ファッション誌の見出しにビビる非おしゃれ人間
先日本屋に入ったとき、あるファッション誌の見出しに軽く衝撃を受けた。
「おしゃれな人だけが知っている115のこと」
115って、ちょっと多すぎやしないか?
「◯歳までにやりたい10のこと」とか、「プロフェッショナルのあの人が大切にしている7つのルール」とか、「数」を入れるタイトルは珍しくも何ともないが、100超とは大きく出たものだ。
確かに数が大きい方がインパクトもあるし、情報の豊富さをアピールすることにもなるのだろうが、それにしても膨大な数だと思う。
この「115」という数に恐れすら抱いてしまうのは、私自身「ダサいおしゃれではない人」という自覚があるからだろう。
もともとファッションにあまり興味がなく、服以外の美的センスもいまいち。
「これいい!」と強く惹かれる服はだいたいシュール系のキャラクター、中学英語レベルの英文メッセージ(例:I don't want to work today)がプリントされたTシャツだったりする。
もっとも最低限のTPOは守るようにしているが、「ファッション」「おしゃれ」「センス」の世界になると、どう振る舞えばいいかまるで分からなくなる。
おしゃれになりたい!と強く願っているわけではないものの、やはりダサい、センスがないと思われるのは避けたい。
そんなフワッとした意識で、ネットの片隅にあるファッション情報をちびちび漁りながら日々着るものを選んでいる。
そんな私にとって、「115」の見出しは、おしゃれな人との圧倒的戦闘力の差を突きつけられたように思われるのである。
「逃げ恥」で、平匡さんが「◯◯できる(忘れたけど何かしら恋愛系のテーマだったはず)人の特徴20選!」みたいなネット記事を見つけ「20も…」と頭を抱えていたシーンがあったが、まさにあのときの彼と同じような、いやそれ以上の衝撃を受けているといっても過言ではないだろう。
そこまで考えて、いや、待てよと思った。
「おしゃれな人」もこの数字をいきなり出されたら、それなりに不安になるのではないだろうか。
例えば、私はおしゃれ大好きです!服選びに自信があります!と言える人であっても、突然街頭インタビューか何かで
「あなたがおしゃれに関して大事にしていることを、思いつくかぎりたくさん挙げてください!できれば100個くらい!」
などと言われたら、どうだろうか。
10〜20個なら何とかいけても、100個代まで出せる人はそうそういないのでは(おしゃれな人からしたら、いや出せるわ!と突っ込みが入るのかしら。どうなんでしょうか)。
だとすると、
「おしゃれな人だけが知っている115のこと」
この見出しは、おしゃれになりたいと願う人たちだけでなく、すでにおしゃれな人たちをも圧倒し惹きつける、最強のコピーといえるのかもしれない。
…と、こうやってごちゃごちゃ理屈をこねて満足してしまうくせこそ、私が非おしゃれ人間である理由の一つだろう。
雑誌を平積みコーナーに戻した私はその後、近所のスーパーでレバニラとハイボール1缶を買い帰路についた。