【時事ネタ】保育施設事故「今年も過去最多」から見えた問題点
今年も、保育施設等における事故報告集計が発表されました。
ネットニュースでは、「過去最多」だけが一人歩きするような記事でしたが、どこで、どんな事故が増えているのか、気になって調べてみました。
まずは記事でも触れられている事故件数についてですが、令和4年に報告された教育、保育施設における事故は2,461件、対前年+114件(+4.86%)で過去最多だったそうです。
また、死亡事故は5件、前年同様とあります。
ちなみに、令和4年の保育園、幼稚園利用者数は前年対比▲2.52%、▲99,039人の減少という結果でした。※注釈
事故の種別及び発生施設の表を見てみると、何点か疑問に感じる点がありました。
この二つの表を見比べた時、読み解ける事実は下記の通りです。
①事故件数の半分近くを占める認可保育所では、事故件数は横ばい、事故に占める死亡事故の比率は0.084%(1/1,190)
②放課後児童健全育成事業(学童クラブ)で、「骨折」が44件(+10.78%)増えている。
③放課後児童健全育成事業(学童クラブ)で、「その他の事故」が49件(+76.56%)増えている。
④②、③の結果、放課後児童健全育成事業(学童クラブ)で合計90件(+18.95%)増えている。
⑤その他認可外保育施設では、令和4年死亡事故2件に対し、事故合計が29件、比率は6.90%
⑥その他認可外保育施設では、令和3年死亡事故3件に対し、事故合計が30件、比率は10.00%
上記の結果から、事故報告の問題点として、下記がの点が考察されます。
【考察1】
放課後児童健全育成事業で、昨年まで報告が徹底されていなかった。
または、現時点でも徹底されていない。
→その他」が1.8倍、骨折が19%増加というのは不自然
【考察2】
認可外保育施設では、集計されている以上の事故が確実に起こっている。
→認可外施設だけ、事故に対する死亡率が認可保育所の100倍高い訳がない。
→報告件数は氷山の一角で、実際はこの30倍~100倍の事故が起こっていると考えられる。
特に、考察2の認可外施設における事故報告件数が過小であるという点は、毎年死亡事故の約半数が認可外施設で起きていることを考えると非常に深刻です。
保育施設での死亡事故件数は、「認可外」であるからといって行政が手をこまねいている限りゼロにはならないと感じました。
※注釈
①保育園の利用者数は厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ(令和4年4月1日)」より
②幼稚園の利用者数は「令和4年度学校基本調査」より
昨年の事故件数についての記事はこちら↓