自分で自分にインタビュー:Part22
ーーあなたは写真を撮るのも撮られるのも好きではないらしいですね?
とは言え俺は、写真を見るのは大好きだ。大阪出身の写真家・森山大道氏の作品が好きでな。この人の作品って、なんか知らんけどカッコイイんだよ。なんだろうな・・・マジで「ハードコア」としか形容のしようがないわ。
超本質主義というか。
ーーあなたは森山氏の考え方に非常に影響を受けているそうですが?
「アマチュアの世界はカメラに拘るばかりで、どんどんプロ志向になって本質が根こそぎ無い」「カメラなんて何だっていいんだ、撮るというだけの話だから」っていう・・・影響を受けたというか、共感だな。
ーー形から入るオタクとは逆を行ってますね?
実際に森山氏は、知り合いにもらったお手頃価格のコンパクトカメラ片手に散歩して、パシャパシャスナップ撮ってるだけだ。いわゆる「写真家」らしくしっかり構えて撮るということをしない。たまには構えることもあるとは言ってるけどな。「たまには」だからな。
ーー普通の一般庶民が無邪気に写真を撮ってるのと同じ様な感じですね?
そうだ。要するに本質。機材が好きなのか?写真が好きなのか?俺も若い頃は憧れのミュージシャンが使ってるクッソ高いサンプラーとか買ったわ。
それまでお手頃価格のシーケンサーで曲作ってたんだけど、後で聴いてみたら安いシーケンサーで作ってた曲の方が個性的で味わい深かったんだよね。
ーー確かに、プロが使うやつで作るとある意味「完成された良い音」を並べていけばいいのでプロっぽくはなりますけど、逆に飽きてきて創作意欲が削がれるというか・・・?
そうだ。色々と制限のあるやつの方が、「性能の限界を引き出してやろう」という気持ちにさせてくれるんだよ。このショボい機材で究極の楽曲を作ってやる!ってね。創作意欲が湧いてワクワクするね。意識がちゃんと「曲」に向いている。制限のない機材は「うわ~ここ、どのエフェクトをどれだけ使おうか・・・キリがないな」とか、なんか延々と機材の勉強ばっかりさせられてる気がするんだ。意識が散漫になって、逆に飽きてくる。
ーー森山氏をよく知る写真家も言っていましたね、「森山氏はカメラに支配されていない。カメラを支配している」って。
彼の作品にはブレやピンボケが多い。「起こることは全部利用してやろう」みたいな。それはさっき俺が言った「このショボい機材で究極の楽曲を作ってやる!」という発想にも通じるよね?
機材を完全に自分の意のままに操る。そこまで行くとストレスなくサクサク創作活動出来るよね。
ーー見栄を張って有名なお高い機材を買ったところで、使いこなせなければ宝の持ち腐れになるということですね?
最新のiPhone見せびらかしてるけど使い方分かってない奴って多いだろ?
森山氏はそういう感じの苦言みたいなことも言ってたぞ?
ーー森山氏へのインタビューを読んでいると、物に踊らされ支配されている人々を哀れんでいる感じがありますね。
もしかすると彼は、街中でそういった人々の表情を撮るのが好きなのかも知れんぞ?間抜け面をな(笑) なんかそれっぽい作品がいくつもあるんだよ。
ーーあなたと気が合いそうですね!
なんか森山氏が悪い人間みたいになってきたな。まあ実際、森山氏本人がどういう人間なのか知らんけどな。でも写真が素晴らしいのは間違いない。
ーーそういうことですね。評価すべきは作者ではなく作品です。
そういう意味ではAI生成作品も「AIだから」という理由はどうなんだろう?
作品が良ければそれでいいだろ、と俺は思うけどな。とは言え今のところはそこまで衝撃的なAIの作品を見たことないな。
ーーAI画像生成はすでに幅広い人気ですけど、あれをアートととらえるのはどうなんでしょうか?
まあAIは、Artificial Intelligence(人工知能)だからな。人工関節や人工呼吸器は何のためにある?本物に成り代わって機能するものだろ?あくまで人工物であって、それは自分のものではない。だから永遠に違和感があるんだ。
人工知能だって同じ。自分ではなくて「AIさん」だ。俺としては今のところAIさんのやることなすこと全部、自分のイメージとはかけ離れていて違和感バリバリなんだよね。まるで「住む世界の違う人」だ。とは言えその違和感を面白いと思ったのなら「新しい遊び相手」としてポジティブに機能し続けるだろう。
ーーAIは言わば他人ですか?それだったらアートと言えますね。ただし他人のアート。あなたにとっての森山大道氏といった感じ。
だからアレだな、AI生成作品っていうのは俺が森山氏に「今だ!あれを写真に撮ってくれ!」って言ってるみたいなものだな。何を撮って欲しいのかはこっちが指示するけど、どう撮るかは森山氏に任せる、みたいな。
ーー今思ったんですがAIに「森山大道風の写真」って頼んだらそういうのが出てくるのでは?
画像生成や音楽生成で色んな名前入れて試したことあるけど「存在するアーティストの名前を入れんな」って怒られるぞ(笑) もしくは似ても似つかないものが出てくるわ。試したのはかなり前だから、今どういう感じになってるのか知らんけどな。
ーー「存在するアーティストの名前を入れんな」って、ある意味AIのプライドみたいなものを感じますね?(笑) やはりAIは「AIさん」であり、言わば
個人。「住む世界の違う人」「新しい遊び相手」といった感じですかね。
ああ、AIさんは結構クセが強いからな。こいつと遊んであげれる人は相当な
「変人好き」かも知れんぞ・・・
ーー本日はありがとうございました!
それでは今日も美味しい食事を楽しみましょう!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!