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観光客が行かない滝上巡り・後篇
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私が滝上を訪れていたときに、芝桜公園の斜面で草取りをしているボランティアの人たちがたくさんおりました。私も一握りの芝桜を植えてみたことがあれますが、この草取りは面倒な作業です。
折角、滝上まで来たので、半分の芝桜だけを見て帰るわけにもいきません。
少し町を走ってみると素晴らしい渓谷があることを知りました。芝桜が町の観光名勝ではありますが本来はこちらが本命ではないかと思ったほどです。
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市街地を流れる渚滑(しょこつ)川のことを、町の人たちは「錦仙峡」(きんせんきょう)と呼んでいます。渚滑川は、市街地の中央付近で支流サクルー川と合流しており、川幅が狭く急流となるため大小幾多の滝を作っているのです。町名のとおり滝上にある町ですから山岳地帯です。
そのため市街地に大きな滝が3か所あり「洛陽の滝」「白亜の滝」「蚊竜の滝」と名付けられ、滝上渓谷「錦仙峡」は市街地の中を流れる珍しい渓谷となっているのです。その先に、西洋のお城のような建物が目に入ります。近寄ってみると、なんとホテルでした。
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この渓谷の両岸に遊歩道があり、約5.4kmのウォーキングコースとなっています。春には清流に映える新緑、夏には木陰の涼、秋には紅葉、野鳥と出会えるバードウォッチングと四季を通じて楽しむことができるといいます。
芝桜だけではなく、季節を選んで訪れると他にはない旅の時間となるでしょう。また、下流部には4万平方メートルの広大な敷地に「香りの里ハーブガーデン」があります。
元々、滝上町はハッカの産地でもあります。現在はわずか10ヘクタールほどの畑でしか作られていませんが、ほかに栽培している地区がないため全国の95%のシェアを誇ります。
芝桜の次に着眼したのが香りの植物(ミント生産日本一)による観光開発でした。
平成2年、「童話村」のまちづくり
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「芝ざくらの町」「花と渓谷の町」として取り組んできた滝上町ですが、次にまちづくりのテーマとして「童話村」を進められています。
滝や渓谷、森・川・畑などの豊かな自然や風景があり、そうして花と香り、小動物などを考えると童話の舞台になっているということです。
童話村のまちづくりのさまざまな舞台に登場してくるのが「ピコロ」です。
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平成2年に全国に公募し選ばれたキャラクターです。
滝上町内には「おとぎの国を再現したような」テーマパークがあるわけではありません。 このテーマに沿って、住民の意識改革、発想の転換、自治体の企業戦略を進めていこうと「童話村」のまちづくりを進めていこうということです。
町では芝桜に続く観光として「ハーブと錦仙峡を訪ねるみち」が美しい日本の歩きたくなるみち500選の認定を受けています。