北海道のむかし話44 層雲峡の滝に沈んだ野盗
層雲峡の滝に沈んだ野盗
層雲峡大函(おおばこ)の手前に高い山がある。
昔、日高の波恵(はえ)に勢力をもっていた波恵人(ハイウンクル)が野盗になってあばれておった時のこと。
ある日、大雪山を越えて層雲峡へ下り、川下の部落を襲おうと筏いかだをつくり、流れに乗ってくだってくると、この山の裾すそが川に突き出たところオペッカウシ(尻を川の上に突き出す)にくると、裸の女が乳房をブラブラさせて踊っておった。
それを見つけた野盗達は、すっかり魅せられて、筏の梶かじをとることも滝のあることも忘れて、滝壺深く落ちて死んでしまったという。
この裸婦は、層雲峡の女神で淫魔(いんま)パウチカムイである。