ベトナム語劇と私
キラキラとした人たちのお話が多い中、平凡なおばさんがベトナム語科にゆるく関わっていることをお伝えしたくて今回投稿させていただきました。
私(H•N、12期生)がベトナム語を選んだのは当時入りやすかったからですが、他にもマイナー言語があった中でなぜベトナム語なのかといえば、募集要項に「これからはベトナムの時代だ」と熱く書かれていたことが大きかったかなと思います。入学して最初の頃、私はベトナム語の発音や声調に割と順応して楽器を奏でるように楽しめましたが、地頭が悪い上に通学に時間がかかったので、中級、上級に進んで文献を読む頃には、かなり苦しくなり、やっとの思いで卒業にこぎつけました。その後ベトナムには関係のない事務職につき、それも結婚出産を機に辞めてずっと専業主婦をしています。
私自身はこんな感じですが、私にとって大学はとても楽しい場所でした。当時のベトナム語科はキャラの濃い同級生や先輩後輩が多く、それを活かして就職につながった人もいました。そんな人たちと先生方の研究室や共同研究室で、ベトナム茶と一緒にお弁当やお菓子(ときには帰省土産など)を食べながらおしゃべりするのが楽しみでした。
私たちの代では、ベトナム語科はまだ語劇に参加していなかったのですが、春の新歓1泊旅行、造幣局の桜の通り抜け、夏まつり、紅葉の箕面の滝、忘年会、追い出しコンパなど、どれも楽しい思い出です。中でも春休みに冨田先生が学生を率いて連れて行ってくださったベトナム縦断旅行は一生の思い出です。まだまだベトナムと日本との交流も少なかった時代で日本〜ベトナム直行便もなく、タイのバンコク経由でベトナムに入った我々は日本人というだけで珍しがられ(観光客はロシア人ばかりでした)、帰国してからもベトナム帰りということでハクがついたほどでした。
思い出話はさておき、今の私が年中行事として欠かせないのが語劇祭のベトナム語劇観劇です。勉強は大変だったけれど楽しかったあの頃を思い出させてくれる大学に行き、学生さん達にはパワーをもらっています。毎回題材は1、2年生のLL教材で暗唱するベトナム昔話の三府公同(最近タム•カムに変わりました)で同じなのですが、その時々でアレンジが加わっていて楽しめます。またベトナムに積極的に関わっている卒業生の方や、あるいは全く違った方面で活躍されている方に会えてお話を聞けたり、懐かしい人との再会もあったりと毎年満足して帰ってきて、また来年も来たいと思えます。
ベトナム語科に在籍していた、というだけでその後は何も活躍していない私をもあたたかく迎えてくださるベトナム語科に携わる方々の懐の深さに感謝しています。
私はこんな風にベトナム語科にゆるく関わっています。キャンパスへのアクセスも良くなったことですし、もっと気軽に語劇を観に来てくれる人が増えたらいいなと思っております。
(タイトル画像はベトナム縦断旅行のときのベンタイン市場)