「責任とは積極的に取りに行くものだ」というお話
『責任』っていったい何だろう。
世間一般的には、その言葉を聞いて前向きな印象を受ける人は決して多くはないのではないかと思います。
普段生活していると、『責任』は「自分が取りに行くもの」というよりも、「降りかかってくるもの」という印象を受けてしまう方も多いのではないでしょうか。
でも私が学生の時に出会った、魅力的な大人がとっていた『責任』は、それだけじゃありませんでした。
「責任を積極的に取りにいく」
私は大学生のとき、ある養鶏家の方に出会いました。
彼が営むのは、地域循環型の養鶏。
地域循環型養鶏として彼が取り組んでいることのひとつとして、鶏に与える飼料に特徴があります。
飼料には、自分の畑などから得られる農作物や、地域のパン屋や豆腐屋といったお店から出る食品残渣などを活用しています。
彼から聞いた話では、不思議なことに日本で飼料を入手するよりも、海外から飼料を輸入したほうが安くおさまるのだと言います。
コストの観点からみると、海外産の飼料を輸入したほうが”良い”ことは明らかです。
しかし彼は地域で得られるものを大切にし、海外産の安い飼料はつかっていません。
このことについて、彼は以下のように語りました。
「輸入飼料は、遺伝子組み換え作物、ポストハーベスト農薬、単一栽培の偏重、干ばつ、地下水汚染、海洋の酸欠、地域住民の健康被害などの問題を抱えていることが多いです。
これを、胸を張って安全だと言い切れるでしょうか?
我々は適切なコストを負担しているといえるでしょうか?」
彼は自身の事業が消費者/地域/社会に対してとるべき責任を考え、それを取入れています。
本記事で言及はしませんが、彼の責任に対する考えは、飼料だけでなく地域の林道清掃や、後継者育成など多くのことに反映されています。
彼が自身の理念に従った活動を進めるうちに、彼に対する周囲の目が変わっていったと言います。
地域住民をはじめとした関係者に少しずつ認められ、コラボレーションをしたり、余った土地の紹介を受けたりと事業が広がっていきました。
私が養鶏家さんに惹かれたポイント
私がこの生産者さんに惹かれた点は、主に以下です。
・責任を自ら取りにいくことで、事業の中に地域/社会の課題解決を組み込んでいること。
・(地域住民をはじめとした)事業にかかわる他者の視点まで思いを巡らせ、自分のとるべき選択を考えていること。
以下の言葉は、私が彼に「なぜ今のような事業スタイルを選択したのか」と質問した際に返ってきた言葉です。
「その場限りの商売なんかなかなか続かないし、そういう商売はやりたくない。」
「倫理観にもとづいて、誠心誠意の商売がしたい欲求がある。」
HOKAGO.comでやりたいこと
私はHOKAGO.comの1セッションで上記のような話を仲間たちに紹介し、ディスカッションを行いました。
私たちIT企業の開発現場に従事する人間にとっては、契約でお約束した納期/品質で、成果物を提供することが責任のひとつ。
この意味の責任を果たすことは、大前提としてとても重要です。
そのうえで私は、それ以上の『責任』についても思いを巡らせたい。
ここ数年はSDGsなどの話題もホットになり、企業にとっての社会的責任が問われることも多いです。
しかし、企業内の一個人レベルでその責任を実感できない方も少なくはないのではないでしょうか。
私は、自分(あるいは事業)単位で社会に対してとれる『責任』をより明確にしていくことで、魅力的な社会活動ができると信じています。
HOKAGO.comでは、個々人が抱く課題感をもとに、自分たちが社会に対してやりたいこと/できることを模索しつつ、アクションを起こしていこうと考えています。
これからよろしくお願いします。
HOKAGO.com
あつし