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保険を解約する前に知っておきたい「払済み」裏技
「今の保険料が家計を圧迫している……」「でも、これまで払った分をムダにしたくない」という悩みを抱えている方は少なくありません。実は、保険を解約する以外にも“払済み”という選択肢があるのをご存じですか?
払済みとは、これ以上の保険料の払い込みをストップしつつ、これまで積み立ててきた分の運用を継続する方法です。本記事では、払済みの仕組みやメリット・デメリットを解説します。
払済みとは?
払済みとは、今まで払い込んだ保険料を元に、新たな保険料の支払いをしないまま保障を残すという裏技的な方法です。解約すると解約返戻金を受け取って保険契約自体が終了しますが、払済みにすると契約は継続され、保険金や払戻金の計算が「いままで払い込んだ分のみ」で行われます。
• 払済み後の保険金額や払戻金は、当初の設計より少なくなる
• 一方で、これ以上の保険料を払わなくて良いので、家計に優しい
払済みにすると何が良いの?
1. 家計の負担が一気に軽くなる
保険料の払い込みをストップできるため、毎月(あるいは毎年)の固定費が抑えられ、家計管理が楽になります。子育て中や、ほかの支出が増えている時期に特に大きな効果を感じられます。
2. これまでの積み立てがムダにならない
解約してしまうと、基本的には解約返戻金を受け取って契約終了となり、保険によっては戻りが少なく損を感じるケースも。しかし、払済みにしておくとこれまでの積み立て分はそのまま活かすことができるわけです。
3. 解約返戻金が少しずつ運用される
払済みによって保険契約が続くため、解約返戻金が時間をかけて緩やかに増えていく可能性があります。目先の損得だけではなく、長期的に見て「それほどマイナスにならない状態」まで持ち続けるという選択肢も検討できます。
払済みのデメリット・注意点
1. 保険金額や払戻金が当初の設計より下がる
これまで払い込んだ分のみで保険金や解約返戻金を計算するため、当初の予定より保障額が大幅に小さくなることがあります。自分や家族の安心に十分かどうか、事前に確認しておきましょう。
2. 特約が消滅する場合がある
保険会社や契約内容にもよりますが、払済みにすると特約(医療保障・がん特約など)が継続できないケースがあります。払済み後の保障範囲は必ず確認するようにしてください。
3. 運用利率などは必ずしも有利とは限らない
解約しないで継続するメリットとして運用が挙げられますが、保険の種類によっては利率があまり高くないこともあります。別の方法で運用したほうが良い場合があるため、他の金融商品との比較も忘れずに。
払済み保険にできる主な条件
1. 保険種類や商品性の制限
• 払済にできるのは、主に貯蓄性のある終身保険・養老保険・個人年金保険などで、契約に「払済保険への変更が可能」である旨が規約に含まれていること。
• 定期保険(掛け捨てタイプ)には払済制度がないケースが大半です。まずは契約中の保険が払済保険への変更に対応しているか、保険証券の約款や保険会社のサイトなどで確認しましょう。
2. 一定の「解約返戻金」があること
• 貯蓄性のある保険の場合、解約返戻金(解約すると戻ってくるお金)が積み立てられています。払済保険にする際は、この解約返戻金をもとに「保険料の支払いを終了させても、どのくらいの保障を継続できるか」を計算します。
• 解約返戻金が少ないと、払済保険に変更できない場合があります。
3. 保険会社の所定の手続き・条件を満たすこと
• 例えば、契約して一定期間以上経過していることや、未払いの保険料がないことなど、保険会社ごとに細かい条件が設けられている場合があります。
• 基本的には、「払済保険への変更届」を保険会社に提出し、承認を得る手続きを行います。
払済み保険にする主な手順
1. まずは現在の契約内容・約款を確認
• ご自身の保険契約が「払済保険」への変更に対応しているか、保険証券や約款・パンフレットで確認しましょう。
2. 保険会社・担当FPに連絡してシミュレーションを依頼
• 払済保険への変更前後で、どのくらいの保障額になるか・特約がどうなるかをシミュレーションしてもらいます。
• 併せて、払済後の更新や再加入の可否、手数料などについても確認してください。
3. 手続き書類の取り寄せ・記入
• シミュレーション結果を踏まえ、払済への変更を決めたら、保険会社や担当者から「払済保険への変更届」などの書類を取り寄せます。
• 必要事項を記入・押印(電子手続きの場合は電子署名)して、保険会社に提出します。
4. 払済保険証券の発行
• 手続きが承認されると、新たな「払済保険証券」や「払済特約証券」が発行されることがあります(会社によって名称が異なる)。内容を再確認し、保管しましょう。
5. 払済後の保障内容を再確認
• 保険金額・期間・特約の有無などが変更されている場合は、今後のライフプランに支障がないかチェックします。不足があれば、別の保険商品で補う必要があります。
まとめ:解約前に「払済み」を検討してみよう
保険を解約するのか続けるのか、悩んでいる方は多いでしょう。そんなときは、「解約して終わり」にする前に、一度“払済み”という裏技を検討してみるのも手です。払済みを活用すれば、家計の負担を減らしながら、これまで積み立てた部分を最大限に活かせる可能性があります。
しかし、払済み後に保障額が大きく下がったり特約が消滅するなどのデメリットもあるため、自分のライフプランや他の保険・運用商品との比較が必須です。保険の見直しやライフプランニングの専門家に相談しながら、最適な選択をしてみてください。
ご自身や家族の状況を考慮して、
「解約して一時金を手にする」「払済みで契約を続ける」「他の保険に乗り換える」
といった選択肢を比較し、後悔のない保険プランを組み立てましょう。払済みという方法を知っておくだけでも、選択肢がぐっと広がりますよ。
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