でございます。
 1つ目の○ですけれども、THC含有量が少ない品種に関しては、現行よりも栽培しやすい環境を整備していくべきではないかということで、具体的には3つ目の○に、一部の都道府県が免許基準として高いフェンス、監視カメラ等を求めているといったところがございましたが、栽培管理規制を全国的に統一的なものとする。また、この低THC品種については、より栽培しやすい環境を整備すべきではないかということ。ただ一方で、花穂とか葉などの部分が外部に流出しないように、処分に係る管理を徹底すべきではないかということ。
 その反対側になりますけれども、THC含有量が多い品種の栽培については、厳格な管理を求めるべきではないかといったところでの御議論がなされたということでございます。
 次、43ページ、最後のページになってまいりますけれども【THC含有量の担保について】で、このあたりも本日、種子の議論で登録品種が大事で、継続的に形質を維持していくことが大事だという御意見をいただいてきてございます。
 そういう形でのいろいろな規制強化を図っていくような場合に、様々な経過措置ですとか、現実的にどこまでできるかといった、栽培環境を悪化させない方向での検討も重ねていく必要があるだろうということで、今回議論中でございますが、このあたりについてもまた取りまとめの中で反映したものを今後、事務局でも作成させていただきたいと思ってございます。
 事務局からは以上でございます。

○合田委員長 御説明、どうもありがとうございます。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等はございますでしょうか。
 小林先生、どうぞ。

○小林委員 神奈川県立精神医療センターの小林と申します。私は恐らく、今回参加されている方々の中で唯一、依存症の治療、臨床に関わる人間ですので、大麻の使用罪に関して少し補足させていただければと思うのです。
 大麻の使用罪に関しては、臨床現場や患者の間で非常にいろいろな大きな議論を呼んでいることは皆さんも何となく御存じだと思うのですが、この大麻の使用罪に関して、私は条件つきで本当にこれは必要だと思います。その一つの理由としては、何らのサンクションも、何らの強制力もなければ、患者さんが実際に使用をやめていこうと考えるきっかけづくりにはならないからでして、そういった意味で何らかの罰則をつくることは必要だと思うのです。
 一方で、こちらのまとめにも書かれていますように、スティグマの問題はやはり十分意識されているわけで、では、そのスティグマに配慮しながら、いかにこのサンクションを与えるかのバランスを考えていく上では、従来の覚醒剤で行われているような、単純に刑罰を与えて刑に服させるようなやり方の思考から離れる必要があるのではないかと臨床現場からは思っております。
 そういった意味では今回、この大麻の使用罪を検討するに当たって、具体的に法制度と刑罰の内容とかをいろいろと検討していく中で、ぜひ臨床現場の人間として、従来の刑に服するのではなくて、諸外国でも実際に行われているような行政罰化といった形で、罪人にするのではなくて、若干、ニュアンスとしては道路交通法の違反に近いような形で、何らかの困り感は与えなければいけないし、何らかのサンクションは必要ではあるけれども、やはり彼らはメンタルヘルスの問題も抱えている点においては他の刑事事犯とは違う部分をぜひ考えていただいて、そういった具体的な制度設計のときにはこういった臨床現場の声も随時入れながら御検討いただければと思います。
 それが結果的には大麻の使用を禁止・規制することが当然、この大麻に関する様々な法規制の中には主たる目的としてあるわけですけれども、大麻の乱用だけが止まればそれでいいという問題ではないと思うのです。皆さん御存じ、危険ドラッグのときも、危険ドラッグに対しては法規制をつくって違法にしたことによって、では、危険ドラッグの依存症が予防されて治ったのかというと、実は単に危険ドラッグという依存対象から別の、それこそ市販薬とか処方薬とかアルコールに移った、あるいは高度の依存症に移っただけであって、メンタルヘルスの問題は残念ながら法規制だけによっては解決されていないのです。
 それが今回の大麻の使用罪におきましても、使用罪をつくることによって、実は依存症が予防されたのは大麻の依存症が予防されただけであって、大麻の使用罪ができることによって、大麻では逮捕されてしまうから面倒くさい。では、別の逮捕されないものに移ろうという患者さんは一定数、結局出てきてしまうので、使用罪をつくっておしまいではなくて、そのメンタルヘルスの部分についてもぜひ検討しながら使用罪の制度設計を御検討いただければと思います。
 ありがとうございます。

○合田委員長 ありがとうございます。
 事務局、何かありますか。

○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。臨床現場の立場で小林先生にいろいろとお話をいただきました。
 これは薬物犯罪ということで、大麻に限ったことではございません。他の薬物にも当然、使用罪があって、そことの合理的な違いが当然見いだしにくい状況の中での使用罪の設定になってまいりますので、まさに先生の御指摘いただいた回復支援とか、そういったものに対してスティグマも含めて支障を来さないような仕組みにしていくことは、これは大麻だけではなくて薬物全体で考えていかなければならないことだろうということでありまして、この場だけではなくて、やはり十分な議論が必要な部分なのだろうというふうに刑罰の与え方という部分については考えているところであります。
 ただ、基本的に現行の薬物犯罪という形での使用罪を設定していく場合であったとしても、ここに書いてございますように、回復支援の対応ですとか治療等、社会復帰支援も含めて、そういった部分をきちんと充実させることがやはり大事なポイントであろうということで、今回はこのような形での考え方・方向性でまとめさせていただいてございます。御指摘の部分は十分に留意させていただいているつもりです。

○合田委員長 ありがとうございます。
 ほかに、御質問、御意見等はございますか。

○富永委員 よろしいですか。

○合田委員長 では、先に富永先生、どうぞ。

○富永委員 薬剤師会の富永です。
 薬剤師会としては、医薬品として、やはり有効性・安全性が確認されて、その上で承認されて、安全で合理的な製造、流通、供給。これが行われる。煩雑になると困るのですけれども、ルールづくりを望むところです。
 その面については、今までいろいろ議論いただいて、いいかなと思うのですけれども、一方で、今、おっしゃった使用罪の適用なのですが、薬剤師が学校等で薬物乱用防止教育等を行っておりますけれども、結局、若年者の大麻乱用を防ぐ啓発を行っていくとともに、やはり使用罪の適用で、一生涯で経験しないという一次予防の教育につなげていければと思っております。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○合田委員長 ありがとうございます。
 それでは、橋爪先生、お願いします。

○橋爪委員 今の富永先生の話と続くのですけれども、これは仮に大麻系医薬品が医薬品として製造される場合、日薬連に所属している製薬会社の私としては気になるところなのですが、これはいわゆる化学的な変化をやって作ることができる、いわゆる麻薬製造免許を持つ業者なのか、あるいは小分け等で、いわゆる化学的変化を持たせずに麻薬を作ることができる麻薬製剤業者。両者で取り扱うのか。ここで今、結論を出していただかなくていいのですけれども、今、どちらを考えていらっしゃるのか、事務局にお聞きします。

○合田委員長 事務局、お願いします。

○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。
 実際、どんなものをお作りになられるかによると思いますが、基本的には現在、事務局で想定しているのは成分規制にするということで、大麻についても通常の麻向法の中に入れていく形でこれから検討していくのだろうということになるのだとすれば、もちろん、大麻草から大麻成分を抽出して医薬品を作るところはいわゆる麻薬製造業者になるでしょうし、そこから何らかの製剤を作っていくということであれば麻薬製剤業者になるでしょうし、まず十分、従来の製造免許等の枠組みの中でそこは対応できるのかなとは思っていますけれども、何か不都合になりそうなものはありそうでしょうか。
○橋爪委員 麻向法で製造・流通が規制されているのであれば、少なくとも乱用になることは非常に少ないことを経験しておりますので、今の事務局のお考えで私は十分かなと思っています。
 以上です。

○合田委員長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか、御質問等はございますか。
 神村先生、どうぞ。

○神村委員 先ほど小林先生がおっしゃいました、やはり使用者への支援、回復への支援を強く打ち出していただいたほうがいいかなと思います。理由は、ほかの危険な薬剤・薬物より、もっと若い人にとってハードルが低く、接触する機会が多い。それから、結構、海外に行ったときに気軽に触れてしまうことを聞いておりますけれども、やはりそういう方々に対しての最終的な支援を今までの規制よりももっと強くやるのだということを明確に打ち出していただく必要があるのだと思っております。

○合田委員長 ありがとうございます。
 事務局、ありますか。よろしいですか。

○監視指導・麻薬対策課長 その辺の支援の対応の強化というところでここは打ち出しをさせていただけるような形で、事務局のほうで検討させていただきます。

○合田委員長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか、御質問とか。
 中島先生、お願いします。

○中島委員 東京都の中島です。3点ほど意見をさせていただきたいと考えております。
 まず、35ページにございます麻薬中毒者相談員についてなのですけれども、第1回目の会議でも御発言させていただいたのですが、都では相談員を設置しておりまして、地道な活動を行っている状況でございます。名称が変わってもいいので、薬物問題を抱える人の相談員を設置できる条文をぜひ設けていただきたいと考えております。
 続きまして、2点目が37ページのところでございます。○の1つ目で、CBD製品に残留するTHCを事業者の責任で確認するとのことなのですけれども、事業者の方が自ら試験をするのは難しいかなと思っておりまして、そうすると、受け皿となる検査機関をきちんと確保することは必要になってくるかと考えております。また、輸入品については海外の試験結果を確認するなど、水際対策を強化することも必要だと考えております。
 さらに、2つ目の○のところで、行政による買上げ調査、監視指導を行うべきということで記載いただいているのですけれども、もし自治体でも行うということであれば、検査の実施や監視指導の体制整備などの準備が必要になってくると思いますので、早目に情報提供をいただいたり御相談いただけるとありがたいと考えております。
 最後、3点目なのですけれども、41ページでして、THCの含有量が低い大麻草の栽培免許についてでございます。これは前回会議でも御発言させていただいたのですが、やはり全国統一的な運用が必要ということであれば、ぜひ国の免許制度にしていただきたいと思いますので、御検討、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。

○合田委員長 ありがとうございます。
 事務局、何かございますか。

○監視指導・麻薬対策課長 どうもありがとうございます。
 そういう検査体制という部分で製品の検査ができるようなラボも当然必要になってくることからも、こういった残留値を設定する。そしてまた、必要な試験方法も統一的に示すことがその上では必要最小限というか、必要十分な条件になってきますので、このような形で書かさせていただいてございます。
 また、収去検査については、買上げ調査については、今、いわゆる厚労省、国で、麻取部でやっているような状況でございますけれども、もし今後、こういうものを都道府県とも協力してやるようなことがあるときには、できるだけ早めに皆さんとも協力体制についてお話合いをさせていただきたいと思います。
 あと、免許権者を誰にするか問題ですが、今回の資料4の1枚目の紙にも中島委員からも御要望いただいた点については記載させていただいているところでございます。このあたりは既に自治事務としてやられている業務も踏まえて、その事務主体についてどこが適当かという議論を引き続き自治体の方と国との間では継続させていただきたいと思ってございますので、よろしくお願いしたいと思います。

○合田委員長 ありがとうございます。
 ほかには。
 太田先生、どうぞ。

○太田委員 太田です。
 先ほど小林先生や神村先生がおっしゃられたことは、まさにそのとおりだと思います。
 問題は使用罪をつくるかどうかということでなしに、現在の検察の運用が、覚醒剤の場合でもほぼ90%訴追しますが、訴追した結果、判決はどうなのかといいますと、90%が保護観察のない単純執行猶予になっているということで、処遇とか治療に結びついていないことが問題です。
 大麻取締法でも今、4割弱ぐらいが起訴猶予になっていて、その後の処遇や治療に結びついていません。起訴されても、ほぼ全てが単純執行猶予になっているということなので、THCが麻薬になるとすると自動的に施用罪になるわけでありますけれども、問題はこうした司法の運用であります。しかし、これは検察の訴追方針でありますとか、裁判所の量刑方針に口出しができないわけでありますので、こういうことについては今後の司法の側の大きな課題になると思っています。
 ただ、私としてはやはり、全部執行猶予も前科にはなってしまいますので、前科だけを科して処遇していない状況は回避されるべきであると思っています。基本的には刑事手続から処遇と結びつくような形にしていくことがぜひとも必要ではないかと思っております。
 それから、そういった大きな話と比べて誠に瑣末な話なのですけれども、私は施用という言葉に慣れていないせいかもしれませんが、今度、THC等が麻薬ということになれば、それを使用した場合には施用者以外の者が施用したということで施用罪になるわけでございます。しかし、先ほどのような前駆物質みたいなものの新たな構成要件ができるとすると、THCAそのものは薬品という位置づけではないわけなので、麻薬施用者による施用が前提になっていないような施用罪みたいな用語が果たしていいのかどうかという、ほかの薬物法規では使用罪となっているわけですけれども、その用語の使い方が果たしてどうなのかというのが若干、気になっているところではございます。
 本当に単なる用語の問題でございますけれども、そういった印象を持ちました。
 以上でございます。

○合田委員長 ありがとうございます。
 事務局、何かありますか。

○監視指導・麻薬対策課長 この用語については、なかなか麻向法の世界にずっと長くいない方からすると分かりにくいところもございまして、ただ、使用というふうに言ってしまうと、人体に対して使用する以外の薬物を、検査も含めて、様々な形で使用することも含めた概念で麻向法は書かれているところもあるので、なかなか分かりにくい概念ではありますけれども、施用という部分を中心に考えざるを得ない部分にはなってくるかと思っています。
 ただ、先生が御指摘の部分もよく分かりますので、またこれから法律等を詰めていく際には御意見も参考にさせていただきたいと思います。

○合田委員長 ありがとうございます。
 ほかに御意見等はございますか。よろしいですか。
 今、いただいた御意見で、基本的に厚労省の事務局の振り返りについて強く反対される、内容的にネガティブな意見を出されてはいないとは思いますので、その点については御了解をいただいたことにしたいと思います。次回以降、これまでの議論を踏まえて、この小委員会の全体の議論の取りまとめ案を示していただくようにお願いいたします。
 さらに、本日の全体を通しまして、御意見、御質問等がございましたら承りますが、よろしいですか。
 よろしいですね。
 では、本日予定されていた議題は以上となりますが、最後に事務局から何かございますか。

○事務局 事務局です。
 本日いただきました御意見については、事務局で改めて整理させていただいて、次回、御提出させていただきたいと思います。
 次回以降の日程等につきましては、正式に決まり次第、事務局から御連絡を差し上げますので、よろしくお願いいたします。

○合田委員長 それでは、以上をもちまして第3回「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会大麻規制検討小委員会」を閉会いたします。円滑な審議の進行に御協力いただきましてどうもありがとうございました。

(了)

医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課
直通:03-3595-2436

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