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終身保険 or 定期保険?あなたに合った生命保険の選び方

生命保険は、人生のさまざまなリスクに備える大切な手段のひとつ。しかし、「どんな保険が自分に合っているのか分からない…」「終身保険と定期保険のどちらを選べばいいの?」と悩んでしまう方は多いかもしれません。
そこで本記事では、生命保険を選ぶ際の大きなポイントとなる“終身保険”と“定期保険”の違いをわかりやすく解説し、さらに自分に合った保険を見極めるポイントを整理します。



1. 終身保険と定期保険、それぞれの特徴

1-1. 終身保険とは

終身保険は、その名の通り一生涯の死亡保障を受けられる生命保険です。保険料の払込期間は「一生涯払込」「60歳まで」「65歳まで」など、商品によって選べますが、保険期間自体は亡くなるまで続くのが特徴です。

  • メリット

    1. 必ず保険金が支払われる
      途中で解約しない限り、被保険者が死亡したときに保険金が受け取れます。

    2. 貯蓄性がある
      解約返戻金が設定されている商品が多く、将来的な資産形成としても利用できる(ただし、解約タイミングや商品によって返戻金の金額は異なる)。

    3. 保険料が変わらない(原則)
      更新型とは違い、加入時に決めた保険料が原則固定されるため、長期的な家計管理がしやすい。

  • デメリット

    1. 定期保険に比べて保険料が高め
      一生涯の保障や貯蓄性がある分、月々の負担がどうしても割高になる傾向がある。

    2. 短期解約すると損になりやすい
      貯蓄性は長期間加入してこそ意味が出る。加入後早い時期に解約すると、払込保険料よりも解約返戻金がかなり少ない場合が多い。

    3. 必要保障額の変化とズレが生じる可能性
      子どもの独立などで大きな死亡保障が必要なくなった後も、一生涯同じ保障を持ち続けるため、保険料負担が無駄に感じられる場合も。

1-2. 定期保険とは

定期保険は、例えば「10年」「20年」「60歳まで」など契約期間が限定された生命保険です。満期が来れば契約終了となり、更新型の場合はそのタイミングで再契約をするかどうかを選びます(更新時に保険料が上がることが多い)。

  • メリット

    1. 保険料が安い
      同じ死亡保障額なら、終身保険より定期保険のほうが圧倒的に安価で加入しやすい。

    2. 必要な期間だけ大きな保障を持てる
      例えば子どもが小さい間だけ保険金額を高く設定し、教育費や生活費に備えるといった使い方ができる。

    3. 更新型ならばライフステージごとに保険を見直せる
      定期満了ごとに保障額やプランを変えることが比較的スムーズ。

  • デメリット

    1. 保険期間が終われば死亡保障がなくなる
      更新を選ばない限り、満期後は保障が消滅する。

    2. 貯蓄性がほぼない(掛け捨て)
      途中解約しても解約返戻金がない(もしくはごくわずか)場合がほとんど。

    3. 更新時の保険料アップ
      更新型の場合、年齢が上がるほど保険料が上昇し、長期間加入するほど総支払額が高くなる可能性がある。


2. どんな人が終身保険を選ぶべき?

2-1. 「相続」や「葬儀費用」の準備を考えている人

終身保険は必ず死亡保険金が支払われるという点が大きな強みです。将来的に相続税の納税資金や、葬儀費用を確実に準備しておきたい人にとっては、終身保険が有効な選択肢となります。

  • 相続税対策
    死亡時にまとまった金額が受け取れるため、財産を現金化しやすい。相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の人数)も活用できる。

  • 葬儀費用
    約数百万円の支出が確定するため、遺された家族に負担をかけたくないと思う場合、終身保険でしっかり準備しておくと安心。

2-2. 保険と同時に「貯蓄」機能を重視する人

終身保険は契約期間が長く、解約返戻金が設定されていることが多いので、貯蓄代わりに活用しようと考える人も少なくありません。
しかし、保険はあくまで保障がメインであり、投資や貯蓄に比べるとリターン面では劣る場合もあります。「確実にお金を貯めたい」「貯まったお金に多少の死亡保障をつけたい」という人には相性がいいかもしれませんが、利回りだけを追求するのであれば別の選択肢も検討してみましょう。

2-3. 長期的に一定の保険料を支払いたい人

「年齢が上がっても保険料を変えたくない」「更新のたびに手続きをするのが面倒」という人にも、終身保険は向いています。特に保険料レベルがあらかじめ固定されるプランなら、毎月の支出が予測しやすく、老後の資金計画も立てやすいでしょう。


3. どんな人が定期保険を選ぶべき?

3-1. 子育て中など、一定期間だけ大きな保障が必要な人

定期保険の最大の魅力は、同じ保険金額でも保険料が割安だということです。
子どもが独立するまでの間、万が一の死亡リスクに備えたい人や、ローン返済期間中だけ保険を手厚くしたい人に向いています。保険期間を短く区切ることで、余分な期間の保険料支払いをカットできます。

  • 子どもがまだ小さい間
    教育費のために、大きな死亡保険金を用意しておきたい(たとえば3,000万円や5,000万円など)。

  • 住宅ローン完済まで
    もしも世帯主が亡くなったときに家族がローンを支払えなくなるリスクに備える。ただし団信(団体信用生命保険)の加入状況にも要注意。

3-2. 保険料を抑えて他の資産形成に回したい人

保険と投資は全く別物ですが、家計全体で見れば、保険料を払いながら投資や貯蓄をするというのが一般的なスタイルでしょう。
定期保険を利用すれば終身保険に比べて保険料が安く、その分をNISAやiDeCoなどの資産形成に振り向けられます。「死亡保障は最低限でよいから、余ったお金を運用や貯蓄に回して資産を増やしたい」という考え方も合理的と言えます。

3-3. ライフステージごとに保険を切り替えたい人

定期保険は満期(更新期間)が来るたびに見直しができるため、家族構成や収入の変化に合わせて柔軟にプランを変えられます。

  • 結婚・出産時: 大きな死亡保障が必要(定期保険の加入)

  • 子どもの独立後: 保障が小さくても大丈夫(新規に小額の終身保険に入っても良い)

  • 老後: 葬儀費用・相続対策としての終身保険を別途検討

というふうに、段階的に保険を使い分けるのが定期保険のメリットです。


4. 終身保険と定期保険、どう組み合わせる?

4-1. 「定期+終身」のミックスプランもアリ

たとえば、子どもが独立するまでは定期保険で大きな保障を確保しつつ、将来的な葬儀費用や相続対策には小額の終身保険を合わせるという組み合わせも一般的です。

  • : 「200万円の終身保険+3,000万円の定期保険」

    • 合計2,300万円の死亡保障を持ちつつ、子どもの独立後は定期保険部分を更新せず解約し、終身保険の200万円は維持する。

    • 保障と保険料のバランスが取りやすい。

4-2. 生命保険以外の保険(医療・がん保険等)も見直し

生命保険は死亡保障だけでなく、入院・手術など医療面もカバーする商品も多くありますが、医療保険やがん保険はまた別の役割を持っています。

  • 医療保険は高額療養費制度や会社の福利厚生と合わせ、必要最低限の保障で十分かどうかを検討。

  • がん保険や三大疾病保険は、生活習慣病リスクが高くなる中高年層が重視しがち。保険全体のバランスを考えて組み合わせると無駄が減ります。


5. あなたに合った生命保険を選ぶ3つのポイント

ポイント1:必要保障額と期間を明確に

保険を選ぶときにまず考えるべきは、「いつまでに、どれくらいの保障が必要か」です。

  • 子どもの年齢や独立予定、住宅ローン完済予定などを踏まえて必要期間を見極める。

  • 遺族の生活費や教育費、ローン返済などを加味して、死亡保障額を算出する。

これをはっきりさせておけば、定期保険と終身保険のどちらが(あるいは組み合わせが)合理的かが見えやすくなります。

ポイント2:保険料と家計のバランス

保険は長期間払い続けるものですから、家計の無理のない範囲で選ぶのが重要です。

  • 終身保険は保険料が高めなので、家計を圧迫しすぎると本末転倒。

  • 定期保険は安い保険料で大きな保障を得やすいが、ライフプランに合っていないと中途半端に感じる場合も。

  • 「保険料が月々いくらになり、他の家計支出や貯蓄に回す分がどれくらい残るのか」をチェックしてください。

ポイント3:保険の「役割分担」を考える

死亡保障だけではなく、医療・がん・三大疾病など、保険にはさまざまな役割があります。「死亡保障=定期保険でしっかり確保し、老後対策=終身保険(少額)&別の資産運用で補う」というように、役割をはっきり分けて組み立てると、ムダが少ない保険設計になりやすいです。


6. まとめ:自分に必要な保障と家計状況から考えよう

  • 終身保険

    • 一生涯の死亡保障を得たい

    • 相続対策や葬儀費用を確実に準備したい

    • 長期的に保険料を固定しておきたい

    • 貯蓄性をある程度重視したい

  • 定期保険

    • 子育て期間など、一時的に大きな保障が必要

    • 保険料を抑えて他の投資や貯蓄に回したい

    • ライフステージごとに保険を見直したい

    • 掛け捨てでも問題ないので安く加入したい

どちらか一方が「絶対に正しい」というわけではなく、ライフプランと家計のバランスを取ることが大切です。ときには両方をうまく組み合わせるミックスプランがベストの場合もあります。

生命保険は、万が一に備える安心を得るための仕組み。高額な保険料を払っても、ライフステージに合っていない保険では意味が半減してしまいます。保険ショップやファイナンシャルプランナーなどプロの手も借りつつ、あなたや家族の将来像をしっかり見据えて、自分に合った保険を選んでみてください。


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FP Matsuyama Osaka
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