2021.2.5
きみがいなくなってからずっと、まるで他人の人生を生きているかのようなんだ、人生ってこんなにも意味を無くしてしまうのかと
きみの好きなものを全て好きになった、だから、きみがいなくなってから、ぼくの周りはきみが好きなものばかりになっていたんだ、そうして逃れられなくなった
知ってるんだ、ぼくは恋人向きなんだ、笑う顔より不機嫌な顔が得意だから
きみと行った喫茶店が潰れたらしい。喫茶店にさえ、はやく忘れろと言われるんだ。向かいに座ってきみが言った言葉を、表情を、目の色を、ぼくよりずっとはやく、きみが食べて終えてしまうショートケーキの色も形も、すべてすべて、覚えている
改札まで送ってくれる時間がさみしかった。だから今も、夢の中で会うきみはぼくを改札まで送るんだ、送られるぼくのさみしさに対し素知らぬ顔をして
夏の夜を憂いた時も、秋の落ち葉を抱きしめた時も、きみは何て言うだろう、と
冬の空気に気管が括れ、春の花を愛おしむ時も、きみに伝えたいことを嘆いては、誰にも見えないところに秘めている
季節がひとつひとつ、ぼくを置いて、過ぎていくんだ、空回りするぼくを置いて