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見えない広告が見えた!シリーズ【番外編】ウマ娘もびっくり!!競馬界の陰謀 サイン理論とは!?

競馬にっていたことがある。
昭和から平成に変わった頃だから、もう昔も昔、大昔の話だ。
当時は、毎週のように高い競馬新聞を買い、作戦を立て、府中や大井の競馬場や水道橋のJRA(場外馬券売り場)に通っていた。

ギャンブルはパチンコを多少やったくらいで、それほど射幸心しゃこうしんも強いほうではなかったが、こと競馬には私を夢中にさせるある要素「この世界の秘密」が隠されているような気がしていた。

競馬好きの人の中には、競走馬や騎手に魅かれてはまる人もいるが、私はウマにもウマに乗る人にも興味がなかった。
私にとって競馬とは速いウマが勝つわけでもなく、騎手の腕がモノをいうのでもない。

競馬とは、出馬表の中に隠されたヒントを読み解いて、どのウマが勝つ〝予定〟なのかをあてるゲームなのだ。
レースの結果は、ウマが走る前から決まっている。
競馬場でウマが走っているように見えるが、あれはプロレスのリングなのである。

私はそう考えていた。

競馬ファンの間では「ウマは血で走る」つまりレースにおいてはウマの血統が重要だとはよく言われることだが、私に言わせれば「ウマは出馬表に隠された暗号のとおりに走る」だった。
競馬とは一種の「クロスワードパズル」なのだ。

八百長の国に真剣勝負はあるのだろうか?

勝負ごとで最初から結果が決まっているなら、それは「八百長やおちょう」ということになる。
プロ野球、Jリーグ、大相撲、囲碁将棋で八百長がバレると大問題となって関係者は永久追放の烙印らくいんを押されかねない。
国や自治体の公共工事の入札で八百長がバレると「談合」、市場で企業が組んでやると「価格カルテル」、株なら「インサイダー取引」……いずれも処罰の対象となる。

日本の社会は上から下まで「談合」でできているので、どこを覗いてもその手の話は出てくるものだ。
それを嘆いても仕方がない。
もともと日本人は、出るところへ出てはっきり決着をつけるよりも、「空気」を読み合ってあいまいな結果に落ち着くことが好きなのだから。
それで、いよいよ出るところへ出たときには最悪の結果となって出てしまうのを、我々は何度も目にしているはずだ。
(元首相の暗殺、ジャニーズの崩壊、タカラヅカの悲劇……)
会社で周りの「空気」を読んで普通に仕事をしているつもりが、いつの間にか「談合」に参加していたり、犯罪に手を染めてしまう怖い社会でもある。

公明正大とか自由な競争とは馴染みの薄い日本社会。
真剣勝負を意味する隠語「ガチ」「ガチンコ」という言葉が人口に膾炙かいしゃしていること自体が、社会の隅々まで八百長が蔓延まんえんしている証拠だとも言える。
そんな国で人々がプロスポーツやプロ競技に熱中するのは、そこでだけはインチキは許されず、公平なルールの下で「真剣勝負ガチンコ」が行われていると信じているからだろう。

だからマスコミもファンも、バレた八百長にはとにかく厳しい。
「星のやり取り」とか「手加減」などは、表面上はないことになっている。
人気の落ちた競技を盛り上げるために、業界が一丸となって若きヒーローの登場を演出するようなことは、プロレス以外ではあってはならないのだ。
いや、擦れたファンなら、そうした大人の事情まで含めて楽しむものだとうそぶくだろうか。

競馬は、汚い人間ではなく、ウマが走るのだ。
他の公営ギャンブル、競輪、競艇、オートレースとは、そこが大きく違っている。
人間たちのけがれた思惑があったとしても、最終的に勝負を決めるのはウマの脚。
競馬は他のギャンブルに比べれば、ウマの目のようにピュアだと信じている人は多い。

だが、競馬も人間の欲が絡んでいる以上、そうはいかないのだった。
残念ながら競馬もやはり、上から下まで談合で作られた、八百長の世界なのである。

つい最近も、引退した地方競馬の騎手が、YouTubeで自分が行った「八百長」について告白していた。
自分が出走したレースで何人かの騎手と「談合」して、あらかじめ勝つウマを決めていた、という話だった。
いわく、八百長は地方競馬では日常的に行われているが、中央競馬では難しい、とのことだった。

チェックが厳しい中央競馬では、騎手同士が示し合わせて行うような規模の小さい(セコい)八百長は実際やりにくいのだろう。
ところが、だ。
チェックする側から見ると、話は変わる。
小悪党たちの思惑が入らず、かえってレース全体をコントロールしやすくなるというわけだ。

ここより本題⤵

騎手や厩舎きゅうしゃレベルのイカサマは固く禁じられているが、胴元であるJRAや、監督する農林水産省が競馬界の八百長を仕切っていると言ったら、あなたは信じるだろうか?


当時、筆者が競馬場へ持参していた手帳
陰謀と暗号が交錯する激闘の記録である

競馬界の陰謀論「タカモト式」

もう15年ほど前になるが、爆笑問題田中裕二たなかゆうじが競馬で大穴を当て「800万円」もうけたニュースはご存知だろうか。
このとき、田中が馬券の予想に用いた方法が「サイン理論」というものだった。
競馬においてはどのウマが勝利するか、出走前にそれを示す何らかの〝サイン〟が出ているというものだ。
競馬界の都市伝説、迷信のようなもので、決して実証されたものではない。
常識的には、動物であるウマを使ってそんな大がかりな出来レースは無理だと考えるのが普通だ。
しかし、絶対ないとは言えないのではないか、レースによってはあるんじゃないか、と思っている競馬ファンもかなりいる。

何を隠そう、私もその一人だった。
例えば、1989年の春の天皇賞。
この年の1月7日に天皇陛下崩御された。
日本現代史の中の大事件である。
その直後の「天皇賞」である。
これがレースに反映されないわけがない!!!
枠連わくれん(馬連はまだなかった)で「1-7」は農水省どころか日本政府の決定事項だろう。
そして────
レースの結果は、枠連1-7。
レートは33倍で100円が3300円になったのを覚えている。
(100円しか買わなかったのは金がなかったのと、競馬を始めて1か月でまだ〝サイン〟に確証が持てなかったため)

当時は「サイン理論」ではなく、競馬界に存在する様々な〝サイン〟を研究した高本公夫たかもときみお氏の名から「タカモト式」と呼ばれていた。

高本氏によれば、すべてのレースが仕組まれたものである。
ウマ、騎手、調教師の名前と生年月日、競馬のCM、レースの新聞広告、レース開催日近辺の国際的な出来事、競馬中継のゲストの演歌歌手のヒット曲まで〝サイン〟になり得る。

語呂合わせや、その日のラッキーナンバー、自分の誕生日の日付で馬券を買う人と発想はそう変わらない。
ただ偶然の一致や幸運で馬券が的中するのではなく、レースに隠された何者かの意図を推理して勝ちウマを当ててやろうというわけだ。

タカモト式では、馬番、枠番の1~10、11、12の数字を、干支えとの十二支(1→子、2→丑、3→寅……)や花札(1→松、2→梅、3→桜……)にあてはめ、ウマや騎手の名前やデータと照らし合わせてレースを推理する。
誕生石(5枠にエメラルド○○とか)やトランプ(13番に○○キングとか)なども材料となる。
レース名が「NHK杯」なら、その年の大河ドラマにヒントが隠されている可能性もある。
「○○バードとか鳥の名前がついたウマが8枠に来たら要注意!」(トリの枠に鳥が来たから)というのもあり、ほとんどこじつけのような話も検討の対象となる。

このように〝サイン〟は無数に存在し、その中でどれが最重要なのかを知恵を絞って割り出すわけだが、正直言ってまともな人間には無理な世界である。

私もお金がない中、タカモト式を体得しようと1年間かけて研鑽けんさんを積んだが、当然のように挫折した。

1年間の収支は────
競馬に投下した資金100000円。
そのうち馬券で得た払戻金はらいもどしきん75000円。

馬券からあらかじめ引かれる、JRAの運営費及び国庫納付額と、きっちり同額の25パーセント負けたことになる。
善戦したともいえるが、これなら何も考えずに馬券を買っても同じ結果だったかもしれない。

競馬界に〝サイン〟はあるのかもしれないし、ないのかもしれない。
常識的に考えれば、この世界に〝サイン〟などないし、ないと思ったほうがいい人生が送れるだろう。
これは、いわゆる陰謀論についても同じことが言える。

豪華懸賞金付き上級老人向けクロスワードパズル

ただ、農水省がなぜ〝サイン〟など出しているのか、それについての高本氏の意見は非常に興味深いものだった。
(当該の文献が手元にないため、以下はおおよその内容となる)
何と、農水省の競馬担当の部署にいるゲームデザイナーが、農水省OBの小遣い稼ぎ老後の楽しみボケ防止のため、密かに〝サイン〟を送っているというのである。

どうもインチキ競馬は、地味な省庁のエリートたちの福利厚生の一環として行われているらしいのだ。
この国の優秀な官僚たちの国民を舐め切った仕事ぶりを見れば、これも絶対ない話でもないのかな、という気にもなってくる。

競馬界の陰謀論────。
タカモト式
サイン理論
昨今の陰謀論者たちがよく口にする、「イルミナティカード」や雑誌「エコノミスト」の表紙に、支配者層が計画中の未来の戦争や疫病が描かれているという物騒な話と構造的にはそっくりである。
殺伐とした世界の八百長と比べれば、競馬界の八百長は、ほのぼのとして、個人的にはいい陰謀だと思う。



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