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パート主婦の社会保険加入、本当に「得」なのか?


先日、Threadsに投稿した「パート主婦が社会保険に加入すると得なのか?」というテーマが大きな反響を呼びました。投稿の内容を見た多くの方が「知らなかった!」「考えさせられる」とコメントしてくださり、わずか数時間でいいねも189件を超え、コメントも40件を超えました。

Threadsのスクショ

そこで今回は、この内容をさらに掘り下げて解説していきます。




「パート主婦が社会保険に入れば、手取りが減っても年金が増えるからお得!?」


こういう話を耳にしたことがある方も多いでしょう。たしかに、政府やメディアなどでもそのように報道されています。
もちろん社会保険に加入すると厚生年金が積み立てられます。その結果、老後に受け取れる年金額が増えるます。

でも、ここで注意したいポイントがあります。それは 「遺族厚生年金との厚生年金の関係」 です。

メディア等ではここまで突っ込んだ話をしていません。理由を考察するに、知らないか、報道しないか。おそらく、ほとんどのコメンテーターは知らないのだと思います。FPでもほとんどの人が知りませんから。(先日FP20数名の前で講演しましたが、全員知りませんでした)


遺族厚生年金と自分の厚生年金、どちらか一方だけしか受け取れない

もし、旦那さんが先に亡くなった場合、パート主婦が受け取れる遺族年金は「遺族厚生年金」です。一方、自分が社会保険で積み立てた厚生年金も、もちろん受け取る権利があります。

しかし、ここで衝撃的な事実があります。

  • 遺族厚生年金と自分の厚生年金は、 どちらか多い方しか受け取れない。(後に改定された、その件は次の章で解説)

このルールにより、大半のパート主婦は旦那さんの遺族厚生年金の方が多くなるため、自分の厚生年金は「実質ゼロ」になってしまう可能性が高いのです。

「実の母がそうだったんです。50才で夫を亡くし、一生懸命働いて厚生年金をもらえると思っていたらどっちか選択しないといけなかった・・・」

Threadsより

例えば、以下のようなケースを考えてみましょう。
下記は年金を受け取っている夫婦(共に65才以上)の年金受取イメージです。

年金受取

夫がなくなったらどうなるかというと、下記の通り

妻が受け取れるのは、自分の国民年金と遺族年金になります。(遺族年金7.5万と厚生年金8900円を比べて多い方しか受け取れない)
決して、遺族年金7.5万円と自分の厚生年金8900円が併せてもらえるわけではありません。

年金をもらっていた夫が亡くなると?

遺族年金と厚生年金の両方受け取ってるよ?って方コメントが来ました


上記の遺族年金と厚生年金はどちらか多い方しか受け取れないという説明に矛盾してます。

実際、Threadsにも下記のようなコメントが

義理の母が確か、遺族年金と厚生年金の両方もらっていると言ってた気がします・・・

Threadsより

正確に言うと、自分の厚生年金を先に受け取って、受け取った分を遺族年金から差し引て遺族年金が支払われます。日本年金機構でもそのように説明されています。


日本年金機構より

ですが、別の言い方で言うと、厚生年金を受け取った分、遺族年金は減らしますよということ。

つまり、自分の厚生年金か遺族年金のどちらか多い方の金額がもらえるということです。(内訳が変わっただけで、総額はかわらない。)

厚生年金と遺族年金の併給イメージ

どちらにしても、実際に受け取れる額は 多い方のみといっても結果はかわならい。つまり、社会保険に加入して厚生年金を増やしても、 トータルの受取額が変わらない ということです。

「それって詐欺じゃん」
「やってくれたな自公」

Threadsより

そうなると、扶養を外れて自分で社会保険はらう意味が無くなってきませんか?手取りも減るし、年金ももらえない・・・


得するパターンもある

実は得するパターンもごくわずかですがあります。

夫婦とも長生きで90才オーバー

夫が亡くなったら、遺族年金か厚生年金のどちらかの選択になるのですが、夫が生きている間は自分の厚生年金を受け取れます。妻が働いていた期間にもよりますのでざっくりとした目安ですが、10年厚生年金をかけると回収するのに約28年かかります。

つまり65才から受け取ると、28年後の93才まで厚生年金を受け取れればペイします。

ですが、夫婦ともその年齢まで生きている人って数パーセントです。夫がかなり年下とかならいけるかもしれませんが・・・

夫の自営業の場合

夫が自営業だと、夫が死んでも遺族厚生年金はありませんのでご自身の厚生年金に影響は受けません。

夫の厚生年金が少ない場合

夫の厚生年金が少ない場合だと、夫が死んでも遺族厚生年金と自分の厚生年金の比較になり、自分の厚生年金が満額受け取れます。

別の社会保障を受けられる場合

これは年金とは関係ないのですが、よく聞かれるし突っ込まれるので一応記載しておきます。

出産一時金をもらった場合

国民年金の場合の出産一時金と社会保険の場合では数百万単位で変わってきます。該当しそうであれば、社会保険加入はおすすめです。

障害状態になった場合

出産一時金の時と同様、障害状態になった時の障害年金も国民年金の時と厚生年金の場合では給付額が変わってきます。


加入すべきかの判断ポイント

それでは、パート主婦が社会保険に加入するべきかどうかは、どのように判断すれば良いのでしょうか?

1. 自分の家庭の収入バランス

  • 旦那さんの収入と、自分の収入のバランスを確認しましょう。

  • 家計全体での保険料負担を考える必要があります。

2. 老後にどれだけ年金を受け取りたいか

  • 老後の生活費をシミュレーションしてみると、目標金額が明確になります。

3. 自分の働き方やキャリア

  • 将来的にフルタイムで働く予定がある場合は、厚生年金の積立が有利になることもあります。

4. 他の社会保険のメリット

  • 健康保険の扶養から外れることで得られる医療保障のメリットも考慮しましょう。


結論: 情報を正しく理解して選択を

「社会保険に加入すれば年金が増えるからお得!」という話は、一部の情報だけを切り取ったものです。自分の家庭やライフプランに合わせて、全体像を考えること が大切です。

今回のテーマに関してさらにご質問があれば、ぜひお気軽にコメントやメッセージをお寄せください。皆さんが後悔しない選択をできるよう、今後もお手伝いしていきます!

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