観光客が行かない苫小牧巡り・後篇
ウトナイ湖
札幌から国道36号で苫小牧に入ると「ウトナイ湖」が左手に見えてきます。かつては海の入り江で、砂州や砂丘が発達し、海と切り離されて淡水湖になりました。マガンやハクチョウの集団飛来地で平成3年にラムサール登録。
30年ほど前までは、渡り鳥の季節には数万羽が飛来し、湖畔に人は少なくのんびりと白鳥を眺めることができました。
ところが、2009年「道の駅ウトナイ湖」がオープンすると事態は変わりました。昔のような渡り鳥を見ることはなくなり、まことに残念なことです。
交通の要衝
苫小牧は太平洋に沿って、JR室蘭本線・国道36号線・道央高速道路が縦断しており、これが大変長く続きます。
その例として、ICが東・中央(令和2年12月開業)・西と三か所あります。
更に、最初の東ICは国道を右折しますが、左折すると無料の高速道路で日高に向かうことができます。
千歳は隣で新千歳空港は国際空港と併設、海は苫小牧西港フェリーターミナル、隣町の厚真町には苫小牧東港フェリーターミナルがあります。
要するに、昔から交通の要衝になっているのです。
30年ほど前までは、道東に行くには「勇払」から太平洋を下り、「富川」から「平取」の内陸を上り、日勝峠を超えて十勝に行きました。(今は夕張から行けるので便利になりました)
王子製紙
王子の城下町といわれるほど王子製紙は北海道開拓に貢献をしてきました。王子が苫小牧工場を新設したのは明治43年のことです。
この工場は世界有数の新聞巻取紙工場で製紙工場の始まりです。支笏湖の湖畔に「鉄道の赤い陸橋」が残されていますが、明治41年に王子製紙が千歳発電所を建設するための物資輸送のために、苫小牧工場から支笏湖まで王子製紙軽便鉄道「山線」を走らせた跡です。昭和26年に廃線になりましたが、一般客・原木を運びました。
王子製紙の鉄路は、日高線の苫小牧―富川―平取まで木材輸送を兼ねて一般客輸送を行っていました。沿線の開拓貢献は図り知れません。
緑ヶ丘公園展望台
国道36号を曲がらず直進すると住宅地で生活道路(環状線)となり、国道276号に突き当たります。276号は苫小牧の中心市街を基点として、支笏湖―京極―岩内が終点です。
突き当りの小高い丘を上ると「緑ヶ丘公園展望台」があります。
三階建ての建物で展望台(海抜56m)からは苫小牧を360度で見ることができます。太平洋や雄大な樽前山(たるまえざん)、王子製紙の煙突や市街地を良く見渡すことができます。高台はここだけです。そうして、丘の反対側に降りていくと市営野球場やサッカー場などスポーツセンターがあります。
金太郎の池
さらに、進むと「金太郎の池」という公園があります。運動公園の中にある公園で、カモやコイ、カメが居て、野鳥も生息しています。池の周囲は、遊歩道になっており散歩やジョギングする市民も多く1周約2キロ。
公園内には、貸しボートや、バーベキューを楽しむレストハウスもあります。家族連れで楽しい時間を過ごそうと多くの市民が訪れています。金太郎とは変わった池の名を調べたことがありました。
この池は造られた池で、命名にも歴史があるようです。桜の木も植えられていているので5月には見事な桜が見ることができるでしょう。
苫小牧市科学センターミール展示館
市制50周年を記念して、平成10年にロシア(旧ソ連)の宇宙ステーション「ミール」と実験モジュール「クバント」の予備機が、苫小牧市科学センターに設置されました。岩倉建設㈱が苫小牧市に寄贈されたものです。この、宇宙ステーションを見ることができます。
ミールは1986年に旧ソ連が打ち上げた世界初の長期滞在型の宇宙ステーションで、本体に6個のドッキングポートを持ち、巨大な宇宙構築物を作ることに成功しました。2001年、ニュージーランドの南太平洋に落下しその使命を終えました。
これは一見の価値が十分あります。(無料です)