北海道のむかし話4 ヌッパの沢の竜神さま ー三笠市ー
ヌッパの沢の竜神さま
むかし、村の人びとは、この沢の水を引いて飲み水にしたり水田揚水にして使っていました。
ある年のことでした。
お貞という村の働き者が沢づたいに入り、おいしそうな、大きなフキやウドをたくさんとり、やっこらさと背負ってもどってきました。
そして、大きなカツラの木の下でひと休みして、「さて、汗もひいたし、はよう帰ろうか」と、立ちあがって、びっくりしました。
大きなヘビが、道に長くねそべっているのです。
「あっ!」
とさけび、立ちすくむと、ヘビは、ずるずるとカツラの木にのぼっていきます。そのカツラの木の枝にも、小さなヘビがからみあって、巻きついているのです。
お貞は、恐ろしくて恐ろしくて、もう、声がでませんが、ヘビは竜神さまに違いないと思い、目をつむっていっしんに、「竜神さま、竜神さま」と、拝みました。
どのくらいたったのでしょう。
お貞は、大へびの声を聞いたのです。
お貞が、おそるおそる目をあけてみますと、もう、ヘビの姿は見えません。
お貞は、はうようにして家に帰りました。
村びとたちは、お貞の話しにしたがって、さっそく、カツラの大木にしめ縄をはり、祠をたて、鳥居を寄進して、竜神様を祀りました。
夏になると、お告げのとおり雨の降らない日が続き、今までにない大干ばつになりました。
村びとは、祠のまえに集まり、お祭りをし、太鼓を打ってお祈りをしたところ、この付近いったいに雨が降り、どうやら、平年作になりました。
いまでも、干ばつにはお祭りをし、太鼓を打つとかならず雨が降るといわれ、大きな貯水池がつくられ、この地方の大切な用水源となっています。
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