iDeCoと退職金の受取を10年離さないといけなくなる改悪
今回は、2025年からの改悪でiDeCoと退職金の受取時期を10年離さないと退職所得控除をフルに活用できなくなるかもしれません。その場合の対策方法を解説します。
① 基礎知識
退職所得控除とは、退職金やiDeCoの一時金にかかる税金を軽減するための仕組みです。以下の計算方法が退職金から引かれます。
退職所得控除額の計算方法:
勤続20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
勤続20年超:800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)
② 退職所得控除が受けられる条件
退職所得控除を適用するには、以下の条件を満たす必要があります:
退職により一時金を受け取ること
iDeCoの場合は60歳以降に一時金として受け取ること
退職金とiDeCoの受取時期が5年以上離れていること(5年ルール)→こちらが10年に改悪される
③ メリット・デメリット
デメリット:
受取時期の調整が必要
生活設計の変更が必要
対処法:
ライフプランを再検討
専門家に相談して最適な受取方法を検討する
iDeCoを辞めるor減額して積立NISAに回す
④ 具体例
Aさん(60歳)の場合:
iDeCo加入期間:15年
会社勤続年数:35年
iDeCoの一時金:1,000万円
退職金:2,000万円
Aさんが60歳でiDeCoと退職金を同時に受け取った場合:
退職所得控除額 = 800万円 + 70万円 × (35年 - 20年) = 1,850万円
課税対象額 = (3,000万円 - 1,850万円) × 1/2 = 575万円
Aさんが60歳でiDeCoを受け取り、65歳で退職金を受け取った場合:
iDeCo:退職所得控除額 = 40万円 × 15年 = 600万円
退職金:退職所得控除額 = 1,850万円
課税対象額 = (1,000万円 - 600万円) × 1/2 + (2,000万円 - 1,850万円) × 1/2 = 275万円
⑤ コツ・やり方・選び方
iDeCoと退職金の受取時期を10年以上離す
退職金が多い場合は、iDeCoを先に受け取る
iDeCoの積立額が多い場合は、退職金を先に受け取る
生活資金の必要性を考慮して受取時期を決める
⑥ 注意点やリスク
10年ルールを忘れずに!
受取時期の調整で生活資金が不足しないよう注意
将来の税制改正に注意(2025年に10年ルールへの変更予定)
回避方法:
定期的に情報をチェックし、必要に応じて計画を見直す
緊急資金を確保しておく
⑦ 手順
現在の年齢とiDeCo加入期間を確認
会社の退職予定年齢と退職金の見込み額を確認
公的年金の受給開始年齢と見込み額を確認
生活資金の必要額を算出
iDeCoと退職金の受取時期を検討
税金のシミュレーションを行う
必要に応じて専門家に相談
⑧ おすすめ
最適な受取方法は個人の状況によって異なります。ライフプランを作成し、専門家に相談することをおすすめします。私にご相談いただければ、あなたの状況に合わせた最適なプランをご提案いたします。
⑨ まとめ
iDeCoと退職金の受取時期を上手に調整することで、退職所得控除を最大限活用し、税負担を軽減できます。10年ルールを意識し、長期的な視点でライフプランを立てることが重要です。
詳しくは金融庁のiDeCo(退職所得控除)のページをご覧ください。
⑩ Q&A
Q1: iDeCoを年金として受け取る場合は?
A1: 年金として受け取る場合は雑所得として扱われ、退職所得控除は適用されません。ただし、公的年金等控除が適用されます。
Q2: 退職金を先に受け取る場合の注意点は?
A2: 19年以内にiDeCoを受け取ると退職所得控除の調整が必要になります。20年以上空けることをおすすめします。
Q3: 2025年の税制改正で何が変わる?
A3: 5年ルールが10年ルールに変更される予定です。より長期的な視点での計画が必要になります。
退職所得控除を最大限活用するためには、早めの準備と適切な情報収集が欠かせません。分からないことがあれば、ぜひ専門家に相談してくださいね。