ホウカンTOKYOの森 vol.4【人生の卒業旅行】開催レポート
ホウカンTOKYO杉並・中野主催で、定期的に開催している学習・交流企画「ホウカンTOKYOの森」。
ホウカンTOKYO杉並・中野スタッフ、緩和ケア認定看護師の河野佳代がリードして行うワークショップ「人生の卒業旅行~逝こう、過去と未来を結ぶいのちの旅へ~」。第4弾が10月29日に開催されました。
「人生の卒業旅行」とは…
アメリカのホスピスで行われている教育プログラムである「死の体験旅行®」をベースに作られたプログラム。自分にとって大切なものを書き出し、病から死までの物語の中で手放していくという過程をとおして、自分にとって大切なものが何かを見つめなおし、日々の暮らしの中や人との関わりに生かしていくための死の疑似体験です。
定期開催し回数を重ねる中で、参加者の方だけではなく講師・河野にも新たな気づきや学びが広がり、ワークショップの内容も毎回、試行錯誤・リニューアルを繰り返しています。
講師・河野が感じた想い
今回参加されたお二人の言葉からは、誠実さゆえのつらさも感じてきましたが、ワークショップの体験を通じて自然と胸の内に抱えていた思いを語り合う場が生まれていたような印象を受けました。
誰かを援助する者同士が互いにその思いを共有しあい、ひとりではないのだ…と感じて頂ける時間になったように思います。
自分にとって大切なものがあるように、目の前の誰かにも大切にしているものがある…お互いを大切に思い合うという事、そして援助者自身のケアの場が、これからの多死社会においてより一層必要なのかもしれないと感じたひと時でした。
ワークショップの中では、自分にとって大切な人・物・事・場所を紙に書き出していきます。そしてその大切なものを、自分が死に向かう物語の中でひとつひとつ手放していきます。
普段は意識しない「死」を自分事として捉えることは、死を過剰に恐れたり忌み嫌うのではなく、個々が自分自身の価値観を広げ深めることにつながります。
ワークショップ後、参加者からの声
「今まで多くの方を見送って来ましたが、その時々で気持ちを整理する時間も無く仕事をしてきたように思います。こうしてゆっくりと振り返って誰かと話せる事はとても大切だと感じました。自分自身が死んでいくことよりも、自分が居なくなった後に残される大切な人達のことばかりを考えている自分にも気付きました」
「自分の経験したことのない死を前にした苦しみを抱えている人に、どのような言葉を掛けたらいいのかといつも考えていました。どのような言葉もどこか上滑りをしているような気がしていて。本当に自分がその時その立場に置かれたら、何を語るのだろうか…。その時に自分の話を聞いてほしい人が傍にいてくれることも、救いなのかもしれません」
この世に死なない人は存在しません。ですが、そこに目を向けること、自分や大切な人の「死」を意識することは多くの人にとって恐怖を伴うことであり、無意識のうちに目を背けてしまいがちです。
また、人の心や身体・生活を支える医療や介護の従事者ほど、忙しい日々の中で、人の死への感覚が麻痺してしまうこともあります。そんな中で「人生の卒業旅行」は、自分の日々の暮らし・身近な人との関わり方を見つめ直す機会となったのではないでしょうか。
死に想いを馳せることで、各々にとってよりよく「生きる」ためのヒントが見えてくる…。そんな優しく温かな時間が流れるワークショップでした。
「人生の卒業旅行」は、ホウカンTOKYO杉並・中野にて今後も定期開催予定です。ご興味がある方はぜひお問い合わせください。
(※手指衛生、アルコール消毒、マスク着用、アクリル板の設置、少人数での開催、など感染対策を徹底して開催しています)
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主催:ホウカンTOKYO杉並・中野(事業所名:ホウカンTOKYO本部)
■連絡先
TEL:03-5913-7299
FAX:050-3156-2824
■所在地
〒166-0012 東京都杉並区和田3-32-9
(丸ノ内線 東高円寺駅より徒歩約3分)
■Webサイト
https://hokantokyo.jp