【漫画感想】せんせいのお人形 5巻
※【注意】展開を明らかにしない程度の、軽微なネタバレを含みます。
教師と生徒の恋愛というのは、昔からある人気テーマの一つですが、この作品は単純なそれに終わらない関係性が好きです。
5巻の中でスミカが言っているように、教師と生徒の恋愛のタブー感は、時間が解決します。生徒が卒業してから告白すればよい話です。
しかし、スミカにとって昭明さんは、教師であると同時に保護者でもあるので、卒業して無問題…という訳にはいきません。二人の間には、親子のような、兄妹のような、男女のような感情が入り乱れており、一筋縄ではいかないその感情の機微と揺れ動きがとても丁寧に描かれていて、読んでいて面白いです。それは5巻に限った話ではありませんが、5巻では特に、顕著に感じました。スミカが父親の愛を受けて育っていない分、単に昭明さんに父を求めているだけではないのかと、本人の中でも自分の感情をうまく解釈できず、思い悩んでいるのがもどかしくて、続きが気になってしまいます。
更に、スミカにとって昭明さんは自分を救ってくれた恩人でもあるため、異性として彼を見る事に、罪悪感というブレーキを感じているという点も、ただでさえ複雑な二人の関係性に拍車をかけていて、面白いです。
更には、昭明さんサイドにも思う所や葛藤が多々あり…と、二人の関係性の行く末が気になって、次巻が待ち遠しいです。
特に大きな事件や外的イベントが起きなくても、登場人物の心の葛藤や感情の機微でここまで魅せられるのは、物書きとしても大変見習いたいところです。
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【あらすじ】
『あ』で埋め尽くされた謎の履歴書。余白に書かれた謎の数式。それが、講義室の全席に仕込まれていた。
鬱になった就活生による奇行か?
何かの陰謀を秘めたメッセージなのか?
その理由と目的を暴かれた時、〝彼〟は死を望んだ。
大学生活の1コマで起きた、青春の1ページ。
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