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確率は情報によって変わる

注目する事象が同じでも、情報により確率は変わる

確率は、常に、「起こりうる全事象(母数)」に対して、「注目する事象」の割合で示されます。 したがいまして、「注目する事象」がまったく同じ事象でも、母数の取り方(情報)によって確率は変わってきます。 例えば、

簡単な例

4枚の紙に一枚だけ○が書いてある伏せた紙があって、4人がそれぞれ引いた時、○を書かれた紙を引く確率は 1/4 ですが、先に2人が引いていて、その紙には○が書かれていない事が分かっておれば、1/2になります。 これは情報により母数が4→2に変わったためです。

宝くじの例

宝くじはユニット単位で1等から末等までその数が決まっています。 例えば、あなたが購入した宝くじが、「ハズレ」であれば残りのくじの当たる確率は間違いなく増えます。

天井に向けてピストルを撃った場合

当たる確率は100%ですが、天井の特定の一点に当たる確率は0%です。 何故なら、天井には無数の点があるからで母数は無限大だからです。 ※これは同じ「注目する事象」でも、条件により母数が変わり確率が極端に変わる例です。

シュートが成功する確率

たとえば、バスケットボール⛹のバスケット️‍にコートのセンターからシュート🏀を打って入る確率は、それを試行する人の技量に大きく左右されます。

無作為に選んだ一般の方なら、ほとんど入る確率はないでしょう。 しかし、NBAの一流選手ならかなり入る確率が高いです。

つまり、シュートを打つと言う同じ行為でも、打つ人の技量を事前に知っているか知らないかで大きく確率が変わるのです。

注目する事象「バスケットボールのバスケット️‍にコートのセンターからシュートを打って入る事」のみだけで判断するのではなく、情報「かつて、何度も成功している人が試行するかどうか」によって、確率が変わってくるのです。

競馬のオッズが情報によって変わるのと同じですね。 

確率は常に、求める事象の数/起こりうる事象の数(母数) で表されます。 ですから、起こりうる事象の数は情報によって変化するためが変化すると確率も変わってしまうのです。 もちろん、起こりうる事象の数は、同じくらいの確からさでカウントしなければなりません。

このような例では当たり前のように思う方が多いでしょうが、世間の問題では同じ事象でも情報により確率が変化することに気付かず、騙される人が多いのです。

イカサマ師は、この母数を操作して騙すことが多いです。 重心を操作して、特定の目が出やすいサイコロとか。(確からさが均等ではない)

情報が重要ですので、別にイカサマ師でなくてもイカサマであることを知っておれば対処できる場合もあります。

母数を間違いやすい有名な問題

条件付き確率とも言われますが、「モンティホールの問題」や「ふたりの子供問題」は、情報によって確率が変わる母数を間違いやすい問題です。

モンティ・ホールの問題

3つのドアのうち、当たりは1つ。回答者が1つのドアを選択したあと、司会者であるモンティがハズレのドアを1つ開けて公表する。その後、回答者は選択を変えても良いと言われるが、変えるべきであろうか?

正解

選択を変えるべきです。 変えないときよりアタリの確率が2倍になります。

残り2ドアの当たりの確率は直感的にはそれぞれ 1/2(50%)になるように思えますが、それは正しくありません。

解説

モンティ・ホールの問題の本質は、
(1)回答者が最初にドアを選んだ後、モンティが残りの二つのドアから必ずハズレのドアを開け、
(2)回答者がモンティの(1)の意思を知ること
です。

(1)が成立しないと、モンティはアタリのドアを開く可能性がある訳で、その時、回答者の次の行動が無くても、ハズレが決定します。

しかし、それは最初に回答者が選択する時の確率1/3の結果の一つに過ぎません。 なぜなら、回答者はその後どのように選択しても結果は変わらず、確率0でも確率を計算する試行数にカウントされるからです。 つまり、モンティの関与が最初から存在しなかったとも言えるのです。

(2)が成立しないと、たまたま、モンティがハズレのドアを開けたかどうか回答者は分かりません。 回答者が持つ情報は、(1)が成立しない場合と同じ状態です。 また、モンティの結果を知らされないと、モンティが選んだドアを選ぶ可能性があるわけで、これもまた、モンティがいてもいなくても同じですので、モンティの関与が最初から存在しなかったとも言えるのです。 アタリの確率はいずれも、1/3です。

このように、モンティの意思と行動、それに対する回答者が知る情報によって、同じ事象の試行のように見えても、確率は情報によって変わるのです。

直感に反すると感じる理由

それは、アタリのドアの位置と、最初の回答者の選択のドアの位置には因果関係がないと言うことです。

しかし、それはモンティがハズレのドアを回答者に教えるまでの話です。

モンティが残りのハズレのドアを選ぶとき、アタリと回答者が選択したドアを避けて選択するので、回答者が選ばなかったドアのハズレ確率が減るのです。 因果推論では、このような仕組みをコライダーと呼び、後からハズレを排除するなどをすると、バイアスを生じさせる原因となります。

世間で良くある、バイアスの典型例は以下の記事をどうぞ。

確率の本質を思い出そう。

それと忘れててはならないのが、確率はあくまで同じような試行を多数回繰り返した場合の、(未来予測)確からしさであることです。

偏りのないサイコロを多数回振った時、
(1の目が出た割合)=(1の目が出た回数)/(試行回数)
で計算されますが、試行回数を増やせば増やすほど1/6に近づきます。 
しかし、確率が1/6だとわかっても、いくら科学技術が進歩しても、次に降った時、どの目が出るかは、分かりません。

ただし、多数回の試行の結果、出目が偏っている場合、サイコロが不正であるなどの検出はできます。


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